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日本代表アマナキ・レレイ・マフィが感じる2つの「誇り」。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
合宿で汗を流すマフィ(写真提供=JRFU)

 ラグビー日本代表のアマナキ・レレイ・マフィが5月29日、合宿中の大分でオンライン取材に応じた。

 会見ではグラウンド内外の話題に加え、6月26日にスコットランドのエディンバラで組まれたブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ(B&Iライオンズ=※)戦などについて語った。

※B&Iライオンズ=イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドを代表する選手を集めて4年に1度編成される。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——27日から約19か月ぶりの合宿が本格化。ワールドカップ日本大会時にはいなかったメンバーも加わったが。

「そうですね、えーと…いま、結構、何人か新しい子たちがいます。自分のエクスペリエンスで色々、助けてあげたいです。皆、色んなバラバラなチームから来て、自分のチームの文化もあります。でも、こっち(代表)に来て、皆、ワンチームで。最初の合宿の合流。コネクションが大事です。やっぱり、ワンチームになるって、すごい、大事です」

——マフィ選手と同じトンガ出身で、昨季の大学選手権を制したシオサイア・フィフィタ選手(天理大学出身)への期待は。

「フィフィタは、(トンガ・カレッジの)私の後輩です。本当に素晴らしい選手。オンもオフもしっかりした子です。自分でもそれを誇りというか。もう何も言われないでも、しっかりやっています。日本代表の選手やな、と思います。いつでもどこでも一緒にいます」

——代表の先輩として、フィフィタ選手へアドバイスをすることは。

「アドバイスより、自分が先にやって、その後にフォローしてもらう。それが一番だと思います」

——今回のツアーでは、ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズと対戦します。

「僕にとっては、やっぱり、もう1回、ワールドカップ(に出るよう)なイメージやと思います。ワンチャンスしかない。日本はすごいラッキーというか、自分の命(人生)で、B&Iライオンズと戦うのは1回のチャンスしかない。僕にとっては嬉しいし、日本のファンの皆さんも嬉しいと思います。多分、ワールドカップクラスのヨーロッパの人たちが集まって、ハード、タフな試合(になる)と思います」

——パンデミックのさなかだが、いいモチベーションで試合に臨めそうか。

「自分より、世界はすごい大変だと思いますし、その人たちの分もがんばってます」

——いまのターゲットは。

「ステップバイステップで、とりあえず今回のこの合宿だけをフォーカスしたいと思います」

 ワールドカップに2大会連続で出場中のマフィは、今季の国内トップリーグのシーズン中に移籍を経験。2014年に入ったNTTコムを経てキヤノンへ移り、プレーオフトーナメントでは古巣との直接対決を制して8強入りを果たした。

——シーズンを振り返って。

「自分のなかでは、ずっとNコムで引退までいると思ってたんですけど…。最近は皆を見ても、移籍する(有名選手の退団発表が相次いでいる)。自分はこの間キヤノンイーグルスに移籍して、(チームの)文化は違うんですけど、チームメイトが凄く素晴らしい人間で、すごく俺のことを色々と助けてくれて。ベスト8にも入って、いままでのキヤノンイーグルスのベストシーズンだと思います」

——前所属先では今季、試合に出ていない。代表入りに際し、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチとのとコミュニケーションは。

「やっぱり、いままで3試合しか出てない。ジェイミーともコミュニケーションは取りました。何を話したかは教えません。フフフ! とりあえず、このきつい合宿に頑張りたい。監督が私の試合を観て、私のことを信じて、本当にありがたいと思います。このチャンスをしっかり使いたい(活かしたい)とです」

 来日間もない頃は関西大学Bリーグの花園大学に所属。トップリーグでプレーする機会を得たのは、大学3年時に「関西ラグビー祭り」に参加したからだ。天理大学対明治大学の前座試合にあたる「関西学生南北対抗戦」でのパフォーマンスがNTTコムの目に留まり、テスト入団に繋がった。

 以後、国際舞台でも「フィジカルモンスター」としてその名をとどろかせてきた。

 グラウンド外では、妻のあずささんが執筆するブログが話題。3人の子どもとの暮らしぶりや異国出身のアスリートである夫とのやりとりが、関西弁を駆使した軽妙な文体で綴られている。

 会見でもその件について聞かれ、別な話題を振られた際も家族の存在のありがたみを語った。

——あずささんのブログ。いかがですか。

「ハハハ! やっぱり、俺の悪口しか書いてないです! 俺の奥さんは面白い関西人です。自分でも誇り。たくさんの人に『ブログのファンです』と言われて。でも、ほぼ俺の悪口だけど。(読者に)しっかりしろと言われました」

——改めて、日本代表でなぜ頑張れるか。

「何のため…。えーと、モチベーションはたくさんあります。まずファーストは、自分の家族です。セカンド、日本の皆様。それはずっと思っています。どんな大変でもどんなきつい練習でも、それを思って前に進みたいです」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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