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稲垣啓太、最後のトップリーグ開幕へ「我々のやることは変わらない」。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
写真は昨季開幕節(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 ラグビー日本代表の稲垣啓太は2月20日、予定より約1か月延びていた国内トップリーグの開幕を迎える。2月11日、埼玉県内で思いを語った。

 ワールドカップ日本大会後初の2020年シーズンは、各種事情のため2月下旬限りでの不成立が決まっていた。

 稲垣はこの日、所属するパナソニックの左プロップとしてクボタとの練習試合に先発。ハーフタイムに退くまではスコアを14―7とリードさせ、手応えを掴んだ(40分、40分、20分の変則マッチの結果は33―41でクボタの勝利)。

 試合後、複数メディア向けの電話取材に応じ、20日のリコーとの初戦(東京・秩父宮ラグビー場)への意気込み、雌伏期間の状況、シーズン終了後の代表活動への所感などについて聞かれた。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――クボタ戦を受け、1月上旬より向上したと感じる場所は。

「セットプレーのディテールは上がっている。風が強いなか、ラインアウトで最適な選択ができていました。スクラムでも1本、イレギュラーなフッキングミスもありましたが、いい感触でした。シーズン開幕直後から、どれだけそのディテールを伸ばしていけるか。それがキーになるのではないでしょうかね」

――ご自身のコンディションは。

「最後の練習試合から1か月以上も空いてしまっていたので、いくつかもう少しいい判断を下せたのでは…という部分はありますが、開幕に向けて非常にいいコンディションではあると思っています」

――「いい判断」ができる余地とは。

「前半、ディフェンスの時間が長かったなか、どういったシチュエーションで、どういった地域で、どんなディフェンスが求められているかという判断はできていました。ただ、すべての時間帯でいい判断が下せたわけではない。そこがはっきりしたので、それを受けて準備していきたいと思います」

――開幕延期について。

「1か月の延長は僕らのコントロールできる部分ではない。あ、延びたか。仕方ないな。それくらいにしか思っていませんでした。ただ、シーズン開幕に向けた練習試合を終えてからの延期決定でした。だから、開幕に向けてどんなことをしていくかという目標の再設定には時間を割きましたね。

(練習の)ペースを落とした部分もありますし、ペースを上げるところはチームがコントロールしてくれていたのでありがたい。個人的な身体の準備に関しては、1か月延びたことでさらにパフォーマンスを上げられた。プラスに捉えていますね」

――重さのある相手との戦いでしたが。

「相手の身体が重かろうが、小さかろうが、やることは同じです。もちろん、ディフェンスやアタックのやり方で対応しなきゃいけない部分はありますが。相手がどうだからといって自分たちを変えることはなかった」

――目標は。

「やはり優勝するということがチームの、個人の目標です。ただ、あまり先を見過ぎずに目の前の1試合に向けて準備していくことが大事。その積み重ねが、最終的に優勝という二文字に繋がります。

セットピースはまだまだ成長できる余地があると思っている。ラインアウトでは、自分が関わらないオプションであってもいかにダミーになれるのか…。モールのディフェンスも、もっとよくできる」

――シーズン終了後の代表活動について考えていることは。

「何も考えてないですね。まずチームで、個人として結果を残さないことにはそうした活動もないでしょうし。まず、自分のパフォーマンスをしっかり発揮することにフォーカスしています」

――トップリーグは今季がラストシーズンだが。

「そこも特に(感慨は)ないですね。確かにラストと言われていますが、形が変わるだけでその後もラグビーは続いていく(2022年1月から新リーグが発足)。ひとつの節目かもしれないですが、我々のやることは変わりない」

 生来の論理的な語り口が際立つ。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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