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天理大学は「コンディションもよくて」。大学選手権決勝開催を信じる。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
先頭が松岡主将(写真提供はJRFU)

 黒いジャージィが、鍛錬の成果としてのタフネスぶりと技巧を示した。

 1月2日、東京・秩父宮ラグビー場。大学選手権の準決勝があり、第2試合では一昨季準優勝、昨季4強の天理大学が、昨年度まで3シーズン連続ファイナリストの明治大学を41―15で圧倒した。

 8月にはクラスター発生に伴い練習時間が削られていたが、この日は堅い防御と多彩なオプションを用いての展開攻撃を披露。サンウルブズで活躍した突破役のシオサイア・フィフィタも、個人技ではなく周りとの連動で動いた。

 決勝戦では昨季王者の早稲田大学と戦う。

 試合後、小松節夫監督と松岡大和主将が会見した。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

小松

「ディフェンスでどれだけプレッシャーをかけられるか、セットプレーでどれだけ対抗できるかを考えながら臨みました。ディフェンスで明治大学の強いアタックを止められたのが勝因です。スクラムも頑張った。ラインアウトは苦労しました(空中で圧をかけられた)が、それ以外のところは通用した」

松岡

「今日の試合は明治大学さんのアタックに対し、自分たちがディフェンスからプレッシャーを与えようと、できたところはあった。ただ、何個かディフェンスでうまいこと行かずにトライを取られたところもあったんですが、修正はできた。アタックでは継続するということで、フォワード、バックス全員で走れた」

――後半11分に31―5とリードした後、明治大学にやや攻め込まれた。13、16分に連続トライを取られて31―15とされました。ただ、その後は天理大学が盛り返した。

松岡

「うまく行かない時には、ディフェンス(ライン)が(接点周辺に)寄ってしまっていた。『メイジに対してディフェンスしているんだから、フォワードのラックサイドの仕事を確認しよう』と修正した結果、後半最後はしっかりディフェンスできた」

――前半から先手を取れた。試合への臨み方は。

松岡

「毎回の試合のテーマは、『自分たちから身体を当てにいき、プレッシャーをかけよう』。そこが前半に出ていたと思います」

――一時、ペナルティーキックをタッチの外へ出してラインアウトを選ぶよりも、そのまま攻めるプレーを選択。ラインアウトでやや苦しんだからか。

松岡

「確かにプレッシャーはかかっていませんでしたけど、継続したらトライが獲れるということでペナルティーをもらったらゴーという話になりました」

――後半途中、そのペナルティーキックからラインアウトを選ぶ場面もあったが。

松岡

「フッカー(投入役)と『どこ(の位置)で捕りたい』と話し合いながら、決められた」

――今回は例年より1日早く東京入りしていた。

松岡

「皆、コンディションもよくて。前泊よりも前々泊のほうがコンディションを整えられた。それで全員のパフォーマンスがよかった」

 この日は、1都3県が日本政府へ緊急事態宣言の発令を要請したとみられる旨が報じられた(その後、正式に要請されたことも伝わる)。選手権決勝は11日、東京・国立競技場でおこなわれる。

 日本ラグビー協会は2日夜、「各自治体が政府に緊急事態宣言発令の要請との報道がありますが、現時点では当協会が主催する試合に関してのコメントはありません。もし、緊急事態宣言が発令された際には、その内容を十二分に理解することに努め、速やかに対応を検討していきたいと考えます」と書面で説明した。

 会見中はその件への質問が飛んだが、2人とも「知らなかった」と口を揃え、このように決勝戦の開催を求めた。

小松

「いまのお話は初めて聞きましたのでよくわかりませんが、どういう状況でも試合がおこなわれるのなら全力を尽くします。その時に無観客であろうが、やることは同じ。しっかりと準備をし、決勝戦に臨みたいです」

松岡

「初めて知ったのでびっくりしているんですが、何があろうとまず、決勝に行ける、とチャレンジできる。それに向けて準備していくしない。早稲田大学戦に向け、いい準備をして、勝つマインドで臨みたいです」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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