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早稲田大学→サンウルブズの齋藤直人、早明戦2日前に思い語る。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
写真は11月10日の帝京大学戦後(筆者撮影)。

 早稲田大学ラグビー部の齋藤直人キャプテンは12月1日、明治大学と全勝同士で関東大学対抗戦A最終戦(早明戦)に挑む(東京・秩父宮ラグビー場)。このほどスーパーラグビーの日本チームであるサンウルブズへの加入を決めたばかり。11月29日、本拠地の早稲田大学・上井草グラウンドには複数の報道陣が集まっていた。

 チームのトレーニングを終えると、齋藤は後藤翔太コーチとともにラックから出たボール、ラインアウトから出されたボールとシチュエーションごとのパスを反復練習。グラウンドを引き上げる前に、テレビカメラや録音機の前で思いを語った。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――早明戦へ。

「きょう(29日)が、試合前最後の強度を上げる練習でした。Bチームが仮想明治大学としてプレッシャーをかけるなか、Aチームのエラーは多かったのですが、そこもポジティブに捉える。強いプレッシャーの中で練習できたことはチーム全体を見てもよかったです。個人的にはプレースキックの精度が今季、よくないので、最後まで突き詰めてやりたいです。

 対抗戦最終節。明治大学には昨年度は最後、負けて終わっている(大学選手権準決勝)。他のチーム以上に特別な相手という思いはあります」

――今季好調のわけ。また、次の試合の見どころは。

「春から取り組んできたディフェンスがシーズンを通して機能しているのが成績に繋がっていると思います。明治大学はタレント揃いで強力なアタックをしてきますが、規律を持って我慢してディフェンスするところを見ていただきたいです。個人としては80分、走り続けるところを見ていただきたいです。

 25年ぶりの全勝対決。注目度も高く、いままでにない観客の多さなど、プレッシャーもあるとは思いますが、積み重ねてきたラグビーを出すことに集中して臨みたいです。接戦にはなると思いますが、この4年間で一番自信を持ってこの対抗戦に過ごせてきた。最高の舞台が整ってきた」

――サンウルブズ入りについて。聞いた時は。

「素直に嬉しかったですし、日ごろから気を引き締めてトレーニングをしないといけないと思いました。監督から言われたのは(取材時から)3週間くらい前、ですか。正式な話はその時に」

――サンウルブズの沢木敬介コーチングコーディネーター(前サントリー監督で齋藤も面識あり)とはどんな話を。

「食事に行かせてもらったりして『この先、自分がどうなりたいかを考えて、決断しろ』とは言われました。サンウルブズ関連(の話)は、ないです」

――大学選手権終了後はほとんどオフを取らず、スーパーラグビーへ挑む。

「自分が選んだ道ですし、この先ラグビーをやっていく身としてはこれほど光栄なことはない。チャンスをものにするためにもやれることはやりたいです」

――多くの大学生は、卒業旅行に出かける時期です。

「もともとその予定は立ててないです」

――スーパーラグビーで楽しみにしていることは。

「ハイランダーズとの試合がフォーサイス・バー・スタジアムである(5月23日)。僕、ハイランダーズが好きで、去年、1回行った時に『おぉ、すげぇ』となった(若手育成機関のナショナル・デベロップメント・スコッドのニュージーランド遠征でJAPAN AがハイランダーズA=控え主体と対戦。齋藤もJAPAN Aに帯同)。選手目線ではないですが、(また)行ってみたいなと思います。ただ、4月からは社会人なので…」

――ワールドカップ日本大会をどう見たか。

「いちラグビーファンとして楽しみました。ただ、日本代表戦を見た時は、自分にも少しだけチャンスがあったので、悔しい気持ちもありました。『1日1日、全てのベクトルを4年後の日本代表入りに向けて取り組んでいく』と、(大会前の日本代表の)メンバー発表があった日には思いました」

――改めて意気込みを。

「まずは早稲田大学で大学日本一になることを残り1か月半で考えて、そのなかでも個人のレベルアップは、自分の意識次第で日々の練習のなかでできる。4年後の日本代表という目標をぶらさず、でも先を見過ぎず、1回1回の練習を大事にしていきたいです」

 接点へ真正面から駆け込むコース取り、パスの速さと長さと正確性、ピンチの局面でのタックルやジャッカルなど、現代のスクラムハーフに求められる資質を兼備した齋藤。持ち前の謙虚さと自己を客観視する力を活かし、進化し続ける。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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