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日本代表の堀江翔太は、騒がれる時の作法知っている?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
(写真:ロイター/アフロ)

 ラグビーへの注目度が高まっている。

 火付け役は日本代表だ。ワールドカップ日本大会で強豪アイルランド代表などから3連勝中で、日本テレビが生中継した10月5日のサモア代表戦(愛知・豊田スタジアム)の平均視聴率は32.8パーセントを記録している。

 4年前のイングランド大会でも、過去優勝2回の南アフリカ代表などから3勝。現在と似た状況を起こしている。当時の爆発的なブームは速やかに終息したが、今回を含めた2度の盛り上がりは、決戦の場でナショナルチームが勝てばその前後で起きたすべての物事が帳消しにされると証明されたような。

 この状況を、当事者はどう思っているのか。

 アイルランド代表戦(静岡・小笠山総合運動公園エコパスタジアム)から2日後の9月30日、ワールドカップ3大会連続出場中の堀江翔太が共同取材に応じている。この日はサモア代表戦への意気込みを緊張の面持ちで語りながら、「ブームが起きている時の過ごし方」についても明かす。

 ドレッドヘアが特徴的な堀江は身長180センチ、体重104キロの33歳。スクラム最前列のフッカーという黒子のポジションを務めながら、豊富な運動量とパス、キックのスキルでも観客を魅了する。

 2013年から2年連続で国際リーグ・スーパーラグビーのレベルズでプレーし、2016年は同リーグに日本から参戦のサンウルブズで初代主将を務めている。

 イングランド大会の日本代表では副将として防御システムのマイナーチェンジにも関与し、今回は高いタックル成功率で快進撃を下支え。競技への造詣の深さはトップクラスの選手にあっても一級品と見られる。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――アイルランド代表戦から2日が経ちました。反響は。

「まぁ、ありましたよ。感動しました的なメールがたくさん入ってきました。もちろん、嬉しかったですよ。色々な人たちに喜んでもらえたのがよかったです」

――次のサモア代表戦に向けて集中しているようでもあります。

「サモア代表戦に向けては、次どうやるかというのが今日(9月30日)コーチ、監督から下ろされてきて、それについていまは頭がいっぱいという感じです。アタック、ディフェンスを含めて、その準備に追われてるって感じです」

――試合はナイターでおこなわれるが、練習は朝におこなわれています。

「あんまり僕は気になってないですね。僕は結構、ナイターの時はナイターに合わせられるようにはしているので、そこまでナイターに合わせて夜に練習するということは思わないです。プラスに考えれば、午前に練習をした方が午後を自分のケアに使えたりもする」

――スクラムについて。4年前との違いは。

「2015年よりは確実に強くなっています。比べろ言われると難しいですけど、確実に強くなっています。サモア代表戦でキーになるのは――毎試合そうですけど――(事前に)分析したとしても試合になればどんどん変化がある。実際に試合でスクラム組めば思っていたのと違ったというのがありえます。グラウンド上でアジャストしながらやっていきたいとは思っています」

――試合中のスクラムでのコミュニケーションについて。

「どのゲームも一緒ですけど、1回目組んで、1、3番(両プロップ)に感じを聞いて、相手の1、3番のどっちから(圧力が)来ているかとか、どういう風にプレッシャーをかけてこようとしているかという情報を集めてプレーしている感じですね」

――戦前、木津悠輔選手がアイルランド代表のスクラムについて「横からステップアウトして組んでいる」と悪気なく話し、それを海外メディアが過剰に大きく取り上げました。実際、アイルランド代表戦のスクラムはイリーガルでしたか。

「あまり、あれは意識してないですね。向こうが反則しているどうのこうのとは全く考えてなかった。そういう癖って感じですか。相手がそういう風に押してくる癖がある、みたいなのはたまに言ってました。『あれ、反則やろ』とは思ってないです」

――アイルランド代表戦。リアクションが素早かった。

「それはもう準備じゃないですか。準備通りの動きができたので。相手がどう来るかが、前半の頭から最後まで予想した通りに来たので、それはコーチ、監督が準備してきたこと、練習してきた通りにやって、最後の最後、勝てたって感じです」

――爆発的な盛り上がりへの対処法については。

「特別にこうっていうのはあまりないですね。ただ知らん人から急に『久々だね』っていうのもあって、そういうのに全部対応していたら試合に集中できなくなる。なので、『試合前には集中しよう』って話は、軽く、しています。ただ、そこを全部、監督、コーチ、リーダーがひとりひとりを監視して『外出るな!』『メディア(対応)もやるな!』と言うのもおかしい。ひとりひとりがSNS、ファン対応をうまいことやっていこうという話は、リーダー、監督中心に話していますね」

 自由を愛し、他者への想像力が豊かなこの人らしい見解。スコットランド代表との予選プール最終戦は10月13日、神奈川・横浜国際総合競技場でおこなわれる。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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