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サンウルブズに辛勝ハリケーンズ指揮官、ワールドカップでは日本代表を見ますか?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
写真左から日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチ、プラムツリー氏(写真:アフロ)

 昨秋まで日本代表のディフェンスコーチを務めたジョン・プラムツリーは4月19日、ハリケーンズのヘッドコーチとして東京・秩父宮ラグビー場でのスーパーラグビー(国際リーグ)・第10節で指揮。同リーグへ日本から参戦するサンウルブズを29―23で制した。この日はミスや反則で苦戦して前半を10-23としたが、最後は地力の差を示した。

 プラムツリーは2017年秋から昨秋まで、日本代表へ鋭い出足の防御を涵養してきた。当時からハリケーンズのディフェンスコーチを兼務していたため、サンウルブズには加わってこなかった。サンウルブズのディフェンスコーチには2017年はベン・へリング、2018年以降はスコット・ハンセンが就いてきた。

 今秋のワールドカップ日本大会への関わりも期待されるプラムツリーだが、現在の態度を保留としている。試合後、TJ・ペレナラゲームキャプテンとともに会見した。

 以下、共同会見中の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――予想外の展開だったか。

プラムツリー

「最初に、今回はサンウルブズを讃えないといけない。彼らは我々に大きなプレッシャーを与えてきた。一方で我々はエラーが多すぎた。そのミスを相手が突いてきた。後半は良くなったが、総じてタフな試合。サンウルブズがよかった」

――後半は何を修正したか。

ペレナラ

「特に何かを変えたわけではないです。ヘッドコーチが言った通り前半のミスが多すぎてやられたので、ハーフタイムにその点でコーチから話があった。戦略を変えるのではなく、やることを実行しようと」

――日本のファンの雰囲気はどうだったか。

ペレナラ

「試合中は集中していたので目に入りませんでしたが、試合終了後のお客さんの感じ、中断中に耳に入ってきた声援には気づいていました。他にももっと大きな会場で試合をしたこともあるので比較対象はありますが。すごく、雰囲気がよかったです。サンウルブズを応援する姿勢、エナジーを感じられた。その一部に自分がいられることがいいなと思えました。あの応援は私たちへのものではありませんでしたが、ラグビー自体を楽しんで応援する姿勢が見られました。ワールドカップへのプランは自分でコントロールすべきもので、環境に左右されたくないが、きょう『今年の秋にワールドカップに戦うとしたら、こういう雰囲気になるんだ』と感じられた。いちアスリートとしては、最高の舞台にいたい」

――プラムツリーさんが2017年秋から日本代表のディフェンスコーチを務めてきたこと、対するサンウルブズのヘッドコーチが同代表アタックコーチのトニー・ブラウンさんだったこと。それぞれ試合にどんな影響がありましたか。

プラムツリー

「トニー・ブラウンはクレバーなコーチです。彼の率いるチームと対戦するにあたり、特に私たちに対する彼らのアタックが気がかりな要素となりました。その一部はまさにグラウンドで体現されていて、特にサンウルブズのショートサイドでのアタックにやられた印象です。やはり、トニー・ブラウンは想像の範囲で効果的な戦略をきちんと立ててきました。加えて言えば、彼は私のコーチングをよく知っている。それが向こうに役立ってしまったかと思います」

――いまはハリケーンズの仕事に集中しているのでしょうが、伺います。今秋のワールドカップへは、どんな思いをお持ちですか。

プラムツリー

「(苦笑しながら)そうですね。仰るように、いまはハリケーンズでの仕事にただただ集中しているだけです。日本でのコーチングは大好きですが、いまやるべきことはハリケーンズに関すること。日本代表がワールドカップで勝てるかどうかを心配するのは、もう少し後のことです。ただワールドカップの決勝では、日本代表とオールブラックス(母国ニュージーランド代表)が戦うべきです!」

 日本代表候補は今年2月から、ディフェンスコーチ不在のまま各地でキャンプや対外試合を実施中だ。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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