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明治大学、対抗戦でも帝京大学に勝利。福田健太キャプテンの思考。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
写真は昨年の大学選手権決勝。(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 昨季19年ぶりの大学選手権決勝進出を果たした明治大学ラグビー部は11月18日、東京・秩父宮ラグビー場で関東大学対抗戦Aの帝京大学戦を23―15で制した。

 大学選手権9連覇中の帝京大学が対抗戦で敗れたのは2015年度の筑波大学戦以来で、明治大学が前年度の選手権決勝で屈した帝京大学を下すのは4月の春季大会、夏合宿中の練習試合に続き3度目。大学ラグビーの勢力図を揺るがしつつある。

「前へ」を伝統的な部是とするクラブで今季のキャプテンを務めるのはスクラムハーフの福田健太。今季ヘッドコーチから昇格の田中澄憲監督の下、複数リーダー制を運営してチームを引っ張っている。

 7月某日の単独取材時、自らのリーダーシップの形成までの経緯などを語っている。今季の強さの根幹をなす、「ゲームライクな練習」の効果もまた。若者のマネジメント、メンバーの向上心を引き出す仕組みに興味のある読者にとって、実りのある談話と見られる。

 以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――春のゲームを観る限り、グラウンドで寝たままの選手が減った印象です。

「去年に田中監督が(ヘッドコーチとして)来てから、『B・I・G(バック・イン・ゲーム)』を意識。倒れてからグラウンドに戻るまでの時間を2秒以内にする、という意味です。その(遂行度合の)データでも取ってもらっている。常に仕事をし続ける意識を去年から持つようになってきて、それがだんだんメイジのスタンダードになって、それが春シーズンに活きていて、相手にとってはうちのディフェンスラインの枚数が多く感じているんじゃないかと」

――その下地となる運動量は、どう伸ばしていますか。

「練習時間自体は変わっていないですが、練習中の走行距離が伸びていて、高強度ランのできる回数が上がっている。よりゲームライクな練習ができていると思います。アタックディフェンスの時は、澄さん(田中監督)が笛を吹いた瞬間に(その場へうつぶせに)寝て、起きて、そこで澄さんがボールをどこかへ投げて…という感じでやっている。あとはフィットネスの後にボールゲームをやったり。自分たちの実感としても、数値としても、高強度の練習ができているとわかります。

 去年と同じことをやっていては絶対に勝てない。今年は外国人枠が2から3に増えている。外国人2人のチームに勝つための練習をした去年も準優勝だったわけだし、今年は去年よりハードワークし続けないと、日本一は見えてこないです」

――リーダーシップについて伺います。茗渓学園高校時代も、キャプテンを務められています。学んだことはありますか。

「いま考えたら、キャプテンっぽいことはしていないです。ただ、高校の経験は活きていたと思います。練習も自分たちで考えて、メンバーも監督と相談しながら決めていました。茗渓学園には高校の部活動の一貫みたいなところがあって、いろんな考えを持っている人間がいるなか、どうすれば皆が飽きずに集中してやれるかを考えながら練習メニューを作っていました。専門のコーチがいないなかで毎日同じようなメニューをするとマンネリ化しちゃって、こなすようになっちゃうんで。授業の1限から6限まで、『きょうは何をやろう』『フィットネスはどんな感じでやろうか』と新しい練習を考えていました。僕もコーチングの勉強とかをしたわけじゃないし、常に新しいドリルをやんなきゃいけないみたいなイメージがあって。でも、大学の時は常に同じ練習、基本的なことを積み重ねるのが大事なんだなと思いました」

――単調なメニューに飽きが来ないようにする。そのためには各部員への声掛けも大切です。

「高校の時は大学受験もあったので、練習に乗り気じゃない奴もいて。彼らをどう巻き込むか、接し方とかを学んだんじゃないかなと思います。ガツンという言う時もありましたし、向こうの話を聞き、同情しつつ『…じゃ、やろうか』と引っ張ってみたり。ただ、若かった、というのはありますよね。自分ひとりでやりすぎた。もうちょっと人を巻き込んでやればよかったな、とは思います」

――今、明治大学のキャプテンとして。

「メイジは皆で作っていくチームだと思います。1人で抱え過ぎず、いい感じで色々な人を巻き込めているんじゃないかと思います。井上遼、松尾将太郎、高橋汰一とか、他のリーダー陣にもリーダーとしての自覚がある。

 1,2年生の頃は全員が同じレールに乗っていなかった。やる人、やらない人が両極端だったと思います。それに、やる人がやらない人に関心を持つわけではなく。

 10人中9人がやる人だったら、浮いた1人を巻き込めばいいだけじゃないですか。(その空気を作るのは)やっぱり4年生だと思います。去年の古川満さんたちを見て思いました。(当時の4年生は)ネガティブな発言をしなかった。勝てなかった頃はラグビーに4年生全員が100パーセントで取り組めていなかったという話も聞くし、(下級生時代に)そういう雰囲気だった時もありました。

 逆に4年生が細かいことを徹底していると、下級生も裏切れなくなりますよね。日本一というターゲットに向けて皆がやっていけているのが、ここ最近だと思います。まだまだできることはあると思いますけど、それができるようになったら日本一というタイトルも得られると思う。1月12日の決勝にピークを持っていけたらと思います」

 対抗戦では現在、帝京大学と明治大学が5勝1敗で並ぶ。明治大学は12月2日、秩父宮での早稲田大学との最終戦に勝てば、対抗戦の優勝を決められる。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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