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ソニー・ビル=ウィリアムズが、W杯優勝メダル贈与の件とタトゥー問題を語る。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
当日もオフロードパス炸裂か。(写真:ロイター/アフロ)

 まずは、こちらの映像をご覧いただきたい。

 2015年10月31日、ロンドンはトゥイッケナムスタジアム。4年に1度のワールドカップイングランド大会決勝後のことである。オールブラックスことニュージーランド代表が2大会連続3回目の優勝に喜ぶなか、途中出場したソニー・ビル=ウィリアムズは興奮のあまりスタンドから飛び出した少年に優勝メダルをプレゼント。人柄のにじむワンシーンは当時、世界中で話題となった。

 あれから約3年。「SBW」ことウィリアムズは、オーストラリア代表とのブレディスローカップ参加のため来日した。10月27日、神奈川・日産スタジアムでのこの一戦に出場すれば、代表戦出場歴を意味するキャップ数を「50」の大台に乗せる。

 インサイドセンターで先発予定のウィリアムズは25日、都内で会見。当時のエピソードや今度の試合への思いなどを語った。

 以下、共同会見中の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――次で50キャップ達成。心境の変化は。

「あまり変わりはないんですが、ここまで来られたな、という感じです。こういう環境でやってこられたことに感謝しないといけませんし、このままやれるところまでやりたい。この先の可能性について、深く考えないようにしています。ただ、いまここにこうしていられることは嬉しいです。あとは、自分がやるべきことをやるだけです」

――どのくらいの時期に、いまのような立場になれると感じていましたか。

「ラグビーを始めた時から、目指していたところでした。年を重ね、強くなり、この環境に身を置くことでさらに頑張れた部分もあると思います。ここでやっていこうと覚悟を決めてからは、やれる限りのことをやってきた。その積み重ねがいまに繋がっている。隣にいる彼(フルバックで先発のダミアン・マッケンジー)もそのような感じだと思われます。

 オールブラックスの一員でいると、すべての時間が特別に思えます。怪我をしていたり、試合に出られなかったりする時もです。オールブラックスに選ばれるのは、それだけ凄いことです」

――33歳となりました。身体をキープするのにどんな努力を。

「だんだん、やるべきことは増えています。そんななか、どんな取り組みが一番自分に機能するかを考えてやっています。それがより長くプレーできることに繋がると思っています」

――今度のブレディスローカップ。対するオーストラリア代表のバックスの働きを変えられる自信はありますか。

「相手を変えるというより、自分たちがやりたいことをどこまでやれるかに焦点を当てます。細かいことは今日の午後の練習で詰めます」

――戦術面を含め、何によって相手を制圧したいか。

「特段、変わったことはない。我々がいつもやっているラグビーで相手とどこまでやれるかということです」

――改めて、メダルのプレゼントについて。すぐそんな行動ができるようになるべく、心がけていることはありますか。

「いつもポジティブでいることです。こういう舞台に立てることが幸せで、自分がどんな状況下にいるかを理解し、それをポジティブに捉えたら、それを行動で示さなければ。そう思っています」

 身長194センチ、体重108キロ。筋骨隆々の身体つきで、球を持てばタックラーを1人、2人とかき集める。タックルされながら球をつなぐ、オフロードパスの名手でもある。プロボクシングへの挑戦など多彩なキャリアでも注目を集め、2012年に日本のパナソニックに入った際は集客力に大きな影響を及ぼしていた。

「自分の周りにいるチームメートや家族が幸せであればそれでいい、と。皆の幸せは試合に勝つこと。いいパフォーマンスをして勝利に貢献するために、体力向上の狙いでボクシングを始めたのです。確かにいろいろと言われてきましたが、ネガティブな声には耳を貸さず、目を通さず、自分の道を信じてきました」

 本人は当時のインタビューでかく語り、パナソニックの関係者は契約前の逸話を驚きとともに明かす。

「周囲からの噂と、実際に会った時の印象のギャップが面白かったですね。物静かです。私がニュージーランドに行ったのはちょうど試合の数日前だったんですが、炭水化物を中心とした質素な食事を摂っていて、リビングに彼の少年時代の家族写真があった。…これは、表現には気を付けて欲しいんですが、雰囲気としては決して豊かな環境ではなさそうだったんですね。話を聞いたら、『俺は、この時の気持ちを忘れたくないんだ』と」

 来年には日本でワールドカップがおこなわれるなか、議論のひとつとなっているのがタトゥー問題だ。

 国際統括団体のワールドラグビーが大会参加選手へ公共施設でタトゥー(入れ墨)を隠すよう要請していたと、複数の英メディアが報道。日本ではタトゥーを暴力団関係者と関連づけ入浴、入場を断る施設が多いからだ。もっとも環太平洋諸国の選手の多くがタトゥーを入れており、日本国内での異文化への寛容さが問われてもいる。

 今度の会見でも関連の質問が出たが、ウィリアムズは淡々と言った。

「日本に来るのは初めてではない。そのたびに長袖、長ズボンをつけていました。今回は、そういったこと(異文化への対応)も含めてワールドカップ前に経験できる。選手にとっては大きいと思います」

――久々の日本。どんなことを楽しんでいて、楽しみにしていますか。

「このツアーを楽しんでいます。日本の人々はものすごく温かいおもてなしをしてくれるので、ここにいることは貴重な経験です」

――改めて、オールブラックスの一員でいることの意味を。

「ニュージーランドのスポーツで最大のもので、皆が憧れるオールブラックスのジャージィを着るわけです。いいプレーをしなくてはいけないと思います。維持をするというより、毎回、毎回、良くなっていきたいとも考えます。今日の次は明日、また次の明日があります」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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