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明治大学・箸本龍雅、強敵との試合で見つけた伸びしろは?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
昨季の大学選手権決勝では9連覇を狙っていた帝京大学に20―21と迫る。(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 シーズン前のグラウンドには、発見がある。たとえば7月上旬、東京都内にある明治大学ラグビー部・八幡山グラウンド。前年にルーキーながらレギュラーに定着した2年の箸本龍雅が、全体練習後にひとりでショートダッシュを繰り返していた。

「U20のスピードコーチの里さんに継続したら速くなると言われていて」

 20歳以下日本代表で指導された里大輔S&Cコーチ提唱のスピードトレーニングを採り入れ、実践しているという。同代表での活動中、防御時のタックルについて鋭い出足で放った場合とそうでない場合とで手応えの違いを痛感。いつでも加速をつけて相手にタックルできるよう、自主練習に取り組んでいた。

 身体をぶつけ合うロックでプレーする箸本は、続く21日、東京・リコー砧グラウンドでのリコーとの練習試合に出場。14―54と大敗したが、多くの学びを得たようだ。試合直後、最近の取り組みや高強度なゲームから得た収穫について語った。

 以下、試合後の単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――トップリーグのクラブと対戦した感触は。

「ディフェンスの時は、U20のように低さ、前に出ることが少しは(通用させることが)できたと思うのですが、アタックの時、間(相手防御網の穴)がない状態で(ボールを持った)自分が正面で当たりすぎて…という課題が出た」

――一般論として、タックラーとタックラーに切れ込んだら前に出られるとされています。この日はずらりと揃ったタックラーを前に「正面」衝突し、その場でせき止められてしまったのでしょうか。

「リコーの選手は面で揃っていた。映像を見返して、そういうチームへの対処法を編み出していきたいと感じました。出てくる相手(飛び込んでくるタックラー)に対してちょっと(ぶつかるポイントを)ずらして、相手の弱い体勢を作って当たるといった工夫ができればよかった」

――とにかく、いまの自分たちより強い相手と対戦することで伸びしろを見つけられたようです。

「このレベルでチャレンジしたことがなかったから、課題が出たことはプラスに捉えてやっていきたいです」

――攻守両面でより機敏に動くためのスピードトレーニング。効果、出ていますか。

「練習の時は(俊敏性を高めることで実現させたいプレーが)できている部分があったのですが、きょうのようなハイプレッシャーのかかった試合ではあまりできなかった。自分がアタックの時のずらし(相手を瞬時にかわす動き)の部分などです。まだまだ身についていないと実感しました」

 チームは昨季、19シーズンぶりに大学選手権決勝へ進出。今季は22季ぶりの日本一奪還を目指している。なかでも箸本は、一昨季の全国高校ラグビー大会で優勝した東福岡高校、さらには高校日本代表でキャプテンを務めた主力候補だ。クイックネス強化も「きょうのようなハイプレッシャーのかかった試合では(目指す動きが)あまりできなかった」と、その成果にはあえて厳しい評価を下す。さらなるバージョンアップを期待されるなか、地道に努力する。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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