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クラブ初の医学部キャプテン。慶應義塾大学・古田京、「あと半年」の航路。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
左足でキックが蹴られるのも魅力。(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 日本最古豪の慶應義塾大学ラグビー部では今季、クラブ史上初となる医学部出身のキャプテンが先頭に立っている。古田京だ。

 麻生ラグビースクール、慶應普通部、慶應高校を経て慶應義塾大学入り。授業や実習の厳しい医学部入学に伴い本格的な競技生活にピリオドを打つことも考えたが、高校3年時の全国大会出場などを機にプレー継続を決断していた。身長177センチ、体重84キロのスタンドオフとして、スペースを察知する嗅覚と的確な判断力でチームを引っ張る。

 トップレベルでのプレーは今季限りの予定。6月24日、東京・秩父宮ラグビー場での関東大学オールスターゲームに対抗戦選抜の一員として出場。試合後に思いを明かしている。

 以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――今年でラグビーは最後。

「春シーズンが終わってしまったので、あと半年。いままでも大事に過ごしてきましたけど、これからが大事な期間になるなと感じます」

――今年の指標は、「勝ちにこだわること」「細部にこだわること」「毎日、一生懸命やること」と伺っています。この観点から、春先の戦いを振り返ってください。

「これを信じてやろう、と。ただ、最後の細部にこだわろうというものがあまりできていなくて。春の戦いでは結果ほど内容は(相手と)離れていないという試合が多かったなかで、(必要なものは)何かを考え、『改めて細部に立ち返って取り組んでいこう』とリーダー陣と話しています」

――春季大会は2勝3敗。単発の突破から大量失点を喫した試合もありました。

「ひとつのルーズボールを拾うか拾わないか、ひとつの判断ミス…。そうしたことの積み重ねで、言い方は悪いですがたまたま(のような形で)点を取られて差がついてしまって…という振り返りをしました。逆に言えば、そこが一番の差と見て、再スタートをしています」

――攻めてはチーム戦術に沿って動き、守ってはタックル、肉弾戦への絡みなどで粘っています。それでも要所でのエラーをきっかけに波状攻撃を仕掛けられる…。それが「たまたま点を取られてしまう」の実相ですね。改善すべく、何に取り組んでいますか。

「本当にひとつひとつのスキル。ボールの持ち込み方、パスの投げ方、捕り方。また、ひとつひとつの判断の精度をどれほど、上げられるか。自分たちのやろうとしているラグビーを完全に理解して、形としてはできている。それが点に繋がっていないのだとしたら、戦術ではないところ(に課題がある)」

――ところできょうのオールスターでは、大学選手権9連覇中の帝京大学や昨季同準優勝の明治大学の選手とチームメイトとしてプレーしました。学んだことはありますか。

「皆が、(プレー中に)よく喋るなと。喋りのレベルも高い。(一般的に)そういうことがあまり得意そうではない前3(フォワード第1列)の選手も、よく喋る。自分からリードする。そういう選手がここに集まっていたからなのかわからないですけど、喋るスキルは高い。慶應もよく喋ってはいますけど、きょうはその部分でのトップが集まっていました。30個の正しい目で(試合を)見ていた」

 ライバルから貴重な手土産を持ち帰り、1999年以来の大学日本一を目指す。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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