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帝京大学・岩出雅之監督、約2年5か月ぶり公式戦黒星。「もうちょっと丁寧に」【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
9連覇を決めた昨季の集合写真。中央のブレザー姿が岩出監督。(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 4月30日に北海道・札幌ドームで関東大学春季大会Aグループの一戦があり、大学選手権9連覇中の帝京大学が明治大学に14―17で敗れた。ノーサイド直前に逆転トライを喫するなど、向こうの粘り勝ちを見届けた格好だ。

 帝京大学の公式戦敗北は2015年11月以来のことで、春季大会での同部の黒星は今回が初めてだった。

 1996年からチームを率いる岩出雅之監督は、何を思ったか。5月6日、東京・秩父宮ラグビー場で関東学生代表を率いた後に取材に応じた。

 語ったのは、「もうちょっと丁寧に」「悲観しすぎず、楽観しすぎず」という、今後取ってゆく態度についてだ。いずれも、このチームにとっての普遍的な哲学だ。

 

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――改めて、明治大学戦を振り返っていただけますでしょうか。帝京大学のプレーを見て、どうお感じになりましたか。

「(完成度などは)全然ですよ、まだ。悲観もしていないけど、楽観もしていなくて。負けないとわからないこともあるから、と考える。もうちょっと丁寧に」

 ここでの「全然」は、今後の伸びしろの大きさを予見しての発言かもしれない。特にバックスラインでは一部離脱者がいて、明治大学戦では多くの下級生が出場していた。

――「もうちょっと丁寧に」。確かに、自陣で相手ランナーを駆け戻って止めようとした選手がハイタックル(首より上へのタックル。反則となる)をしたシーンなどもありました。

「いや、ハイタックルがどうのこうのはメインじゃない。ハイタックルのシーンであればその前のコース取りが(相手ランナーをどう追いかけたかが問題だった)…ということで、結果としてそうなった(ハイタックルと見られる体制でのプレーをせざるを得なくなった)」

――「もうちょっと丁寧に」。ボールを持たない、タックルをしない局面での丁寧さをより求めてゆくということでしょうか。

「そういうわけではなく、練習や試合など、色々なことをもう1回、丁寧に分析したりするということです。これまでも雑にやっていたわけじゃないけど(改めて丁寧に見つめ直す)。勝つと楽観的になるけど、負けると悲観的になる。楽観しすぎず、悲観しすぎず、そのバランスを取ります」

 岩出監督はかねてから、結果に左右されず粛々とタスクに取り組むすすめを説いていた。「楽観しすぎず、悲観しすぎず」は、自らの態度を改めて提示した発言とも取れる。

――抽象的な表現になりますが、明治大学も最後の最後まで頑張るチームになった印象ですが。

「(頷きながら)キヨ(田中澄憲新監督)の性格が出ている」

――そのまま、大学日本一を争う相手となりそうです。

「大東(文化大学)も強いと思うよ」

 

 前年までヘッドコーチだった田中監督の率いる明治大学に加え、堅実な守りと留学生選手の爆発力を兼備する大東文化大学のことも警戒しているようだ。

 ちなみに帝京大学の春季大会2試合目は5月13日、東京・帝京大学百草グラウンドであり、相手は大東文化大学である。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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