Yahoo!ニュース

サンウルブズ堀江翔太、6敗目に向ける4つの視点とは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
鋭いタックルと豊かなスキルを披露。(写真:中西祐介/アフロスポーツ)

 国際リーグのスーパーラグビーへ日本から参戦して3季目のサンウルブズが、4月8日、東京・秩父宮ラグビー場での第8節で優勝経験のあるワラターズに29―50で大敗。開幕6連敗を喫した。

 このチームの初代キャプテンである堀江翔太が試合後の共同取材に応じ、チームの状況や課題のプレーなどについて語った。

 2013、14年にはレベルズの一員としてスーパーラグビーに参加していた堀江はこの日、フッカーとして先発出場。スクラムの最前列中央へ入り、ラインアウトではボール投入役を務めていた。

 今回の談話からは、「メンバーを固定しないことのメリットとデメリット」「防御が崩される背景」「スクラムへの手応え」「改善傾向にあるラインアウトの実相や問題点」などについて触れている。

 以下、共同取材中の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――なかなか勝利が掴めません。

「アタックでミスをして相手ボールに取られて…(即失点する)というところがあった。あそこでアタックが続けば…。メンバーが色々と変わるなか、(呼吸が)合わない部分もあるかもしれないですね」

――怪我やローテーションプラン(主力への休暇の付与)のため、試合ごとにメンバーを入れ替えざるを得ないのが現状です。

「対応力、1週間でやることを理解するという理解度は全般的に上がっていると思いますよ。選手を固定していない分、(スーパーラグビーでの試合や準備の)経験者の数は増えているので。それは、非常にいいことだと思います。僕が(レベルズの一員として)スーパーラグビーに行った時もそうでしたけど、メンバーを固定しているチームだと調子の良し悪しに関係なくある程度同じメンバーで戦う。それでは(連携が深まる分)勝ちという部分には近づきますけど、経験ができない若い選手はそのまま消えて行ったり、移籍したりという感じになるので。

 ただ、場面ごとにこいつどんなボールが欲しい、(立ち位置は)どんな深さが好きというのは(固定メンバーのほうが)わかってくる。(メンバーの固定とローテーションには)両方にいい面がある。どちらがいいとは言えない」

――防御について。

「システムが引き気味(相手を待ち構える状態)になっているのですが、僕らは体重で劣っているので…」

――「引き気味」と仰っていますが、当初のサンウルブズの防御のコンセプトは鋭く前に出て間合いを詰めるというものでした。

「基本的に前に出て、ということで。ただ、(鋭く前に出る選手の背後を突かれた第3、4節を指してか)出過ぎたから、次は下がって、今度(ワラターズ戦)は下がり過ぎている感じです。ラインを上げて(失点して)いる時は、上げ過ぎていたんです。(防御ライン上で)キーになるポジションの選手がいるんですけど、そういう選手がどう判断するかだと思うんです。(いち選手である)僕が言うのはあれですけど」

 防御網をせり上げるにも、各人の立ち位置や飛び出すタイミングには改善の余地があるという。「引き気味」にシフトチェンジするよりは、「上がる」の手法をマイナーチェンジする方がサンウルブズにマッチしていると堀江は言いたげだ。防御の仕方について、コーチングスタッフと意見を交わすべきかどうかを思案しているようだった。

 2015年のワールドカップイングランド大会時も、当時のディフェンスコーチと繊細なやり取りをかわして防御システムの改善に名乗りを上げている堀江。今後、どんなアクションをするのだろうか。

――ここからは、攻守の起点となるセットプレーについて。8対8で組み合うスクラムはいかがでしたか。

「押したり押されたり。全般的にはよかったんじゃないですか」

――後半、敵陣ゴール前でのスクラムで何度も相手の反則を奪いながら、最後は自軍が塊を崩してしまったことがありました。

「スクラムの中では、プレエンゲージ(本格的に組み合う前)の時に押したり、押していなかったりしているんですよね。そこが僕のなかでは大切な駆け引きになっている。(相手に崩された時は)その駆け引きで乗られたという感じ」

 当該のシーンでは、後方のロックの選手が足を滑らせたことで、前列にいた堀江らは満足のいく仕掛けができなかったようだ。

――2015年のワールドカップ時、スクラムは安定していました。

「あの時といまを比べて何がちゃうかと言ったら…。あの時はアングルをつけてたんですよ(両脇に入るプロップが真正面よりやや中央寄りに組み込んでいた)。あの年はつけてもよかったのです(ルール上は反則だったが、あまり問題視されなかった)。ただ、2016年のスコットランド代表戦、覚えてます? 僕らが(それまで通りのスタイルで)押したのにペナルティーになって。そういうことなんですよね。

 いまはプレエンゲージでも(圧力をかけては)だめで、(両軍の)間は空けて…となっている。ただ、あれ、間を開けているようで、相手にはすごく体重かけられるんですよ。肩、頭とかで。ここでこっちが最初にかけ負けると…(押される)。ですので、細かい駆け引きはうまいことやっていかんと。(相手と比べて)そんなに体重もないので」

――背の小さな日本人にとっては、間を空けられることはディスアドバンテージになり得ます。それに対抗するには。

「長谷川慎スクラムコーチが言っていることを、毎スクラムできれば。(長谷川コーチ値が唱える)システムを守りながらやれば、(相手は)崩れる。8人でまっすぐ押す」

 スクラムでは、目の前に立つレフリーでも精査しにくい「駆け引き」が繰り広げられる。その成否が両軍の組み合う前の姿勢を左右し、その後の優劣に繋がりうる。長谷川コーチが唱える8人一体のシステムを遂行しながら、相手の最前列との「駆け引き」で優位に立ちたい。

――ラインアウトはいかがですか。前方での確実な補球を意識して失敗が減った印象です。

「何とか。ただ『行けるかな…』というサインで投げたら、風でびやーっと流れましたね! …強風だったので、捕れるところでどんどん捕っちゃえばいいのかなと。マイボールにしちゃえばアタックはできたので。もう何試合もしているので相手の分析も進んでいて、『サンウルブズのラインアウトはここで捕りたいんだろうな』というのが誰が見てもわかるんじゃないですか。実際に『ここ』で、プレッシャーをかけられていた」

――それを踏まえ、この日のプランを遂行したわけですね。他に工夫した点は。

「速くセットして速くボールを入れて…ということを意識していました。ただ、それを短い間で打ち合わせしたうえでやったので、タイミング、癖がついていなかった。もっと速いテンポでボンボン入れようと思ったのですが、もう2、3テンポ遅い。それを我慢するのが大変でした」

 空中戦では、改めてスピードとテンポを意識することで長身選手に競られるリスクを最小化したいという。ジャンプして捕球する選手、それを支える選手の動作の質などもより高めたいと続けた。

 最後は、残りの試合への意気込みを問われる。4月14日には、同じ秩父宮でブルーズと激突するが…。

――この日の公式入場者数は、秩父宮で初の1万人未満となりました。

「観客にそれを求めてもしゃあないのでね。そりゃ多い方が嬉しいですけど、なんで来うへんねんというのはおかしいので」

――次戦へ。

「気にせず次に進むことが大切ですよね。1~2年目もそうでしたけど、いちいちへこんでいたらやってられないので、次に進まんと。やるしかないのでね、僕らは。誰にめったくそ言われようが、次の試合は1週間後に来る。次に向けてどう動くかが大事なんじゃないですか」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

すぐ人に話したくなるラグビー余話

税込550円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

有力選手やコーチのエピソードから、知る人ぞ知るあの人のインタビューまで。「ラグビーが好きでよかった」と思える話を伝えます。仕事や学業に置き換えられる話もある、かもしれません。もちろん、いわゆる「書くべきこと」からも逃げません。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

向風見也の最近の記事