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フランス代表戦で好守の立川理道、感じた手ごたえは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
防御をひきつけながらのパスにも定評あり。(写真:アフロ)

 4年に1度のワールドカップ(W杯)日本大会を2年後に控える日本代表は、現地時間11月25日、敵地ナンテールのUアリーナでW杯準優勝3回のフランス代表と対戦。23-23で引き分けた。好守連発の立川理道が手ごたえを明かした。

 チームはジョン・プラムツリー新ディフェンスコーチのもと、鋭く前に出る防御システムを徹底。立川もその役目を全うしつつ、味方が突破された先へのカバーでも光った。

 特に前半26分ごろ、自陣ゴール前左で決定的なタックルを決める。タッチライン際のスペースを駆け抜ける相手に迫り、トライラインにボールが置かれるより少し早くタッチラインの外へ押し出した。

 ツアー前の10月に故障。11月4日のオーストラリア代表戦で復帰も、その日は神奈川・日産スタジアムで30―63と敗れた。もっとも続く18日は、トゥールーズのスタッド・アーネスト・ワロンでのトンガ代表戦にはフル出場し、39-6で勝利。フランス代表戦でも61分間、インサイドセンターとしてプレーした。

 2015年のW杯イングランド大会でも活躍した副キャプテンは、今度の戦いで何を感じたか。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――率直な感想は。

「プラン通りにできたことがスコアに繋がって、自分たちのやりたいラグビーができたのかなとは思います。ペナルティーで相手にリズムを与えてしまったこともありましたけど、モール(自立したランナーを中心とした塊)の部分では対応できた。(点を)取り切るべきところでミスもありましたけど、ここを修正すればティア1(伝統的強豪国)にも勝っていけるチャンスはあるのかなと思いました」

――悔しさと満足感、どちらが強いか。

「ティア1に対しては、去年のウェールズ代表戦(30-33で敗戦)しかいい試合ができなかったのですけど、きょうこうしてヨーロッパのチームに対していい試合ができたのは収穫。勝ち切れなかったの(理由)は、取り切れるところで取り切れなかったこと、前半の最後にペナルティーからスコアされてしまったこと(勝ち越しを許した)。本当に、そういう小さい、細かいことを修正しないと勝てない。細かいミスをなくしていきたい」

――プラン通り、とは。

「トンガ代表戦のプランはキックをうまく使って相手を後退させるというもの。フランス代表戦はもっとボールを動かしながら、スペースがあれば蹴っていくというもの。前半、後半の入りはすごくよかったと思いますし、そこはプラン通りだったのかなと」

――ボール保持に踏み切った背景は。

「ボールを蹴らずにアタックするというより、アタッキングマインドセットを持つ、と。コンテストキックやショートボールなどのアタッキングなキックは全然、OK。ただ、相手のディフェンスが(接点周辺に)寄っていたのがわかった。ボールを運びながら最後に蹴っていく、とか、ブラインドサイドに蹴っていく、ということができていたと思います」

――防御については。

「プラムが来て時間が経ちましたし、(戦術を)落とし込むなかで選手も自信を持って反応できている。もう少し、直せる部分もあるし、個々のタックルは向上できる。トップリーグに帰ってもしっかりとやっていきたいです」

――立川選手のカバーは見事でした。

「(チームは)結構、(前に)出てディフェンスするところが多かったので、(その背後を)カバーできるところはカバーしたいと思っていました。(チームの防御は)抜かれても(防御網全体が前に)出ている分、ゲインラインは取られない(攻防の境界線を後退させない)というのが重要。この4週間で自信をつけたと思います」

――怪我からの復帰。手応えは。

「個人的にも怪我から復帰してトンガ代表戦、フランス代表戦はコンディションもよかった。また、トップリーグ、日本代表、サンウルブズに向けてコンディションを維持しながらやっていきたいと思います」

 フランス代表戦では15―20とビハインドを背負って迎えた後半21分に「戦略的交代」で退いた。もっとも本人は、数年前の取材でフル出場へのこだわりを語っている。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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