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日本代表復帰目指す小野晃征、ワールドカップへ「グラウンド内外でできることを」【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
ワールドカップへは過去2大会に出場。(写真:アフロ)

 ラグビーの日本代表候補が集うナショナルデベロップメントスコッドのキャンプが9月15日から2日間あった。ここで2016年6月以来の代表復帰を目指していたのが、サントリーのスタンドオフである小野晃征だ。

 幼少期をニュージーランドで過ごした小野は、2015年のワールドカップイングランド大会では予選プール4試合中勝利した3試合に先発。戦術理解度と判断力で仲間の信頼を集めてきた。

 昨季の国内シーズンでも、サントリーを公式戦無敗でのタイトル完全制覇に導くなど活躍。もっとも、2016年秋に就任したジェイミー・ジョセフヘッドコーチ下の代表の活動へは今回が初参加となった。

 練習終了後、2019年のワールドカップ日本大会への思いを明かした。

 以下、共同取材時の一問一答(編集箇所あり)。

――代表関連の活動は久しぶりです。

「自分としては2019年に向けてのスタートライン。今日は残念ながらフィットネステストには参加できなかったのですが(直近の国内の試合で脳震盪の疑いがみられたため)、また桜(日本代表)のジャージィを着られるように頑張りたいと思っています」

――代表復帰までの経緯。

「昨年11月は家族の事情で、今年6月は肩の手術の関係で参加できないなか、ジェイミーとのコミュニケーションは取っていて。トップリーグに復帰したら、去年以上のパフォーマンスを出そうと思っていました。今年は開幕からサントリーにも復帰できて、ピッチ上でのパフォーマンスがよかったから選ばれていると思います。どんどん自分のプレーを磨いていきたいです。ここに選ばれている他の選手も、各チームで活躍している」

――今回のキャンプの意味。

「残り2年間でジャパンのスタンダードをどう高めていくか。これから当たる相手はティア1(古くからの強豪国)ばかりで、ラグビー選手として幸せな2年間。そこを目指して、日々の練習で成長していくことが大事…。今回の合宿は、そういうメッセージが多かったと思います」

――ジョセフヘッドコーチ率いる日本代表への印象は。

「競った試合が多い。あとは勝ち切ること。あとは結構、スーパーラグビー(代表と連携を取るサンウルブズが参戦)との兼ね合いもあってメンバーがころころと代わっていますが、2019年を意識しながらチームを作らなきゃいけないとは感じます」

――戦術的にはキックを多用し、スペースを攻める印象。

「まだ直接関わっていないので、まだわかりません」

――1勝2敗に終わった6月のツアーから思うことは。

「ピッチに立ったら自分のパフォーマンスを大事にして、選ばれなければチームのサポートをする。ジョセフに代わって1回も代表に入っていませんが、いままで通りにやります」

――日本大会は集大成となりそうですか。

「それ以降はないと思っているので、ひとつのゴールは2019年。ここにいる選手も全員意識していると思うので」

――11月のツアーはどんな時間にしたいですか。

「ジェイミーのラグビーに早くフィットして、いる選手といいコミュニケーションを取ってすぐにチームに貢献出来たらいい。グラウンド内外でできることをやりたいです」 

 流れのなかでの各選手への指示で攻撃を滑らかにする、バイリンガルの司令塔。多国籍軍として格上に挑む日本代表にあっては心強い存在となろう。イングランド大会での成功体験を踏まえ、これからの日本代表に必要な「スタンダード」の定義作りでも力を注ぐかもしれない。

 遡ってイングランド大会終了後、自らが付けてきた日本代表の背番号10のジャージィについてこう語ったことがある。

「チームのジャージィは、自分だけのものじゃない。ただ、そのジャージィの意味やプライドは、自分で変えられる。自分が入ってきた時よりいい状態にして、次に繋げたい」

 2019年には32歳になっている。「ひとつのゴール」に向け、これまでもこれからも悔いなき道を歩む。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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