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日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチ、6月シリーズ先勝に何を感じた?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
キーワードは「それぞれの仕事を全うする」。(写真:アフロ)

ラグビー日本代表は6月10日、熊本・えがお健康スタジアムでルーマニア代表とのテストマッチを33-21で制した。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが会見し、収穫と課題を明かした。

昨秋着任のジョセフヘッドコーチは、キックを交えたち密なコンビネーションを標榜。攻守逆転の瞬間や相手キックの捕球からのアンストラクチャーの攻めに一定のロジックを落とし込んでおり、この日はそれが奏功した。

33-9と大きくリードを奪った終盤は、相手のパワープレーに気圧され連続失点。ボスはどう見たか。

以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

「まずはきょう、堀江翔太キャプテンが50キャップ目(テストマッチ=国際真剣勝負への出場数)を獲得しました。おめでとうございます。ここまで日本代表として身体を張ってくれて、オーストラリアでもプレー(レベルズに加入し、国際リーグのスーパーラグビーでプレー)。いまでも日本代表を引っ張っている。心からおめでとうを言いたいです。

そして、きょうは勝てたことがうれしい。サンウルブズ(スーパーラグビーの日本チームで、代表と連携)でもハードワークを重ねましたし、6月のキャンペーンを始めるうえで勝つのは大事だと思っていました。

相手は想定内でした。体格が大きく、セットピースを中心としたゲームの組み立て方をしてきた。そこで我々のスタイルを貫き通せたのが大きな勝因だと思います。我々のゲームプランを全員が遂行できる時は、いい形でプレーできるのが明白だと思います。

ただ、自分たちにプレッシャーのかかった時、特に後半、暑いなかでやるべき仕事が遂行できなかったり、隙を見せると、そこを狙われる。これも明白でした。

怪我人はそこまでいませんが、山田章仁はハムストリングが気になるためスキャンを取っている。フォワードも身体を張っていましたが、先ほど、浅原拓真の目にたんこぶができていた。たんこぶができたということは、非常にいいプレーができたということだと伝えました!」

――2015年のワールドカップでキャプテンを務めたリーチ マイケルは、この日が現体制下で初の試合でした。また東海大学4年の野口竜司は、今回が強豪相手のテストマッチでの初先発でした。

「2人ともいいプレーをしたと思います。リーチはまだ合流して5日目ですが、すでにグッドリーダーだとわかります。勝手なプレーではなく、チームのためのプレーが現れていた。後半1分に生まれた彼のトライでは、彼のXファクター(特別な要素)が出た。

野口の起用には、何のためらいもありませんでした。彼の準備の仕方を尊重して準備させました。強豪国との試合は初めてでしたが、安定したプレーを見せてくれました。これからもポテンシャルを発揮して欲しいと思います。

選手への評価への質問に対しては、自分たちのプランを遂行したかどうかを見て話しています。きょうはシステム外のプレーをした選手がいた。それが今後の課題だと思います」

――終盤の苦しい時間帯について。

「相手はでかくパワフル。このレベルの戦いでシンビン(一時退場処分)が出て、14人でのディフェンスを強いられると、苦しい戦いになる(後半22分に伊藤平一郎がシンビンとなった)。それを前後して、2トライを取られている。規律を持って、お互いを信頼して、無理なプレーをしないことです。シンビンが出るとジャパンは苦しくなる。そして最後の10分のところでシンビンの選手が戻り、コントロールできるようになったら、最後、トライの取れるところまで行った(途中出場した田村優の接点への絡み、ロングキックで陣地を挽回)。それが今回の収穫です」

――熊本で試合ができたことの意味。

「そのことは、試合に向かう前のミーティングでも言いました。熊本が地震の被害に遭っているなか、プライドを持った戦いを見せられたのが嬉しい」

チームは17、24日にアイルランド代表と2連戦をおこなう(場所はそれぞれ静岡・エコパスタジアム、東京・味の素スタジアム)。アイルランド代表は、2019年にあるワールドカップ日本大会の予選プールで日本代表と同組。もっとも今回は日程上、主力を多く欠く。引き続き白星が期待されるなか、ジョセフら首脳陣がどんな準備を施すのだろうか。

「アイルランド代表はさらに強いチーム。テストマッチはどのチームも死に物狂いです。選手は必ず向上し、さらにいい形で挑んてくれると思います」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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