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ワールドカップ組分け。日本代表ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ意気込み。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
前回大会の南アフリカ代表戦勝利後。(写真:ロイター/アフロ)

2019年に日本で初めて開催される第9回ラグビーワールドカップの予選リーグの組み合わせ抽選会が、5月10日、京都迎賓館でおこなわれる。抽選会がイングランド、アイルランド以外の場で開催されるのは初。抽選会には安倍晋三首相も出席する。9日に京都市内のホテルであった前夜祭を前に、日本代表のジェーミー・ジョセフヘッドコーチが取材に応じた。

予選プールでは、出場の全20チームがA組からD組まで4つのグループにわかれ、各組上位2チーム(計8チーム)が準々決勝に進出。イングランドでの第8回大会で過去優勝2回の南アフリカ代表などを破った日本代表は、3勝を挙げながら予選プールを突破できない初のチームとなっていた。今回は悲願の8強入りを狙う。

抽選会には、出場20チーム中すでに参加権を得ている12チームの代表者が出席。当該の12チームはあらかじめ、世界ランクをもとに「バンド1」「バンド2」「バンド3」という3つのグループにカテゴライズされている。

各バンドから1チームずつが予選プール各組に散らばる仕組みで、世界ランク11位で開催国シードなどがない日本代表は「バンド3」。「バンド1」「バンド2」の強豪国との対戦は避けられない。

大会2連覇中のニュージーランド代表は世界ランク1位で、前日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ率いるイングランドは同2位でそれぞれ「バンド1」に位置。「バンド2」には日本代表に屈した前回大会を4強で終えた南アフリカ代表、近年力をつけるフランス代表などが入っている。「バンド4」「バンド5」に入る8チームは今後の大陸予選結果などで決まるが、環太平洋の強豪であるサモア代表、フィジー代表、トンガ代表などがその切符を狙う。

ジョセフヘッドコーチはニュージーランド代表、日本代表の選手として過去2回のワールドカップに参戦。指導者としては未体験。現在はアジアラグビーチャンピオンシップに参加する若手主体のメンバーとともに合宿中で、6月、11月に強豪とのテストマッチを控えている。

以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――間もなく本番での対戦国が決まります。

「エキサイティングな気持ち。あす(10日)を皮切りに、それ(具体的な対戦国)に向けて準備を…となる。楽しみです」

――対戦したいチームは。

「どのグループに入っても、2つのティア1(長く強豪だったチーム)のチームと対戦することになる。どのチームと当たっても、大きなチャレンジです。すべきことは多くある。サンウルブズ(国際リーグのスーパーラグビーに参戦する日本チーム)は強化の一端を担います。たくさんの選手がタフな試合を繰り返せる。それと同時に、アジアラグビーチャンピオンシップに挑む若手のチームもある。それを踏まえながら、私たちのゲームプランを落とし込んでゆきます」

――すでに現地位置している他国代表の指導者と、何かお話はされましたか。

「はい。これまでを通じて知り合った方もいるので。なかでもニュージーランド代表のスティーブ・ハンセン、イングランド代表のエディー・ジョーンズは非常に優れた指導者。特別な時間です。抽選が終わってからは、彼らと話す内容がまた別のものとなると思います」

――選手時代に2度、ワールドカップを経験しています。ただ、指導者としては初。

「私が経験した時代と今では、ワールドカップも違うものになっています。大会と大会の間におこなわれるテストマッチも増えていて、私自身、コーチとして経験を積んできた。そんななか確実に言えるのは、ワールドカップがどのチームもベストコンディションで挑む大会だということです。この大会に向け、選手のモチベーション、フィットネスレベルを最高潮に持ってゆく。そんななか、我々は国民の皆様の前でプレーできる」

――選手に対戦したい国を聞けば、ニュージーランド代表やイングランド代表に票が集まっています。

「私たちの選手が、強い相手にチャレンジしたい気持ちを抱いている。それは私たちの意図するところなので、素晴らしいことです」

――母国ニュージーランドと戦いたい気持ちは。

「私が思っているのは、相手が誰であっても大きな山であることは変わらないこと。そもそも私が日本代表のヘッドコーチを引き受けたのは、この国でワールドカップがあるからです。自分がこの国に与えてもらった、その恩返しをしたい」

――対戦国に関係なく、ワールドカップで勝つためには何に留意して準備をしたいか。

'''

「さまざまありますが、ひとつ挙げられるのは天候のこと。ここは我々にとって優位になります。開催されるのは9月で、非常に蒸し暑い。各国とも、早めに現地入りするなどさまざまな準備をすると思います。ただ、我々は、その暑いなかでプレーするのに慣れている。こうしたことを踏まえ、ハードに、賢く準備をしていきたい」'''

――改めて、意気込みは。

「私が覚えているのは、選手時代に出場した第3回大会(1995年)。開催国の南アフリカに、私たちニュー人ランド代表が決勝で敗れました。南アフリカの国民の皆様の後押しが相手の力になったと感じています。そうした光景を目にしたうえで思うのは、願わくば、次回も似た状態になってもらうことです」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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