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日本代表ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ、イングランド代表戦報道について語る【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
練習中は、特に防御組織をチェック。(写真:アフロスポーツ)

ラグビー日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチは現在、アジア・ラグビーチャンピオンシップに参戦中。4月26日は都内での練習後、取材に応じ、29日に東京・秩父宮ラグビー場でおこなわれる第2戦目へ意気込みを語った。最後には、このほど浮上したイングランド代表との対戦についても談話を求められた。

韓国・仁川の南洞アジアードスタジアムでの初戦では、韓国代表に47―29と勝ったもののエナジーを感じなかった。特に、7割台だったタックル成功率を問題視。韓国代表との再戦になる第2戦に向け、スターターを8名入れ替えるなどして準備を進める。

今回の日本代表は若手主体の編成となっている。主力候補の多くはサンウルブズの一員として、国際リーグのスーパーラグビーに参戦している。

以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――まず、次戦に向けて。

「先週のテストマッチは勝ったけれどいいパフォーマンスはできなかった。ディフェンスも機能しなかった。今度はいいパフォーマンスをしたいという気持ちだけです」

――もともと、ナショナルデベロップメントというキャンプなどを通して戦える選手が誰なのかを吟味されていました。しかし、先日のゲームでは選手の働きを残念に思われた、と。ご自身にとって、想定外だったことはありましたか。

「先日の試合では、11人が初のテストマッチでした。(経験のある)山田章仁、サンウルブズから加わったマルジーン・イラウア、松橋周平、金正奎も起用しようと思えば起用できたのですが、そうしたとしても新たな発見はなかったと思います。今回、このメンバーで試合をしたことで、新たないい発見、教訓を得ました。ここから発展したいです」

――スクラムハーフの流大キャプテン、スタンドオフの小倉順平選手は前回と同じコンビ。

「この2つのポジションは、層が厚いと思っています。選ぶのに、頭を悩ませています」

――ウイングで先発の山田章仁選手に何を期待しますか。

「いいパフォーマンスをしたいという気持ち、です。30代前半ですが、あと3年ぐらいプレーできるよ、というところを見せて欲しい。サンウルブズでツアー中の同じポジションの選手も、いいパフォーマンスをしている。競争が激しいことを自覚したうえでのプレーを、期待しています」

――フォワード第3列で唯一、2試合連続先発となったフランカーの小澤直輝選手について。

「先週はフォワードで劣勢になりましたが、彼だけは身体を張る部分で際立っていた。いいワークレートで、ほかの選手がついていけるような土台を作ってくれる」

――スタンドオフを主戦場とする22歳の松田力也選手は、インサイドセンターに入ります。

「いいラグビー選手だと思います。どこででも起用できます。彼のスタンドオフとしての能力は、わかっています。ただ、ユーティリティープレーヤーというのはコーチにとって貴重」

――ベンチには、松田選手と同い年でもあるスタンドオフの山沢拓也選手が入った。

「試合を見ながらどこかのタイミングで起用すると思いますが、若手に平等な機会を与えたい。彼もポテンシャルの高い選手。…まずは、誰が、どうとかではなく、しっかりとチームに戦う準備をさせたい。先週は意気込み、気持ち、スキルを持ち合わせたプレーができなかった。しっかりと修正したいです」

この日、日本代表が来年にイングランド代表と対戦する計画が浮上していると、一部で報じられた。

欧州6強の一角であるイングランド代表は、自国開催だった2015年のワールドカップで予選プール敗退に終わったものの、日本代表前ヘッドコーチのエディー・ジョーンズを指揮官に据えるや「ラグビーの母国」として復活。テストマッチ18連勝をマークし、欧州6か国対抗では昨年、今年と2連覇。現在世界ランクではニュージーランド代表に次ぐ2位につける。

もしこのプランが遂行されれば、2019年のワールドカップ日本大会に向けた日本代表強化の絶好の機会となる。前指揮官との対戦という話題性と相まって、注目度が高まる。

慎重なジョセフヘッドコーチは、この件についてこう応じた。

「その話は聞いていません。ただ、言えることは、タフなチームとの対戦でいい準備ができる。それがイングランドでも、オールブラックス(ニュージーランド代表)でも、強い相手と戦えるのはいいことです」

まずは目の前のゲームで、エナジーを発揮する。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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