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早稲田大学・山下大悟監督、今年の「取り切る」ポイントとは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
現役時代と変わらぬフォルム、鋭い眼光。(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

大学選手権では歴代最多の優勝15回を誇る早稲田大学ラグビー部が、山下大悟監督体制2季目のシーズンを迎えている。

清宮克幸監督(現ヤマハ)時代の2002年度主将として選手権優勝を果たした山下監督は、2015年度まで日野自動車の選手として活動しながら母校ラグビー部をサポート。昨季から監督となっていた。「スクラム、チームディフェンス、ブレイクダウン」を強化の柱に据え、パートナー企業との連携で部内環境を整備した。

1年生レギュラーを大量に起用するなどして変革の一端を覗かせたが、大学選手権2回戦で同志社大学に敗退(大阪・東大阪市花園ラグビー場)。1月5日から新チームを始動させ、捲土重来を期している。

4月は2日のYC&ACセブンズで優勝するなど、チームによって注力度合いにばらつきのある7人制大会にも真剣勝負を挑んだ。9日の東日本大学セブンズ選手権大会ではチャンピオンシップ準決勝で涙をのんだが、指揮官は確かな手ごたえも口にしている。

前年度を踏まえ、どんなプランを描いているのだろうか。

以下、この日の単独取材の一問一答(編集箇所あり)。

――選手の身体が、より大きくなった。

「いまはプレシーズンの2週目。フォワードはセットピース、バックスはディフェンスをやっていて、チームとしてはこのセブンズでチャンピオンになる、と。YC&ACでは勝ちましたけど、今回は残念な結果です」

――7人制でも優勝を目指した。

「去年はベース作りのところで(時間をかけて)ラグビー自体をやっていなかったですけど、今年は1月から始動していますし、3月からチーム練習にも入っている。そういう意味では、今年は武器にしていくところをやり切って、結果を出すことにこだわっている。やり切る。結果を出す。大会があるのであれば、勝つ、ということです。プログラムを回して2年目。1個1個の大会を真剣勝負しないと。1個1個の武器についても、ディフェンスならしっかりとボールを奪うところにこだわっています」

――防御を、強みではなく武器にする。

「セブンズでは特にリロード、リアクション、ハードワーク(タックルした後の起き上がりのスピードや全体的な激しさ)が出やすいところなので、チーム練習でやっていることをセブンズで活かして欲しいと思っていました。ディフェンスの目的は何か。ボールを奪うこと。チームの狙いどころ(の接点)で、ボールを取り切る。そのためにはリロードを早くして、立っている人間を多くする」

――ターンオーバーをすべき局面を、チーム内で明確化。

「それを極端にやって(示して)、それをするための1人ひとりの責任としてリロードとリアクションをやっています。でも根本の身体の強さと身体のコントロールがないと、絵に描いた餅になる。ストレングスのところも、この8週間で強化しています」

――改めて、大学選手権を振り返ってください。

「応援してくださる方には申し訳ないところ。去年は浮き沈みの激しいシーズンでしたし、最後の試合は関西で同志社大学さんと…。それを想定していたのですが、地力がまだまだ足りず、飲み込まれてしまった。地力があれば跳ね返せる。勝負の綾が来たところで、手繰り寄せられなかった。スクラムも、押しながらも反則を取られたのは(関東大学対抗戦の)帝京大学戦と同志社大学戦だけ。いみじくもその2つの試合で負けていますから。スクラムという武器にしても、優位には立っているけど制圧まではいかなかった。そこもやりきる、結果を出す」

強みをより鋭く。挑戦は続く。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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