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日本代表ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ、アイルランド代表に勝てるか。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
アイルランド代表戦は東京・味の素スタジアム、静岡・エコパスタジアムで開催される。(写真:つのだよしお/アフロ)

代表チームを底上げするためのナショナルデベロップメントスコッド(NDS)は3月24日、第3回キャンプを打ち上げた。陣頭指揮を執る日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチはその前日の23日、取材に応じ、ツアーで感じたことやこの先の試合への展望を語った。

日本代表は4月にアジアラグビーチャンピオンシップ(ARC)に挑み、6月には国内でアイルランド代表などとテストマッチ(国際真剣勝負)をおこなう。

アイルランド代表は昨年、世界ランク1位のニュージーランド代表を撃破。史上最多だった相手のテストマッチ連勝記録を18で止めた。さらに今季の欧州6か国対抗(シックスネーションズ)でも、最終節ですでに優勝を決めていたイングランド代表を下し、ニュージーランド代表と並んでいた同チームの連勝記録をストップさせた。

もっとも今年はブリティッシュ&アイリッシュライオンズ(英国3チームとアイルランドの連合軍)のツアーが組まれており、勝利に貢献した主力選手はそちらへ割かれるとされる。

2013年に来日したウェールズ代表が同様の背景を持っていた際は、エディー・ジョーンズヘッドコーチ(現イングランド代表ヘッドコーチ)率いる日本代表が2連戦中2戦目で白星を挙げている。2019年のワールドカップ日本大会で準々決勝進出を狙うジャパンにとっては、今度のアイルランド代表は強敵でもありマストウィンの相手とも取れる。

以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――ここまでの3週間で感じたことは。 

「スキルが際立ったところ、課題が浮き彫りになったところがあります。課題は、代表レベルのフィットネスがなかった点です。そこを上げるしかない。また、新人選手にはゲームプランへの理解が足りなかった。彼らが所属するチームでつけてきた癖から抜け出し、我々の戦い方にフィットするのが大事。また、プラン習得のために新たなスキルを身に付けなくてはならないことも試練です」

――お話のなかにあったフィットネス。以前は日本代表の長所でした。いまはそうでなくなったとしたら、なぜなのでしょうか。

「…対戦相手の身体が大きいのに対し、こちらは体格、経験値が足りない。勝つには、フィットネスでモノを言わせないといけない。試合(アイルランド代表戦)は暑いなか、おこなわれる。違った体力も必要かもしれない」

1試合をタフに戦いきるフィットネス(持久力)に関しては、過去と現在の比較を避けながらいまの立ち位置を表明。それが、代表指揮官の現在地のようだ。

――ワールドカップの予選プールの組み合わせ抽選会は5月におこなわれます。その組み分けのもととなる、出場決定国の抽選バンドが発表されました。日本代表は世界ランク9~12位が位置する「バンド3」に入り、同1~4位の「バンド1」、同5~8位の「バンド2」のチームと対戦します。

「想定内です。必ず、強豪国と戦わなくてはいけない。過去にはそうした国と試合ができなかったためにトップ8に入れなかったという現実がある。2015年のイングランド大会時は3勝を挙げたのに進めなかった、準々決勝。次はここが目標になると思いますが、タフなチャレンジです」

――その「タフなチャレンジ」への試金石となるのが、アイルランド代表戦。どう勝ちますか。

「どの試合にも勝ちに行きます。ただ、彼らはイングランド代表にも、あのオールブラックス(ニュージーランド代表)にも勝っています。世界トップのチームであることを証明しています。ただ、そこに対してぶつかり、現状把握、力試しができる。…アイルランド代表にとっては、とても暑いなかでの試合となります。そこが、どうなるか」

――主力が抜ける可能性もある。

「セレクションが楽しみですね。ウェールズ代表出身のヘッドコーチ(ウォーレン・ガットランド)を筆頭に、コーチ陣はイギリス人です」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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