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サンウルブズ金正奎、チームマン宣言。組織に与えたい「影響」とは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
自好青年と言われるが「自分を人格者だと思ってしまうと、それ以上にはなれない」(写真:アフロスポーツ)

チームマン。ラグビーの世界でよく使われる言葉だ。概ね、グラウンド内外で献身的に働く選手を指す。

国際リーグのスーパーラグビーへ挑む日本のサンウルブズにあって、その役割を買って出るのは金正奎。国内所属先のNTTコムではキャプテンを務める25歳だ。

2017年2月。東京は辰巳の森海浜公園ラグビー練習場で、今季初のキャンプをおこなった。追加招集の形で呼ばれた金は、日本代表と連携する発足2年目のチームで戦術把握に励んだ。2日目となる2日の練習後には、内なる思いを明かした。

まず触れたのは、前年度の辛苦についてだ。

以下、単独取材した際の一問一答(編集箇所あり)。

――ここまでキャンプを過ごして、いかがでしょうか。

「昨シーズンは参加してすぐに怪我をしたので、チームに何か大きな影響を与えることができなかった。今シーズンは大きな影響を与える存在になれるように、1つずつ努力しています」

――その意識の表れでしょうか。初日のフィットネステストではずっと上位争いをしていました。

「ハハハ! そうですね、そこは、譲れない。どんな練習にも手を抜けないですし、得られるものはたくさんある。常に全力で取り組んでいきたいと思います」

2016年4月に日本代表デビューを飾り、6月の対スコットランド代表2連戦にも先発した。両軍が登録したフォワードの選手にあって最も小さい身長177センチ、体重93キロというサイズながらも、密集戦の球に絡みつくなど持ち味を発揮した。

その流れで日本のサンウルブズにも追加招集されたが、間もなく、離脱を余儀なくされた。

南アフリカ遠征中だった7月7日のブルズ戦で、左膝靱帯(じんたい)を断裂するなど重傷を負う。即手術を施した。国内所属先でのNTTコムでは今年度から主将を任されていたが、日本のトップリーグでは後半節まで復帰できなかった(中断期間中の練習試合でカムバック)。

志半ばで離脱したチームに再選出され、いま、「何か影響を」と誓うのである。

啓光学園中学、高校、早稲田大学、さらには年代別の代表と、行く先々でリーダー職を任されてきた。試合や練習のさなかに組む円陣では、「皆がどこへ向かうかの矢印を示す」ような発言を心掛ける。

日本代表復帰も目指す金は、改めて「何か影響を」と強調する。

――サンウルブズの攻防の戦術には、昨秋の日本代表と同じのものが採用されています。

「代表、サンウルブズのつながりを持たせるという意味ではいいことだと思います。2019年のワールドカップ(日本大会)に向けての強化にもなりますし。やっているラグビーは去年(の代表やサンウルブズ)と大きく変わりはないように感じるので、やりやすいです」

――きょうは防御システムを確認していました。ジェイミー・ジョセフさんが日本代表ヘッドコーチに着任した昨秋以来、接点周辺に相手を閉じ込めるような飛び出しを意識しています。

「ディフェンスは(昨季のスーパーラグビーとは)大きく違う。チームとしても個人としても理解を深めなきゃいけないなと思います。(2月25日の開幕まで)準備の時間はある。しっかりと落とし込めたら」

――改めて、個人目標を聞かせてください。

「試合に出て活躍したいのはもちろんですけど、チームがひとつになるための要素として、自分がリーダーシップなどで影響を与えられれば。シーズンを終えた時、最高のチームになれた、個人としても成長できたと言えるようにしたいです。そのためにひとつの練習、ひとつの試合を愚直にやっていきたいです」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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