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王者パナソニックを撃破。ヤマハ清宮克幸監督の「言っていないこと」。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
写真は昨季のもの。スクラム以外では、モセ・トゥイアリイのタックルも魅せた。(写真:築田純/アフロスポーツ)

日本最高峰のラグビートップリーグが8月26日、開幕した。東京・秩父宮ラグビー場では、前年度3位のヤマハが4連覇を狙うパナソニックを24―21で撃破。スタンドを沸かせた。

強力なスクラムと機を見てのターンオーバーなどでペースを掴んだヤマハは、終盤に追い上げられるも逃げ切った。早稲田大学、サントリーでも指導者として各カテゴリー下での優勝を経験した就任6年目の清宮克幸監督は、「ヤマハらしい戦いができました」と振り返った。かねて「記事になりやすい話をする」をモットーしている。

以下、公式会見中の清宮監督の一問一答の一部(編集箇所あり)。

「ヤマハはヤマハらしい戦いができました。セットプレーで圧力をかけて、仕掛けてターンオーバーをする…と。パナソニックは、パナソニックらしくないラグビーのようでした。キックをメインに戦ってくるチームだったので、あれほどボールを動かすパナソニックは予想外。そういう意味では新しいパナソニックを作ろうとしていたのかもしれませんが、想定外のゲームだったことは間違いがなかったですね」

――試合の流れを振り返ってください。

「後半のスコアからわかるように、楽には勝てない。55分までは観ている方も『楽に…』と思われたと思うんですけど、実際、向こうが素晴らしい選手が出た(ウイングにタンゲレ・ナイヤラボロが投入されて、インサイドセンターだったベリック・バーンズがスタンドオフに入った)ので、後手を踏むようになった。最終的にはギリギリの勝利。パナソニック、強いなという印象でした」

――以前、「パナソニックに勝って優勝できないのとパナソニックに負けて優勝できるのなら前者を選ぶ」と仰っていました。

「もうひとつ言っていないことがあって。パナソニックに勝って、日本一になる」

――その可能性、近づいたのでは。

「そんなこともないですね。これから、どうなるかわからないです。次の試合は難しくなると思います。そういう覚悟でいい準備をして、ヤマハのラグビーをやる。それだけです」

――スクラムを支えた右プロップについて。

「伊藤平一郎と西村颯平がメンバーに入りましたけど、その後ろに田村義和、山村亮(以上、30代中盤の実力者)がぴんぴんしておりまして。彼らをノンメンバーに追いやったそれは、2人(伊藤平と西村)にとって何よりもの力になると思います。本当に成長した。それがチームの底上げに繋がった」

――今季のリーグ戦での戦い方は。

「選手の層が他チームより厚くないので、プロップは厚いんですけどね。皆が元気な間に上位チームと戦えるのはプラスです(第4節で昨季準優勝の東芝とぶつかる)」

――パナソニックへの対策で奏功したものは。

「あまり対戦相手によっての準備をしないようにしている。ですから、どの相手にも同じ戦い方をしていると思います」

――この勝利で得られたもの。

「エナジーでしょ。2、3倍になると思いますね」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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