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スコットランド代表戦の鍵は「反応」。最年長、大野均が展望語る【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
人呼んで「キンちゃん」(写真右)。髭と長髪がトレードマーク。(写真:ロイター/アフロ)

4年に1度あるワールドカップの自国大会を2019年に控えるラグビー日本代表は、6月25日、東京・味の素スタジアムでスコットランド代表とのテストマッチ(国際間の真剣勝負)をおこなう。21日の練習後、大野均が取材に応じた。38歳とチーム最年長で、歴代最多の97キャップ(テストマッチ出場数)を誇る。

同カードは18日にも愛知・豊田スタジアムであり、日本代表が13―26で敗戦。前半8分にターンオーバーからの速攻でトライを決めるなど応戦も、一時退場処分が重なり13人でプレーする時間もあるなど反則に泣いた。球を持ち込んでのミスもかさみ、後半残り25分間は無得点だった。

地元の福島県郡山市にある日大工学部キャンパスで楕円球と出会った大野は、人づてに入部試験を受けた東芝で一気に台頭した。身長192センチ、体重105キロという体躯と恵まれたスピード、献身的な資質が持ち味で、朴訥な人柄と酒豪ぶりから人気も高い。

2015年の9、10月には、4年に1度のラグビーワールドカップに3度目の出場を果たした。9月19日の予選プール初戦では、過去優勝2回の南アフリカ代表を34-32で下し、大会24年ぶりの白星を掴む。歴史的な3勝を挙げ、帰国した。

今季は日本で発足したサンウルブズの一員として、国際リーグのスーパーラグビーでプレーしている。

以下、一問一答(編集箇所あり。※は当方質問)。

――巨漢揃いのスコットランド代表を相手に、スクラムやモールではほぼ互角に映りました。

「ずっとスーパーラグビーで身体を当てていたので、スコットランド代表戦でもこちらがびっくりするようなプレッシャーを感じずにいられた。それがスクラムやモールで対抗できた要因だと思います」

――スコットランド代表は、昨秋のイングランド大会で唯一勝てなかった相手。世間では「リベンジを」との声があります。勝利へのポイントは。

「ボールキープですね。ボールを持っていればいいアタックができて、トライまで持っていける部分もありました。(しばし相手にスティールされた)ラインアウトも修正して、簡単なミスでボールを渡してしまわないように…」

――試合の手応えを改めて(※)。

「去年のワールドカップとスーパーラグビーを経験したことで、以前ほどスコットランド代表が遠い位置ではないなと実感できました。皆がリベンジ、リベンジと言ってくれているのは、勝てる可能性を感じてくれているからだとも思います。期待に応えたいです。ただ、自分自身としてはリベンジというより…(別の気持ちがある)。2004年の遠征で惨敗した時(敵地でスコットランド代表に8―100で屈した)、テストマッチの厳しさを教えられている。チャレンジャーとして(イングランド大会での)8強の一角を崩して、日本中に『あ、日本はラグビーが強いんだな』という印象を与えたい」

――当時の遠征の話。若い選手にすることはありますか(※)。

「いや、いまはスコットランド代表を勝てる相手と想定してトレーニングをしているので、当時の話はする必要はないかな、と」

――今回のチームには、松田力也選手ら代表デビュー組が躍動しています。

「力也は(前半15分に松島幸太朗が故障したことで)急きょ、出てきたなか、いいプレーをしていた。小瀧(尚弘、ロック)も、テストマッチプレーヤーとして素晴らしいプレーをしてくれていた。若い選手のことは、全然、心配していません」

―― 一方、サンウルブズのトライ王である山田章仁が7人制挑戦のため入っていません。

「アキが抜けたのは彼の判断。いまいるメンバーでやれるパフォーマンスを見せるだけです」

――いまは次戦に向けた練習中。前の試合の反省点を練習にどう反映させていますか(※)。

「ボール保持者が孤立する場面があったので、全員でサポートする意識を(再確認)。身体は相手の方が大きい。その分こちらは、キックを蹴られた後の戻りなど、(ワンプレーへの)反応を速くする、と」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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