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トップリーグ新人賞獲得の小瀧尚弘、待望の日本代表デビューへ「…きついです」【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
帝京大学時代は日本選手権でトップリーグのNECを撃破。(写真:伊藤真吾/アフロスポーツ)

4月24日に集合し、都内で合宿を始めたラグビー日本代表が、30日、神奈川・ニッパツ三ッ沢球技場で今年度最初の試合をする。昨季は国内最高峰のトップリーグで新人賞を獲得した小瀧尚弘が、26日の練習後に思いを明かした。

日本代表は昨秋、ワールドカップイングランド大会で歴史的な3勝を挙げた。しかし、競技人気の沸騰に貢献した当時のメンバーは、今度のジャパンには含まれていない。ジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチは、現在務めるスーパーラグビー(世界最高クラスの国際リーグ)のハイランダーズとの契約上、秋以降の着任となっている。30日の試合はアジアラグビーチャンピオンシップの初戦で、相手は韓国代表。中竹竜二ヘッドコーチ代行のもと、急ピッチでの準備が進められている。

そんななか小瀧は、帝京大学の3年生だった2014年以来の選出となった。昨季は東芝入りするや、プレーの幅を広げてレギュラーに定着。鹿児島実業高校時代に知り合った、日本代表96キャップ(国際間の真剣勝負への出場数)を誇る大野均らとロックの定位置を争っていた。

学生時代は低い姿勢でのタックルに注力していたが、東芝では中居智昭フォワードコーチらの指導もあってプレーの幅を広げる。身長194センチ、体重110キロの体躯に秘めた背中と腕の力を活かし、相手を締め上げるチョークタックルを繰り出した。そのプレーはチーム内で「小瀧上げ」と名付けられた。

小瀧は、スーパーラグビーへ日本から初参戦するサンウルブズへの加入も期待される。同クラブの初勝利となった4月23日のジャガーズ戦(東京・秩父宮ラグビー場での第9節、スコアは36-28)への思いも明かした。

以下、取材時の一問一答の一部(編集済み。質問はすべて当方)。

――練習、どうですか。

「…きついです」

――招集された経緯は。

「4月の中旬ぐらいですかね。冨岡(鉄平ヘッドコーチ)さんから。チャンスだなと思う一方、不安もあって。やれるのかなと。実際、結構、レベル高いので。自分としてはまだ通用していないところと通用しているところ、ふたつ、あると思います」

――通用するところとそうでないところ、とは。

「フィットネスとか、ディフェンスでの視野の広さは…。特に自分、走れる方じゃないので、きついなと思っています。ただ、セットプレー(スクラムやラインアウトなどプレーの起点)や単純な当たりでは、前に出れるなぁと」

――1週間の準備でテストマッチへ。

「もちろん、短いとは思いますけど、そこは割り切る。それはそれで、成長できるチャンスでもあるかなと思います。合わせる時間もないので、試合のオンプレー中にもどんどん話していかないと、連携も取れないと思う。自分のことだけではなくて、周りとの的確なコミュニケーションについてもフォーカスを当てたいです。気づかい、とか」

――ポジション争いについては。

「出られなかったら自分の実力が足りなかったということ。出られたら世界ランクにも影響するので、自分の仕事をしっかりとやりたいと思います」

――サンウルブズ、観ていてどうですか。

「…(少し間を置いて)この間のジャガーズ戦に関しては、本当に全員がハードワークして、日本に元気を届けようという気持ちも伝わって来た。一緒にやりたいなと思いました。入りたいなぁと」

――東芝から参戦した大野さんも、先発して後半31分までプレーしていました。

「無茶苦茶、走っていましたね。凄いです」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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