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スーパーラグビーは「切り替えの連続」。サンウルブズ最年長戦士の大野均が語る。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
高校までは野球部の補欠選手ながら、日本を代表するラグビーマンになった。(写真:伊藤真吾/アフロスポーツ)

日本代表として歴代最多の96キャップ(国際間の真剣勝負への出場数)を誇る37歳の大野均は現在、国際リーグのスーパーラグビーで新境地に挑んでいる。

この国から初参戦するサンウルブズの最年長選手だ。試合がなかった第2節を挟み、3戦連続で先発出場中である。いまだ勝ち星には恵まれていないが、激しい突進とタックル、脳震盪に近い状態ながらプレーを続けようとする姿勢で、ファンを惹きつける。一時は消滅がささやかれたこのチームと契約したのは昨年8月のことで、当時の心境を「自分が断ったことで消滅したら後悔すると思った」と振り返っている。

地元の福島県郡山市にある日大工学部キャンパスで楕円球と出会い、全国的な強豪である東芝に入部。身長192センチ、体重105キロという体躯と恵まれたスピード、献身的な資質が持ち味で、朴訥な人柄と酒豪ぶりから人気も高い。

代表チームへは2004年に初選出され、4年に1度あるワールドカップに3大会連続で出場。特に2015年のイングランド大会では、9月19日の予選プール初戦で過去優勝2回の南アフリカ代表を34-32で撃破。大会24年ぶりの白星を掴み、感涙した。

レベルズとの第4節(9-35で敗戦)を翌日に控えた2016年3月18日。東京・秩父宮ラグビー場の取材エリアで、スーパーラグビープレーヤーとしての思いを語っている。

以下、当時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――(当方質問)選手として戦う初めてのスーパーラグビー。いかがですか。

「フフ。まぁ、タフですね。1週間でリカバリーはできましたが、シンガポールでのチーターズ戦(3月12日に31-32で惜敗)の後には熱中症になって…。翌週以降はシンガポール(26日、ブルズとの第5節)、南アフリカ(第6節以降は長期遠征)と続きますけれども、選手39人でそのタフな状況を楽しみたいと思います」

――(当方質問)オーストラリアのチームの多くは、肉弾戦で相手ボールへ絡みつく「ジャッカル」という守備技術を用います。対策は。

「(攻めるサンウルブズの)2人目の寄りの速さ、ですね。ボールを持った選手が倒される前にサポートへ入らないと。スーパーラグビーは、どのチームの身体の大きい選手が揃っている。我々はスピードで対抗しないと、後手を踏みます。ハマー(マーク・ハメットヘッドコーチ)がそのことに関するキーワードを挙げながら、練習をしています」

――国を背負う思いは。

「サンウルブズは歴史のないチームで、我々がオリジナルメンバー。今季どんな戦いをするかで、来季集まってくるメンバーも変わってくる。世界中の選手がサンウルブズでプレーしたいと思えるような戦いをしたい。まず、初勝利ですね」

――日本代表との共通性は。

「自分の感覚からすると…。代表では日本人としての誇りを抱きます。桜の(エンブレムがついた)ジャージィに伝統がありますし。ただサンウルブズでは、(練習着の上腕部分を見ながら)このスーパーラグビーのロゴがある以上は、恥ずかしいプレーはできないと思っています。自分がテレビで観て憧れたようなプレーを、応援してくれている人たちに見せないといけないです。いい意味で、プレッシャーです」

――初勝利は手の届くところに。

「そうですね。自分たちのアタックに持っていけばトライが取れた。あとはディフェンス面。80分間、高い意識でやらないといけない。どの相手も一発で点を取り切る力を持っているので。チーターズ戦では、それでやられた」

――(当方質問)そのチーターズ戦。大野選手の脇を相手がすり抜け、得点する場面も。

「ノミネート(相手の確認)をする前に速いテンポで仕掛けられたことで、こちらが後手を踏んだ。まず、その速いテンポにさせないためにブレイクダウン(肉弾戦)でプレッシャーをかける。そして15人全員が、ひとつ仕事を終えたら次の仕事を…と。切り替え、切り替えの連続。それをもっと速くやっていきたい」

――現在は、都内のホテルに滞在中。

「ほかの選手も、ほぼほぼそのあたりです。日本のトップリーグの時、府中を拠点として東芝でプレーするのと同じ感覚です。たまたま住んでいるところがホテルだとういうだけで」

――(当方質問)イングランド大会以来のホテル滞在ですね。

「そうですね。ずっと代表に入っていて、10何年間も約半年はホテル生活。それが、少し長くなっただけです。今回も、始めは(都心部での新天地に)戸惑う部分はありましたが、大分、リズムに慣れてきました」

――酒場は見つけましたか。

「××(滞在地)なので、たくさんあります

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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