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日本代表最年少戦士の藤田慶和。早稲田大学で大学日本一をどう目指す?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
11月23日、今季初めて早大のジャージィに袖を通した。(写真:アフロスポーツ)

ラグビーワールドカップイングランド大会の日本代表で最年少メンバーだった藤田慶和は、現在、早稲田大学の副将として学生ラストイヤーを過ごしている。

11月23日、東京・秩父宮ラグビー場。慶應義塾大学との伝統の「早慶戦」で、早稲田大学はミスを重ねながらもノーサイド直前の逆転勝利を決めた。スコアは31-32。

早大の副将である藤田は、東福岡高校卒業直後の2012年4月に初の代表入り。5月5日のアジア五か国対抗・UAE代表戦(福岡・レベルファイブスタジアム)で、史上最年少となる18歳7カ月27日でのテストマッチ(国際間の真剣勝負)への出場を果たした。今度のワールドカップイングランド大会でもメンバー入り。10月12日のアメリカ代表戦(グロスター・キングスホルムスタジアム/28-18で勝利)に先発出場している。

身長184センチ、体重90キロ。大きなストライドでの走りと前向きな思考回路を魅力とする。

以下、一問一答の一部。

――(当方質問)ハーフタイム明け、いい攻撃が。

「自分たちのラグビーをしっかりやればゲインもできるし、トライも取れると思っていた。そこに対して(プレーを遂行する途中)のミスが多かったので、苦戦したんだと思いました。ハーフタイムに、ミスをしないような、というか…もっと強いプレー(まず、ランナーがしっかりと前に出ること)を心掛けて臨んで、最初にいい形でトライも取れた。ただ…。

相手を仕留めるまでそういう形でいかなければいけなかったんじゃないかな、と」

――(当方質問)グラウンドの中盤で、スタンドオフ横山陽介選手のロングパスのノックオンをして、ピンチを招いた。

「あそこは、僕がどういう形で欲しいのかを伝えないといけない。横山もパスの精度を高く持ってやらないといけない。合っている、合っていないではなく、コミュニケーションを取らないといけない。あそこからピンチにつながったので、チームには迷惑をかけたと思います」

――(当方質問)終盤に22―31とリードされながら、心を折らずに逆転できた。

「チームとして、トライを取られた後のゲームマネジメントをしっかりできていた。あとは4年生が前向きだった。3年生以下は、トライを取られた後に顔が死んでいたんですけど、4年生は『いや、いけるやろ』と。逆転を狙っていて、焦りがなかった。その、焦りがなかったというところが、トライに繋がったのかなと思います」

――藤田さんも笑顔だったのか。

「あそこは楽しむ場面。個人としてはすごく楽しかった。作り笑顔というか、こっから盛り返していこう、と。あそこを楽しまないと。苦しかったけど、楽しめたかなと思います」

――(当方質問)春先から日本代表に帯同し、解散後は7人制日本代表としてオリンピックリオデジャネイロ大会予選のため香港へ渡りました。帰国後、早稲田大学にどんなプラスアルファをもたらしたいですか。

「そうですね、正直、チームがターゲットとしている試合で負けてしまっているなか、いい方向にステップアップしていけるように、自分のやれることをやる。それが課された使命だと思っています」

――(当方質問)具体的には。

「リーダーなので、キャプテン、副キャプテンとの3人でしっかりとチームを引っ張っていくこと。あとはラグビーでも私生活でも当たり前のことを当たり前にする」

――(当方質問)ミーティングを増やしたようですが。

「僕が増やしたんじゃなく、早稲田のメンバーがすごくラグビーに真剣に向き合っています。今年は、自分たちからミーティングをやろうという主体性が出た。きょうの試合でも『あと○分あるから、こう攻めよう』というタイムマネジメントの言葉がどんどん出てきましたけど、(主体性が)そういうところへも繋がってきたんじゃないかなと思います」

――(当方質問)ワールドカップなどの国際経験を、どう落とし込んでいるか。

「まず自分たちのことを知って、しっかり相手の研究をする。そのやり方も(代表での手順を)真似させてもらったりしています。

戦術はジャパンとワセダでは違うんですけど、1人ひとりが考えて、分析できるようなやり方を、ジャパンから盗ませてもらって。(ポジションごとの)担当リーダーにわかれて(相手チームの同ポジションの選手の長所や短所を研究する)」

――ホワイトボードに相手選手の特徴を書き出したり。

「そういうことも、しています。対面の選手、同じポジションの選手をしっかり観て、感じたことをホワイトボードに書いたり、話し合ったり」

――全体のミーティングの後に、自主的に集まる時間を作る。

「ほとんどの選手が寮に住んでいるので、皆が集まってミーティングができる環境はある。それを最大活用させてもらっています。ほぼ、毎日。15分から、長くても30分。皆がだれないように、しっかりと集中して。その日の練習の反省だったりを色々としています。おもにA(主力組)の試合に出るメンバーや、そこに絡んできそうなメンバーでやります。その後に、フォワードだけで話したり、バックスリーだけで話したり。それでも、まだ、この結果。しっかり準備しなきゃいけないと感じました」

――(当方質問)自分たちがやろうとしていることを本当に理解するためのミーティング、ですね。

「そうですね。相手がこうだから僕たちはこう攻めようというのをわかったうえでやらないと。えーと…能力は他のチームの方が上なので、こっちはスマートなところで勝っていかないといけない。しっかりとスマートなラグビーをしたいです」

――(当方質問)早稲田大学が勝つには。

「しっかりとボールを継続して自分たちのアタックを出来れば必ずトライも取れる。きょうはそこでのミスが起きてしまったのであまりよくなかったんですけど、その精度を高めたいとは感じました」

――マークされている実感は。

「まだビデオを観ていないんでわからないですけど、しっかり観て、個人の改善点も考えていかないといけないな、と。(実感としては)圧力がかかっていたので、もう少しためて(相手との間合いを取って)ボールをもらえればな、と思いました。自分たちのタイミングでボールが出なくても、ためてもらえるように」

――(当方質問)ワールドカップを終え、今後、どんな態度でグラウンドへ出たいと思っているか。

「もう、終わってしまったので。次の日本代表へノミネートされるようなプレーをしていかないといけない。いい経験をさせてもらったので、その経験を生かせるようなプレーをしたい」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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