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「メンタルが充実している」久保建英に大きな期待。9月・日本代表シリーズメンバー発表会見要旨

元川悦子スポーツジャーナリスト
9月日本代表2連戦に招集された久保建英(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

パラグアイ、ミャンマー戦ともに勝ちにこだわる

「みなさん、こんにちは。いつもサッカーを応援していただきありがとうございます、今日の記者会見ありがとうございます。

 9月に行われるカタールワールドカップミャンマー戦に向けて、キリンチャレンジで強豪のパラグアイを迎えていい準備をして、アウェーのミャンマーに行って予選のスタートを切ることになります。ミャンマー戦ではもちろん勝利を目指しながら戦って、チームで意思統一して戦いたい。その前に行われるパラグアイ戦では勝ちにこだわって戦うことをまずは考え、これまでチームとしてやってきたことを意思統一しつつ、ミャンマー戦にいい形で挑めればと思っております」

……手堅いメンバーをベースにしたメンバー構成だが? 就任1年だが、ここまでの手ごたえ?

「まずキリンチャレンジカップとアジア予選を戦うメンバー選考ですが、これまで私がA代表の監督をさせていただき、活動してきた中で選考させていただきました。メディアのみなさんと話した時に若手が多くなるとも言いましたが、いろんな想定の中、ベストなメンバーを選びたいと。あとは選手のコンディション等々、現在のクラブでの立ち位置を考慮した中で選考していこうと考えました。何パターンかある中で若手が多くなるという話もさせていただきました。この9月はA代表と東京五輪の代表活動が重なるので、2つの代表をA代表のラージグループと見て、どれだけ多くA代表で戦える選手を送り出せるのかということも考えて、選出させていただきました。

 進捗状況に関しては、説明しづらいところはありますが、確実にチームのレベルアップはしていますし、戦術浸透は進んでいますし、お互いのイメージが伝わりあう場面も増えてきていると感じています。あとはみなさんが判断していただければと思います」

今夏は5人のスタッフが欧州を回って視察

……この夏、かなり多くの選手が海外に旅立ち、海外組がラージグループだけで30人以上になると思うが、彼らをどうチェックしているのか? 複数名で手分けして見ていると思うが、は固定スタッフをつけているのか? 試合に絡めていない選手はどのようにチェックしているのか?

「まず国内ではなく、海外のサッカー大国でプレーしている日本人選手の人数が増えていると思います。質問とは違いますが、欧州、世界のサッカーのマーケットで日本人がより高く評価され、チャレンジすることは選手たちの努力の賜物だと思いますし、選手たちのチャレンジを喜ばしく思っています。同時に日本の指導者の成果だとも思っています。選手の努力はもちろんあってこそですが、、選手を育てている日本の育成、そしてグラスツーツからの指導者が選手たちを世界のサッカーマーケットに育てていこうと日々、努力されている。日本の育成と所属チームの指導者の方の成果だと思っています。日本の指導者の1人として私も活動させていただいていますが、世界で戦える日本人選手を自信を持ってより多く選手を育てていきたいと思っています。

 そしてスカウティングですが、8月に5人のコーチを現地に派遣して視察をさせていただきました。まず藤田(俊哉)、高司(裕也)の2人はJFAの国際委員として欧州に拠点を持ちながら、選手を見ています。それ以外の3人のコーチンスタッフを今回、日本から派遣しました。普段の選手たちのプレーについては2人の国際委員が把握に努め、実際に現地で試合を見て、選手とコミュニケーションを取っています。あとは全ての選手の映像を手に入れているので、毎試合プレーする試合をチェックしています。それも海外でプレーしている選手をグループ分けして、担当コーチを決めて1人が何試合かを見ています。国内はJリーグを手分けして見に行っていますし、そういう形で選手のスカウティングをやっています」

久保のクオリティが戦力になる

……コパアメリカに続いて久保建英選手がメンバー入りしているが、彼への期待は?

「選考理由としては、6月のキリンチャレンジやコパというレベルの高い大会でプレーして、彼のクオリティが戦力になるということで招集しました。現在のコンディションは試合だけを見ると十分ではないと思いますけど、プレシーズンのところからレアルの試合はチェックしていますし、今もトレーニングはしっかり詰めている。少し前には90分試合しているので問題ないと聞いています。本人のメンタルも充実しているということも確認して招集しています。期待しているところはまずは彼自身が日本のために持っているものを出し切るということ。自分が成長するために自信を持ってプレーを見せてほしいとも思います」

=毎回招集を約束されている選手は1人もいない=

……久保、堂安律など移籍したばかりの選手は立ち位置的にも難しいと思うが、それでもあえて招集したのはなぜか?

「まずは彼らのコンディションの部分でしっかりチェックをしなければいけないと考えています。プレーできる状態なのか、パフォーマンスをしっかり確認しなければいけないと思いますし、堂安は直近、理由は別として試合ではプレーしていませんが、オランダリーグが開幕してからフルに活動していることは確認していますし、コンディションは落ちていないということも確認しています。立ち位置ということもありますが、そこも詳しくはみなさんにはお伝えできないところもあります。ただ、フィジカル的なことだけでなく、メンタル的な部分の情報を取りながら、直接話もして、彼とも面談をしたりするなどコンタクトを取りながら招集しています。

 ただ、今回の招集を含め、代表招集時のパフォーマンスがいいか悪いかというところで、毎回招集を約束されている選手は1人もいないと考えています。全ての選手がいいパフォーマンスを見せて日本代表のためにやってくれると思いますので、私はそういう選手のパフォーマンスをしっかり見ていきたいと思っています。これまで私が代表の監督になってから来てもらった選手の全てがこれからの選考の対象だと思いますし、まだまだ招集しきれていなくている選手も沢山いると考えています。これまで私がA代表監督になって招集できていないものの、可能性を見せてくれている選手はまだまだ沢山いる。次回は選手が変わることもあり得ると思います」

試合のカギはコンディション調整

……今回のような2連戦の場合だと、2戦目の方がコンディションがよくなったりするが、今回特別な調整方法はあるのか?

(関塚)「長い距離の移動で選手たちの負担はあると思います。日本は広いアジアで予選を戦って勝ち抜いていかないといけないですし、今までの経験を踏まえて、次に何をしていけるかは今後、予選を戦っていくうえで現場と調整しながらしっかりと応えられるようにしたいと考えています。今までも全然努力してなかったではないですが、いろいろなことがあってここまで来ている。ここ数年、海外でプレーする選手がホントに増えてきています。それに対しての準備、日常のコンディションから所属クラブの対応も描きながらやってきて、このままじゃ対応しきれないということで、昨年のロシアワールドカップ後から藤田君に手伝っていただいたり、今回高司君と契約しながらやってきています。選手がホントにいいコンディションでできるように、何が選手にとって一番ふさわしいかを協会として考えて進めていますし、今後もしっかりとコンディション、ホントに日本の力を発揮できる体制を作っていきたいと思っています」

(森保)「まずはアジア予選を戦ううえで、海外組は今回であれば1度日本に戻ってきて、そこからミャンマーに行くことになる。非常にコンディション的にもタフな調整を強いられると思っています。選手たちは今回に限らず毎回、長距離の移動、時差もあります。気候も違いますし、クラブでの立ち位置を失うかもしれないリスクを背負って日本代表で戦うために集まってくれている。そのことをみなさんに改めてお伝えしなければいけないと思います。国内組も日本から長距離移動をして難しいコンディション調整をしなければいけないのは確かで、全ての選手にとってベストを発揮するための試合以前の準備が大変だと思います。我々ができることは少しでも選手たちの疲労、メンタル的なストレスを軽減して、ベストのパフォーマンスを出せるようにサポートしていくこと。具体的にはメディカルグループも考えていますが、今、私から説明させていただくことができないこともある点は理解してもらいたいです。チームのコンディション調整と1人1人のコンディションをしっかりと見て、チーム全体のパフォーマンスが少しでもよくなるように持って行けたらと思います」

アジア予選を戦いながら土台を大きく高くしたい

……アジア予選がスタートし、戦術理解やチーム完成度を高めるなどやるべきことは沢山あるが、何を優先させていくのか?

「おっしゃられている通り、やりたいことはいっぱいあります。しかしながら、私が考えているのは、これまでやってきたことのベースをチームとしてつねに確認しながら、土台を大きくする高くすること。それをやっていくつもりです。日本代表として招集させてもらっている選手はみんないい選手、力のある選手なので、アジアの大会を経験しながらさらに成長していくというチャレンジをしてもらえれば、かなりいい戦いはできると思っています。システムは6月も新しく試したことはありますし、練習する機会というところはホントに限られていると思いますが、試合の中でもチャレンジできるところはしたいと思います。アジアの戦いであれ、どのチームとの戦いであれ、相手をリスペクトしながら自分たちがどう成長していけるのかを考えながら予選を戦っていきたいと思います」

スポーツジャーナリスト

1967年長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに。日本代表は非公開練習でもせっせと通って選手のコメントを取り、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは94年アメリカ大会から7回連続で現地へ赴いた。近年は他の競技や環境・インフラなどの取材も手掛ける。

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