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夏休み期間の「ゲーム・SNSやりすぎ問題」依存を予防するポイントを解説

森山沙耶ネット・ゲーム依存予防回復支援MIRA-i 臨床心理士
(写真:アフロ)

子どもが夏休みに入ると、保護者として心配になるのが「ゲームやSNSのやりすぎ」ではないでしょうか。今回は、夏休み期間にゲームやSNSに依存状態になることを防ぎ、上手に付き合うコツを解説します。

ゲームやSNSをやりすぎると依存になるの?

ゲームやSNSを長時間続け、それが習慣化していくと依存に至る可能性はあります。しかし、保護者の心配や不安が募るあまり、無理にゲームやSNSをやめさせたり、一方的に責めたりすることによって、子どもとの信頼関係が崩れてしまうかもしれません。家族関係の悪化は子どものネット・ゲーム依存のリスク要因として数多くの研究で指摘されています。難しいかもしれませんが、あまり神経質にならず余裕を持って構える態度も大切です。ネット依存と家族との関係については下記の記事も参照ください。

■参考記事:インターネット依存と家族の関係 私たちが親としてできることとは

https://news.yahoo.co.jp/byline/moriyamasaya/20210416-00232293

なお、ときにゲームやSNSは苦痛から逃れるための手段になることがあり、そのような回避的な行動は習慣化しやすく、習慣化されるとなかなか変えていくことが難しいのです。

したがって、ゲームやSNSを長時間使用することが習慣的にならないよう目を配り、ほどほどに楽しめる使用のルールを作っていくことが基本的ですが重要な対策になります。

予防のポイント①子どもに合ったルールを作ること

子どもと保護者それぞれが納得できるものであることがルールの実行可能性を高めます。そのために、お互いの考えを伝え合っていく中で「落としどころ」を見つけていきます。

話し合うときには、まず先に子どもに「自分はどうしたいのか」と尋ねて、子どもの考えや気持ちを丁寧に聞いてあげましょう。親子という関係性では、保護者が先に考えを伝えてしまうと、「こうしなければいけない」という指示であると子どもが解釈してしまい、その後の話し合いで子どもが率直に考えを話せなくなる可能性があります。

そして、子どもが自分の考えを話してくれたら、否定や批判はせずにまず話してくれたことに対して感謝や承認の言葉を伝えていきます。

例えば、ゲーム依存の子どもとのカウンセリング場面では、子どもが「一日ずっとゲームしていたい」と話すことがあります。それに対して筆者は「それくらいゲームが好きなんだね」「気持ちを教えてくれてありがとう」というように好きな気持ちや話してくれたことを受け止めるように返します。このとき「1日中ゲームをすること」に対しては肯定も否定もしません。

このような関わり方をしていくと次第に「ゲームの他にすることないから」と素直な気持ちを話してくれる場合があります。そうすると「ゲーム以外にやること」を探してみようか?という共同的な作業として話し合っていくこともできます。

「落としどころ」は各家庭によって様々でしょう。夏休みの場合は、自由に使える時間が多いため、学校があるときより多少ゲームやSNSの時間が増えることはやむを得ません。一方で、本人も「なんとなくダラダラ続けてしまう」「ちょっと疲れてきたけど続けてしまう」と自覚している場合があります。楽しんで終われる範囲の時間や頻度はどのくらいかを一緒に考え、使用時間を決めることができると望ましいです。

また生活リズムが崩れないように夜間のスマホ使用は控え、少なくとも就寝時間の2時間前にはスマホやゲームを切り上げるように設定することも大事です。このときスクリーンタイムやファミリーリンクなどの制限機能も併せて活用しましょう。

予防のポイント②ゲーム以外の活動を無理なく取り入れること

ゲームやSNSの時間や頻度を減らそうとするよりも大切なことは、ゲームやSNS以外にも楽しい、嬉しい、興奮するなど快感情を得られる活動を、無理のない範囲で生活の中に取り入れていくことです

その際、保護者がやってほしいことと子どもにとって楽しいことは区別して考えます。まずは子ども目線に立って、やってみて「ワクワク、楽しい、充実感」などを感じれられるものを考えてみてください。そういった活動は心のエネルギーになり、宿題や家のお手伝いなど少々面倒なことに対しても前向きにチェレンジする原動力になります。

家庭内でできる活動の具体例として、料理、動植物の世話、漫画や読書、映画鑑賞、ボードゲームなどがあげられます。できたら家族で一緒に取り組めると良いでしょうし、子どもが何か取り組んだときには「ありがとう」「どんなの読んだの」「嬉しいな」など肯定的に関わることも忘れてはいけません。

屋外でできる活動としては、自然に触れる活動、身体を動かす活動など子どもの関心事に合わせて頻度を増やしてみたいところです。引き続きコロナ禍ではありますが、無理のない範囲で取り入れてみましょう。

また、ゲームやネット以外になかなか関心を示さないという場合は、リビングで家族一緒に楽しめるゲームをプレイする、動画を一緒にみることから始めてもよいと思います。

最後に

夏休み期間は、仕事をしている保護者であれば、働きながら子どもの対応をする必要があるかもしれません。いつもより子どもと過ごす時間が多くなることで、保護者がゆっくりする時間が取りにくいということもあるでしょう。ストレスが溜まっているときはなかなか子どもとじっくり向き合うことは難しいものです。したがって、自分自身を労り、リフレッシュする機会もぜひ大切にしてください。

〈参考文献〉

神村 栄一 (2019).不登校・ひきこもりのための行動活性化―子どもと若者の“心のエネルギー"がみるみる溜まる認知行動療法 金剛出版

スミス, J. E. ・メイヤーズ, R. J. 境泉 洋・原井宏明・杉山 雅彦(監訳)(2012).CRAFT依存症患者への治療動機づけ─家族と治療者のためのプログラムとマニュアル 金剛出版

ネット・ゲーム依存予防回復支援MIRA-i 臨床心理士

臨床心理士、公認心理師、社会福祉士。一般社団法人日本デジタルウェルビーイング協会代表理事。東京学芸大学大学院教育学研究科修了後、家庭裁判所調査官を経て、病院・福祉施設にて臨床心理士として勤務。2019年 独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センターにて「インターネット/ゲーム依存の診断・治療等に関する研修(医療関係者向け)」を修了後、同年 ネット・ゲーム依存予防回復支援MIRA-i(ミライ)を立ち上げ。現在はネット・ゲーム依存専門のカウンセリングや予防啓発のための講演・セミナー活動を行う。2021年から特定非営利活動法人ASK認定 依存症予防教育アドバイザー。

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