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エムバペのレアル移籍は決まるのか?ベンゼマとヴィニシウスとの3トップとペレスの思惑。

森田泰史スポーツライター
パリSGでプレーするエムバペ(写真:ロイター/アフロ)

その決断に、大きな注目が集まっている。

欧州のフットボールシーンにおいて、この夏のマーケットで去就が騒がれていた選手が2人いる。アーリング・ハーだランドとキリアン・エムバペだ。

ハーランドは先日、マンチェスター・シティ移籍が決定した。シティが契約解除金6000万ユーロ(約81億円)を支払い、稀代のストライカー獲得を決めている。

となると、気になるのはエムバペである。エムバペは今季終了時にパリ・サンジェルマンとの契約が満了する。レアル・マドリーが強い関心を示してきたが、パリSGも残留を諦めていない。

CLでマドリーと対戦
CLでマドリーと対戦写真:ムツ・カワモリ/アフロ

「ほとんど心は決まっている。でも、すべての人たちを尊重しなければいけない。僕にも少し焦りはある。しかし、僕だけの問題じゃない。あとはディテールを詰めるだけ。もうすぐ決まるはずだ」とはエムバペのコメントだ。

■レアル・マドリーの追跡

マドリーは、この数年、エムバペを追跡してきた。昨年夏には、移籍金2億ユーロ(約270億円)を準備して獲得に動いた。だが“国家クラブ”のパリSGに選手売却の必要性はなく、巨額のオファーが跳ねつけられた。

エムバペはこの夏にフリーの選手になる。現在、焦点になっているのは肖像権の問題である。エムバペが100%の肖像権を有する希望を持っているのに対して、マドリーは基本的に選手と50%ずつ分ける考えだ。

一方で、サラリーに関しては、それほど問題ないだろう。元々、エムバペはパリSGでトップの高給取りではなかった。年俸4000万ユーロ(約54億円)のリオネル・メッシ、年俸3600万ユーロ(約48億円)のネイマールに次いで、エムバペは2500万ユーロ(約34億円)の年俸をパリS Gで受け取っていた。そもそも、お金で動く選手ではないのだ。

ゴールを喜ぶマドリーの選手たち
ゴールを喜ぶマドリーの選手たち写真:ロイター/アフロ

マドリーは近年、大物選手の獲得に大金を叩いてはいない。この10年で、移籍金1億ユーロ(約135億円)超で加入したのはガレス・ベイル(2013年夏/前所属トッテナム)とエデン・アザール(2019年夏加入/チェルシー)のみだ。

■先行投資と成果

フロレンティーノ・ペレス会長は、若い選手を安価で獲得するという方針を掲げてきた。いわゆる先行投資である。移籍金4500万ユーロ(約60億円)で加入したヴィニシウス ・ジュニオール、移籍金4500万ユーロで加入したロドリゴ・ゴエスはその典型だ。

ヴィニシウスは今季、公式戦50試合で21得点20アシスト。決定力が爆上がりした。一方、ロドリゴは46試合9得点9アシスト。だがチャンピオンズリーグのチェルシー戦、マンチェスター・シティ戦で値千金のゴールを決めており、数字以上に貢献度は大きい。

現在のマドリーで、エースを張るのはカリム・ベンゼマだ。公式戦44試合44得点15アシスト。攻撃の中心には常にベンゼマがいる。

フランス代表のベンゼマとエムバペ
フランス代表のベンゼマとエムバペ写真:ムツ・カワモリ/アフロ

いま、ここにエムバペが加わる可能性がある。メッシ、ネイマール、エムバペ、「MNM」の3トップはフランスと欧州で脅威になると見られていた。

だがベンゼマ、ヴィニシウス、エムバペの3トップに、ジョーカーのロドリゴを含めれば、「BVM+R」と最強クラスの攻撃陣がマドリーで形成されることになる。

「フランス代表でエムバペと一緒にプレーするのは大きな喜びだ。もちろん、クラブでも共にプレーできたらいいね。そうすれば、僕たちのゴール数は倍になるだろう。もしかしたら3倍になるかもしれない」とはベンゼマの言葉だ。

マドリーは今季のリーガエスパニョーラを制した。チャンピオンズリーグでは、リヴァプールとの決勝を控えている。だが野心は衰えておらず、エムバペの加入に向けて準備が進められている。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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