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森保監督への「イジメ」は、もうやめよう。ズレている論点と危険なリテラシーの低さ。

森田泰史スポーツライター
11月シリーズで2勝した森保ジャパン(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

イジメ、格好悪い。

これは私が小学生の時に習った言葉だ。そもそも、イジメなんて、あるべきではない。そんなこと、誰もが分かっている。

それでも、イジメは起こる。イジメが起こるのは、「閉鎖的な空間」と「ヒマ」が大きな要因だ。皆、退屈なのだろう。問題は、その矛先が、日本代表というトップに向かっている点だ。

■森保バッシング

森保ジャパンに関して、ネガティブな報道が続いている。森保ジャパン、というより、刃が向けられているのは森保一監督だ。

メディアだけではなくファンも巻き込み、「森保バッシング」は止まらない。むしろ、勢いを増している。

2022年のカタール・ワールドカップに向けたアジア最終予選で、日本は初戦でオマーン相手に不覚を取った。

確かに、あれは失態だったと言えるかも知れない。だが、その後、アウェーのサウジアラビア戦(×0―1)を除き、日本は5勝を挙げている。チームは間違いなく持ち直した。

森保監督が日本代表の監督に就任して以降、その勝率は70%を超えている。歴代指揮官の中でもダントツの数字だ。

「勝つだけでは物足りない。良いサッカーをするべきだ」という論は理解できる。それはさながら、バルセロナの哲学のように。が、現在の代表は、勝ってもダメ、負けてもダメ。とにかく森保監督は叩かれる。これでは、イジメと何も変わらない。

ベトナム戦で活躍した伊東
ベトナム戦で活躍した伊東写真:ロイター/アフロ

本当に、森保ジャパンは、それほどまでに悪いのだろうか?

日本人監督であるがゆえに、叩かれているきらいもある。しかしながら、いずれにせよ、確かなのは現時点できちんとした検証が必要だということだ。

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■5バックの相手に

まずはベトナム戦を振り返る。

ベトナムは5バックを敷いてきた。【5−3−2】で守備のブロックを築いてきたのだ。

日本は守田英正が左のサイドバックとセンターバックの間に下がり、そこで起点を作った。これはレアル・マドリーでトニ・クロースがやっているような役割だ。

左サイドは守田が下がって起点になった。そして逆サイドの右サイドに関しては、スピードのある伊東純也がワイドに張り、サイドバックの山根視来がインナーラップで内側を突く。左サイドの攻め方と右サイドの攻め方。複数のパターンが準備され、そこには一つの可能性を感じた。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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