ジダンのレアル・マドリーで必要不可欠な存在。カゼミーロの義務感と徹底する力。

カゼミーロと指示を送るジダン監督(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

彼の名が、紙面を賑わすことは滅多にない。

だが数多の名将が、その男に厚い信頼を示してきた。カルロス・エンリケ・カジミーロ、「カゼミーロ」の愛称で親しまれるレアル・マドリーのプレーヤーである。

筆者作成
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ジネディーヌ・ジダン監督にとって、カゼミーロは必要不可欠な存在だ。今季、リーガエスパニョーラ第17節のバレンシア戦で欠場するまで、公式戦21試合連続出場を果たしていた。そのバレンシア戦欠場の理由は、次戦に控えたクラシコに向けて累積出場停止にリーチがかかっていたからだ。

また、今季マドリーがカゼミーロ不在で弱点を露呈した試合がある。プレシーズンマッチのアトレティコ・マドリー戦(3-7)だ。

昨年7月27日、カゼミーロはブラジルのサンパウロにいた。6月に行われたコパ・アメリカでブラジル代表の優勝に貢献した後、数週間のバカンスに入っていた。だがマドリーがアトレティコに大敗した試合をテレビで観ると、行き先をオーランドからマドリードに変更。休暇の日数を減らして、早めにチームに合流した。

カゼミーロは負傷の少ない選手である。それは彼のプロ意識の高さの賜物だ。日頃、全体練習の1時間前に練習場に着き、ジムで個人トレーニングをこなす。練習後は残って身体のケアを行い、自宅に戻ると高気圧酸素治療で仮眠をとる。パーソナルトレーナーを雇っており、加えて、食事の管理を徹底している。

そして、カゼミーロは非常に研究熱心な選手だ。フットマッサージ機で足をほぐしながら、スカウティングソフトで対戦相手を分析しているという。スペインの雑誌『リベロ』のインタビューで、以前、「先日のホームのパリ・サンジェルマン戦で、エンバペと1対1になった。そこで、彼が中央にカットインしようとしたのだけど、僕にはそれが分かっていた。読んでいれば、止められる。大切なのは頭脳だ」と明かしていた。

■銀河系軍団とマケレレ

現役時代、ジダンはフロレンティーノ・ペレス会長が次々に獲得したスタープレーヤーの一人として、2001年夏にマドリーに加入した。2000年夏に会長選で勝利したペレスはルイス・フィーゴ(2000年夏加入)、ジダン、ロナウド(2002年夏加入)を確保していき、2001-02シーズンにはチャンピオンズリーグを制して欧州の頂に立った。

だがデイビッド・ベッカム(2003年夏加入)の獲得により、クロード・マケレレがチェルシーに移籍。そこで流れが変わった。潰し屋であり、汗かき役を務めたマケレレがいなくなり、かろうじて保たれていたマドリーの中盤の均衡が崩れた。他ならぬジダン自身がそれを痛感していたに違いない。

同じ轍は踏まない。ゆえに、ジダン監督はカゼミーロを重宝する。そしてペレス会長もまた、過去の失敗を繰り返さず、すでにカゼミーロと2023年夏までの契約延長で合意している。

今季のマドリーにおいては、フェデリコ・バルベルデの台頭を契機に、世代交代の波が押し寄せてきている。ルカ・モドリッチのプレータイムが減り、トニ・クロースがビッグマッチでスタメンから外された。しかしながらカゼミーロの代わりはいない。唯一無二のボランチが、ジダン・マドリーを支えている。

東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。カンプ・ノウでメッシの5人抜きを目の当たりにして衝撃を受ける。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。過去・現在の投稿媒体は『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』等。『Foot! MARTES』出演。

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リーガエスパニョーラは「戦術の宝庫」。ここだけ押さえておけば、大丈夫だと言えるほどに。戦術はサッカーにおいて一要素に過ぎないかもしれませんが、選手交代をきっかけに試合が大きく動くことや、監督の采配で劣勢だったチームが逆転することもあります。なぜそうなったのか。そのファクターを分析し、解説するというのが基本コンセプト。これを知れば、日本代表や応援しているチームのサッカー観戦が、100倍楽しくなります。

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