レアル・マドリーで解決策を探すジダン。負傷者続出に、中盤の人材不足という課題。

パリ・サンジェルマン対レアル・マドリーの一戦(写真:ロイター/アフロ)

レアル・マドリーに、早くも正念場が訪れている。

マドリーは今夏、ポール・ポグバの獲得に失敗した。一方でガレス・ベイルとハメス・ロドリゲスの残留が決まっている。ジネディーヌ・ジダン監督としては、手元に置きたいと願っていた選手を逃して、構想外としていた2選手を突き付けられたというのが本音だろう。

だが、補強の成否だけがマドリーの問題ではない。

■負傷離脱

シーズン序盤から、マドリーは負傷者が続出している。

プレシーズンから数えて、ブラヒム・ディアス、マルコ・アセンシオ、フェルランド・メンディ、ティボ・クルトゥワ、ルカ・ヨヴィッチ、ロドリゴ・ゲデス、エデン・アザール、ハメス、イスコが離脱を余儀なくされた。それに加え、先のインターナショナルウィークで、クロアチア代表に招集されていたルカ・モドリッチが負傷。次いでフェデ・バルベルデが負傷して11人目の「犠牲者」となった。

考えられるのはプレシーズンツアーの影響だ。この夏、マドリーはカナダ、アメリカ、ドイツ、オーストリア、イタリアと欧米を横断。マドリッド、モントリオール、ヒューストン、ランドーバー、ニュージャージー、ミュンヘン、ザルツブルク、ローマと9都市を渡り歩き、移動で疲労が蓄積した。

また、アントニオ・ピントゥスの不在は大きい。ピントゥスは2016年にジダン監督の要望でコーチングスタッフとして入閣した。フィジカルトレーナーを務め、2016-17シーズン、2017-18シーズンのチャンピオンズリーグ連覇に大きく貢献。しかしながら、ジダン監督が2018年夏に退任した際、ピントゥスが残留を決断して両者の間に亀裂が走り、この夏にアントニオ・コンテ監督率いるインテルに向かっている。

長距離移動と敏腕トレーナーの退団で、マドリーの歯車は少しずつ狂い始めた。

■中盤の人材

そして、ジダン監督を悩ませているのが中盤の人材不足だ。

マドリーは今夏、ダニ・セバジョス(アーセナル)、マテオ・コバチッチ(チェルシー)、マルコス・ジョレンテ(アトレティコ・マドリー)を放出している。セバジョスはレンタルで、コバチッチとジョレンテは完全移籍でマドリッドを去っていった。

ジダン監督はカセミロ、モドリッチ、トニ・クロースに絶大な信頼を寄せている。だが中盤の人数が足りないのは明らかで、とりわけカセミロの代役を務められる選手がいない。

第一次ジダン政権で、この役割を担ったコバチッチが易々と放出され、カンテラーノであるジョレンテも、指揮官の要望にかなわなかった。唯一の代役がフェデ・バルベルデで、あるいは戦術的な解決策がクロースのアンカー起用では心許ない。

加えて、モドリッチ(34歳)、クロース(29歳)、カセミロ(27歳)の3選手を筆頭に中盤の選手たちの高齢化が進んでいる。アヤックスのドニー・ファン・デ・ベーク獲得に乗り出そうとしていたマドリーだが、最終的に移籍は成立しなかった。

ポグバとファン・デ・ベークを確保できず、若返りの機会を逸した。かつて、コバチッチにリオネル・メッシのマンマークを命じて10対10の戦術を仕掛けたようなアイデアも、ジダン監督の頭に浮かんでいない。

■適合するシステムは

資源の枯渇という現実に直面しながら、ジダン監督はこれまで複数の布陣を試してきた。しかし、現メンバーに適合するシステムを見つけられずにいる。

プレシーズンのザルツブルク戦とローマ戦で3-5-2が試された。マルセロ、ダニ・カルバハルの両ウィングバックが高い位置を取れる一方で、左右のCBが膨大なスペースをカバーしなければならず、守備に綻びが生じた。マルセロの背後のスペースを突かれるというウィークポイントを助長させるだけだった。

リーガエスパニョーラでは、開幕から4試合で3つのシステムを使い、17選手を起用している。4-3-3(第1節セルタ戦/第4節レバンテ戦)、4-2-3-1(第2節バジャドリー戦)、4-4-2(第3節ビジャレアル戦)と布陣が変更されてきた。

懸念材料は、まだある。ジダン・マドリーは失点が多い。プレシーズン7試合で19失点(1試合平均2.7失点)を、リーガ開幕から4試合で6失点(1試合平均1.5失点)を喫している。クリスティアーノ・ロナウドがいた頃なら得点力でカバーできたが、いまはそれもできない。

常に結果が求められるレアル・マドリーというクラブで、多くの時間は与えられない。その中でジダン監督の試行錯誤は続いている。