ドイツ、ブラジル、アルゼンチンと優勝候補が軒並み苦戦。W杯を制するのはどこなのか。

ドイツはクロースを封じられて苦しんだ(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

今回のワールドカップでは、予想以上に強豪国が苦戦している。序盤の試合を見て、今後波乱が起きそうな予感が膨らんだ。

優勝候補のドイツ、ブラジル、アルゼンチンは最初の試合で勝利に見放された。ドイツはメキシコに敗れ、アルゼンチンはアイスランドに、ブラジルはスイスに引き分けている。

■苦戦の原因

前半の15分は凄まじいプレー強度で試合に入る。これぞブラジル。流石はドイツ。やはりアルゼンチン。そう思わせるような立ち上がりだった。

だが、そこから徐々にペースダウンしてしまう。攻撃に迫力がなくなり、守備の戻りが遅くなる。ドイツとアルゼンチンは一瞬のカウンターで失点している。

その原因として、気候の影響が考えられる。この夏のロシアは涼しい。選手たちが90分走り切れてしまう。こうなると、ボールを回して相手を疲労させるという戦術自体が通用し難い。

そして、気になるのは芝生である。短い芝に水を撒く。ポゼッションを主体とするチームにとっては、これが理想だ。だがロシアの地では、芝の長い乾いたピッチが存在している。

■プレス型のチーム

今回のW杯の傾向として、「プレス型」のチームが強い。目を引いたのはスイス、メキシコ、アイスランド、オーストラリアだ。

スイスはベーラミがマンツーマンでネイマールを封じた。ベーラミとネイマールの1対1はこの試合のひとつの見物だったが、ベーラミに限らずスイスの選手たちは激しい肉弾戦を仕掛けてブラジルの攻撃を無力化した。

ネイマールのスイス戦における被ファウル数は10回に上った。1998年フランス大会のグループステージ初戦チュニジア戦で、シアラー(イングランド)が同数のファウルを受けたが、それ以来の数字となった。

ネイマールは19日の練習を途中で切り上げ、ブラジルサッカー連盟が「スイス戦で厳しいタックルを受けて足首を痛めたが、コスタリカ戦には出場する見込み」と初戦の対戦相手に忠告する事態にまで発展している。

■異なるアプローチ

ここまでは、ワンボランチのチームより、ダブルボランチのチームの方が苦しんでいる印象だ。

例えばドイツである。オーガナイザーのクロース、守備型のケディラでダブルボランチを組んでいる。メキシコの1トップを務めたチチャリートとトップ下のベラが、中盤の要であるクロースに執拗にプレスをかけた。ケディラが中盤で余る格好となり、数の上で1選手を無駄にする。ドイツの攻撃のリズムは狂い、ファイナルサードに入ってもクロス攻勢とミドルレンジからのシュートを繰り返すばかりだった。

ブラジルはどうだろうか。カセミロ、パウリーニョはいずれも守備型だ。2列目のネイマール、コウチーニョを攻撃に専念させるための起用法だ。しかしながらネイマールやコウチーニョが徹底マークに遭った場合、カセミロやパウリーニョがひとつ低い位置でゲームを組み立てられない。

興味深いのは、ドイツと対峙したメキシコ、ブラジルと対峙したスイスが、まったく異なるアプローチをしているところだ。メキシコは前線からのプレス、また1トップのプレスバックでクロースを潰した。スイスはネイマールにマンマークを付けてブラジルの攻撃を無力化。ブラジルはハーフウェイラインを越えた辺りではボールを保持できたが、明確な決定機を作り出せなかった。

■実力は拮抗

またアルゼンチン戦で勝ち点1を奪取したアイスランド、フランス相手に善戦(1-2で敗戦)したオーストラリアも「プレス型」だった。

アスリート色の強いチームであるアイスランドはフィジカルの差を存分に生かしていた。アイスランドはメッシに11本のシュートを許した。今大会1試合最多のシュート数だった。しかし、そのうち8本がペナルティーエリア外から打たれたもので、アルゼンチンをゴール前から遠ざけることに成功している。

オーストラリアはポゼッション率(フランス55%対オーストラリア45%)で下回ったが、ボールの移動はミドルゾーンが54%と大半であった。フランスに決定機らしい決定機をほとんど与えなかった。

W杯は完成度の高いチームが優勝する。ただ、一戦目を見る限り、ロシア大会に参加している各国の実力は拮抗している。現時点では、どこが勝つのかまったく読めない。最後まで、手に汗握る熱戦を期待したいところだ。