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今日は中秋の名月 「ひまわり」がとらえた月について考える

森田正光気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ会長
2021年4月24日午前8時40分衛星画像(提供:情報通信研究機構(NICT))

 今日は旧暦八月十五日。今夜は「中秋の名月」です。

 電燈が無かった時代、月明りはたいへん貴重で「いつも月夜に米の飯(メシ)」ということわざがありました。つまり、お米の御飯と月明りがあれば、これほど有り難いことはないという意味です。現代とは格段に月の存在が重要であったわけで、それが月を愛でる習慣にもなっていったのでしょう。

 その貴重だった月が、現代では、気象衛星「ひまわり」でも確認することができます。

「ひまわり」から見る月見

2021年4月24日午前8時40分衛星「ひまわり」画像 (提供:情報通信研究機構(NICT))
2021年4月24日午前8時40分衛星「ひまわり」画像 (提供:情報通信研究機構(NICT))

 タイトル画像と上の写真は今年4月24日午前8時40分の衛星「ひまわり」画像です。よく見ると、地球の左上に丸い月が写し出されています。この時の月齢は約12で、満月の3日前です。画像でも月の左端が欠けているのが確認できます。(画像は月をはっきり見せるために明るさを調整しています)

 実は気象衛星に月が写ることがあるのを私が知ったのは、1980年頃のことでした。当時、私は気象協会に在職していて、その業務に衛星画像のネガを暗室で現像する仕事も担当していたのです。

 月が写っている画像を偶然見つけたのは、同じ勤務をしていた同僚でしたが、最初にその画像を見た時には感動して、気象衛星はなんと凄いものだろうと思いました。

 気象衛星は主に雲を観測する手段として開発されたものですが、雲以外にも副次的に様々なモノを写し出します。気象衛星の分解能は、衛星直下点(赤道上)で1.25キロ(現在は1キロ)ですから、大きさが数キロ以上のものは、だいたい写し出すと言っても過言ではありません。

 では、どんなものを写し出すのでしょう。

 例えば火山の噴火や山火事の煙などはよく知られていますが、他にも霧や上空のジェット気流によってできた雲。水蒸気の濃淡、霧や流氷、氷山、積雪、海流、黄砂、さらに船舶が通った後にできる航跡雲(こうせきうん)などもあります。

 もちろん山や河川なども写し出されますが、興味深いのは湖です。季節が進んで気温が下がっていくと、湖が白く凍るのも分かります。

 ただ残念なことは、気象衛星は雲の画像を見るものとしての役目があるために、天気に直接関係のないものは、ほとんど伝えられません。「ひまわり」に写る月も、春と秋の一時期にしか写らないので、ひまわりに月が写るということ自体、知られていないように思います。

中秋の名月は見られるか

今日21日午前9時40分の衛星「ひまわり」画像(提供:情報通信研究機構(NICT)))
今日21日午前9時40分の衛星「ひまわり」画像(提供:情報通信研究機構(NICT)))

 台風14号が去ったあと全国的に2日間ほど秋晴れに恵まれましたが、西からは低気圧と前線が接近中で、南海上にも雲の帯が伸びています。(気象衛星で確認できます)。

 中秋の名月は北日本では見られるところが多いですが、東日本から西の太平洋側では、運が良ければ雲の合間から時おり見られる程度でしょう。

 四国や紀伊半島など沿岸部ほど「中秋無月」となってしまいそうです。

 ちなみに東京の月の出は18時07分、早い時間であれば見られるかもしれません。

今夜21日夜の天気分布(出典:ウェザーマップ スタッフ加工)
今夜21日夜の天気分布(出典:ウェザーマップ スタッフ加工)

追記

 今日午前11時のひまわり画像に月が写っていました。右側に見える赤い大陸はオーストラリアです。

今日21日午前11時00分の衛星「ひまわり」画像(提供:情報通信研究機構(NICT)))
今日21日午前11時00分の衛星「ひまわり」画像(提供:情報通信研究機構(NICT)))

参考

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)ひまわりWeb

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ会長

1950年名古屋市生まれ。日本気象協会に入り、東海本部、東京本部勤務を経て41歳で独立、フリーのお天気キャスターとなる。1992年、民間気象会社ウェザーマップを設立。テレビやラジオでの気象解説のほか講演活動、執筆などを行っている。天気と社会現象の関わりについて、見聞きしたこと、思うことを述べていきたい。2017年8月『天気のしくみ ―雲のでき方からオーロラの正体まで― 』(共立出版)という本を出版しました。

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