北米に「1000年熱波」カナダ西部は47.9度で2日連続の国内記録
1000年に一度の頻度でしか起こらないような出来事が、今、北米大陸を襲っています。平年を20度も上回るような酷暑が続き、カナダでは2日連続で国内最高気温の記録が更新されました。
その記録が出たのが、カナダ西部ブリティッシュ・コロンビア州のリットンです。盆地に位置する、人口250人ほどの田舎町です。
28日(月)には最高気温が47.9度まで上昇し、カナダの国内最高気温の記録となりました。実はその前日にも46.6度まで上がって、国内記録が更新されたばかりでした。リットンのこの時期の最高気温は25度ほどです。
暑さで有名なアメリカ・ラスベガスの最高気温記録ですら47.2度ですから、それよりも高い気温が出てしまったということになります。
1000年に一度の熱波
こうした高温が出る確率を計算してみると、なんと1000年に一度程度なのだそうです。そんな珍しい出来事が、今起きてしまっています。
リットンの他に、28日(月)に北米で観測された気温は以下のようなものです。すべて各地点における観測史上最高気温です。
キャッシュクリーク:45.7度(昨年までの記録40.6度)
クリアウォーター:43.7度(〃38.3度)
カンループ:45.8度(〃39.1度)
リロエット:45.6度 (〃39.3度)
【アメリカ/ワシントン州、オレゴン州】
ダレスポート:47.8度
シアトル:42.2度(昨年までの記録39.4度)
ポートランド:46.7度(〃41.7度)
セイラム:47.2度
メッドフォード:46.1度
熱波の原因
一体何が原因なのでしょうか。
それはアメリカとカナダの国境付近に中心を持つ、異常に発達した高気圧の影響です。この地域に発生した高気圧としては、観測史上もっとも強いともいわれているほどです。勢力の強い高気圧の下では、空気が上から圧縮され気温が上昇し「ヒート・ドーム」ができています。
ヒート・ドームは、よくカリフォルニアなどアメリカで南西部を中心に発生することが多く、今回のようにカナダにまで到達するほど北にできることは極めて稀なことです。しかも今はまだ6月。夏は始まったばかりです。
専門家は、人為起源の温暖化によって、こうした異常熱波が起こりやすくなると分析しています。
●●が飛ぶように売れる
1000年熱波の中、あるものの需要が急増しています。冷房です。というのも、例えばブリティッシュ・コロンビア州の家庭における冷房保有率は4割ほどと低いためです。
店舗では品切れが続出し、オンライン上では転売が盛り上がりを見せています。通常3万円弱の冷房が18万円で売り出されるなど、破格の値が付いているほどなのです。そのうえ、冷房完備のホテルの予約も殺到し、ほぼ満室状態になっているといいます。
リットンでは29日(火)も47度の予想が出ており、さらに記録が更新されてもおかしくない状況が予想されています。