森林火災の煙、世界を一周して再びオーストラリアに

森林火災の煙で霞むシドニーの空(11月)(写真:ロイター/アフロ)

14日(火)オーストラリア第二の都市メルボルンの空は一面、黄茶色に染まり、大気汚染レベルは世界で最悪となりました。現在もオーストラリア東部で発生している森林火災による煙は、国内のみならず、風に乗って何万キロ先へも飛ばされています。

この影響で、今月頭にはニュージーランドの氷河がオレンジ色に染まったほか、8日(水)には12,000キロも離れた南米アルゼンチンやチリ、さらにブラジルの空も黄色く霞みました。この時点で地球を半周していたわけですが、その後も浮遊し続け、13日(月)には世界を一周して、再びオーストラリアにたどり着いたようです。移動距離は20,000キロを超えます。

13日の大気浮遊微粒子の状況を表した図 (出典: NASA)
13日の大気浮遊微粒子の状況を表した図 (出典: NASA)
上の拡大図 (出典: NASA)
上の拡大図 (出典: NASA)

上の画像は、NASAが発表した13日の大気浮遊微粒子(エアロゾル)の状況で、砂漠の砂や、火災によるススなどをとらえています。

このうち黒い丸で囲まれている部分が、オーストラリアの森林火災の煙によるものです。地球を一周して帰ってきています。

なお赤い丸は、このところの森林火災による新たな煙、緑の丸は、砂嵐により発生した砂塵をとらえています。

煙の高さ18キロ

森林火災の煙が世界を一周した理由は何でしょうか。それは、煙が空高くに舞い上げられたことが関係しているようです。

大規模な森林火災により「火災積乱雲」と呼ばれる巨大な雲が次々に発生しました。この上昇気流によって、灰やチリなどを大量に含んだ煙が上空まで運ばれたのです。

(↑4日ニューサウスウェールズ州で発生した火災積乱雲)

オーストラリア気象局によると、火災積乱雲の高さは地上約18キロに達し、私たちのいる「対流圏」のその上の「成層圏」と呼ばれる大気層に突入したとのことです。成層圏では雨雲が発生しないので、この高さまで到達した物質は長く浮遊し続けます。

NASAは現在、今回のオーストラリア火災の煙が、地球の気温にどのような影響を及ぼすのかについて調べているようです。

ピナツボ火山噴火で冷夏

ちなみに1991年のフィリピン・ピナツボ火山が噴火した際には、その噴煙が高度35キロに達しました。

噴煙が成層圏に到達した結果、太陽光が遮られ、世界の平均気温を0.6℃も低下させました。日本でも1993年に記録的な冷夏が発生して、タイ米騒動が起きたのは有名な話です。