台風28号(カンムリ)「非常に強い」勢力でフィリピン上陸へ

2日の台風28号の衛星画像(出典元: RAMMB/CIRA)

7つの星が弧を描くように並ぶ「かんむり座」。あいにくこの時期は、日本から見ることができないのですが、現在この星座から国際名が付けられた台風28号が、フィリピンの東部で渦を巻いています。

カンムリの現況、予想

気象庁の台風進路図 (2日12時発表)
気象庁の台風進路図 (2日12時発表)

日本時間2日12時時点の、台風カンムリの中心気圧は955hPa、最大風速は40m/sで「強い」勢力となっています。今後勢力を強め、2日夜にも「非常に強い」勢力でフィリピンのビコル地方に上陸する見込みです。

フィリピンで予想される最大瞬間風速は60m/s、また高潮は3メートルです。直撃のおそれが高まっているビコル地方というのは、いくつもの島からなっているために、高潮や高波に脆弱な場所です。さらに台風は島々の上を通過するため、海からの水蒸気の補給を受け続け、上陸後もあまり弱まらないで移動することが予想されます。

この台風の影響で、11月30日から始まっている東南アジア競技会の試合も、中止や変更を強いられている状況です。

フィリピンの台風事情

日本では段々と寒さが増す11月から12月は、フィリピンにとって危険な台風シーズンです。過去に発生した人的被害が大きかった台風のほとんどは、11月から12月に発生しています。

死者6,300人超を出した2013年の台風ハイエンや、5,100人以上の死者を出した2012年のテルマは11月、1,900人を超える犠牲者を出した2012年のボーファは12月に上陸しているのです。

1900年以降にフィリピンに上陸し、大きな人的被害を出した台風のリスト (Wikipediaのデータをもとに筆者作成)
1900年以降にフィリピンに上陸し、大きな人的被害を出した台風のリスト (Wikipediaのデータをもとに筆者作成)

台風の一番の被害者

フィリピンは中国に次いで、世界第2番目の台風常襲国です。年間上陸数は7~8個で、これは2~3個で世界3位の日本を大きく上回ります。

年間死亡者数は740人で、そのうち、もっとも大きな被害を受けるのは、女の子の赤ん坊であることがわかっています。

アメリカの研究によると、台風の被害発生から2年以内の死亡率は、女の子の赤ちゃんが平均と比べ15倍も高いのだそうです。加えてその女児に、姉がいた場合はそれの2倍、さらに兄がいた場合はその2倍に増えるといいます。台風で経済的に困窮した家庭が、女児への食費や医療費を削る傾向にあるためではないかと考えられます。胸の痛くなる悲しい話です。

台風の被害の大きさは、台風の強さだけでは決まりません。どれだけ情報を人々に周知させ、避難を徹底させるかで大きく変わってきます。被害が少ないことを、切に願います。

追記(12/3):台風カンムリは現地時間2日夜フィリピン・ビコル地方のグバット付近に上陸しました。上陸直前の中心気圧は950hPa、最大風速は45m/sでした。