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竜巻140個、超巨大ひょう、半世紀ぶりの大雪 連日荒天のアメリカ

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
NOAA出典の天気図に筆者加筆 。嵐をもたらした2つの低気圧が西から東に移動。

アメリカでは先週から大荒れの天気が続いています。5日間で140個の竜巻が報告された他、直径14センチの巨大な雹や、大規模な洪水も発生しています。一方で西部では、季節外れの大雪となりました。

大荒れのアメリカ

アメリカでは17日(金)から毎日のように竜巻・降雹・強風や大雨が発生しています。

[竜巻]

アメリカ中部のミズーリ州、カンザス州などを中心に竜巻の大発生が起こり、17日(金)から21日(火)までの報告数は140個に上りました。

[降雹]

さらにテニスボールや野球ボール大の大きな雹も降りました。テキサスでは下の写真にある直径14センチの超巨大な雹も降ったようです。

[大雨]

加えて、5月の月間降水量の2倍に相当する220ミリ以上の大雨も降り、大規模な洪水が発生しています。

オクラホマ州では、激流のなかで木につかまっていた男性が救助されたり、女性が増水した川に飛び込んで、車ごと転落した男性を助けたというニュースもありました。

これまでのところ、竜巻や大雨などが原因で4人が死亡したと伝えられています。

荒天の原因

この悪天をもたらした原因は、2つの低気圧です。

タイトルの図は、17日(金)から21日(火)までの天気図ですが、2つの低気圧が連続して通過しているのがわかります。この低気圧からのびる寒冷前線に沿って、竜巻や降雹、強風などが観測されました。

竜巻(赤)、降雹(緑)、強風(青)の報告数 。出典元: NOAA。
竜巻(赤)、降雹(緑)、強風(青)の報告数 。出典元: NOAA。

季節外れの大雪

一方、寒冷前線の後面に当たるアメリカ西部では季節外れの寒気が覆い、ロッキー山脈などでは大雪が降っています。

標高の高いところでは50センチ以上の雪が降った他、デンバーでは9センチの雪が降り、この時期としては44年ぶりの大雪となりました。なお、デンバーの終雪の平均日は4月27日です。

この大雪や荒天は23日(木)にかけて続く見込みです。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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