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ハリケーンのあとの竜巻 フロリダ州空軍基地にまた天災

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
2018年10月ハリケーン・マイケルの直撃を受けた直後のティンドル空軍基地(写真:ロイター/アフロ)

アメリカ・フロリダ州にあるティンドル空軍基地は、10月にハリケーン・マイケルの被害を受けたばかりですが、今度は竜巻の直撃に遭ってしまったようです。

竜巻が発生したのは19日(土)午後6時頃のことでした。けが人は出なかったものの、建物と車両に被害が出たもようです。事後調査で推定風速は40メートル、カテゴリーは竜巻の指標で2番目に弱いEF1と判定されました。

ハリケーン・マイケル

昨年10月にハリケーン・マイケルがこの空軍基地を直撃した際には、さらに大きな被害が発生しました。99%の住居施設等が損傷を受けたと伝えられています。

それもそのはず、マイケルは中心気圧919hPa、最大風速69メートルで上陸した、全米史上3番目に強いハリケーンだったのです。

一つの施設が竜巻とハリケーンの両方に遭遇すること自体なかなかあることではありませんが、その2つの天災がたった3か月の間に立て続けに起きてしまったのですから、かなり珍しいことです。

重なる偶然

不遇にも、起こる確率が低いにもかかわらず、幾度も竜巻の被害に遭ってしまったという話があるものです。

例えばカンザス州コデルの町は、1916年、1917年、1918年の3年連続で竜巻に襲われています。しかも竜巻が起きた日はどれも同じ5月20日でした。

また同じくカンザス州には、竜巻で2回も家を壊されてしまった夫妻がいます。

Weather Channelの計算によると、竜巻が多く発生するカンザス州やオクラホマ州であっても、竜巻の直撃に遭う確率は1,585年に1度と、非常に低い確率なのだそうです。それにもかかわらず、ナス夫妻の家は2007年と2016年に2回竜巻の被害を受けてしまったのです。

先日、1年半のうちに宝くじを2度当てて、2億円以上を儲けてしまったフランス人のニュースを見ましたが、人生は非情なものだとつくづく考えさせられます。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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