米イリノイ州 12月としては観測史上最多の「トルネード・アウトブレイク」

(提供元: アメリカ・イリノイ州気象局)

今日(4日)、日本では12月としては観測史上最も暖かくなったところがありましたが、先週末はアメリカ・イリノイ州で季節外れの竜巻が約25個発生し、12月としては観測史上最多の記録となりました。近年アメリカの竜巻は、その発生時期・場所ともに変化が起きているようです。

12月に竜巻大発生

1日(土)発達中の低気圧と前線がアメリカ中西部を襲い、イリノイ州で約25個の竜巻が発生しました。これは12月としては州の観測史上最多の記録です。

特にテイラービルで発生した竜巻は、推定風速69メートル、竜巻の規模を示す改良藤田スケールは上から3番目に強い「EF3」の勢力でした。この竜巻によるけが人は25人で、500軒以上の家屋が損壊したと伝えられています。ただ幸いなことに、竜巻襲来の41分前に警報が出されていたために、難を逃れた住民もいたようです。

その前日には南部オクラホマ州やミズーリ州などで竜巻が発生し、1人が死亡しています。

季節外れの冬竜巻

竜巻大国のアメリカとは言え、竜巻が12月に発生することは珍しいことです。

イリノイ州の月別竜巻発生数 (提供元:NOAA)
イリノイ州の月別竜巻発生数 (提供元:NOAA)

右のグラフはイリノイ州の月別の竜巻発生数を表していますが、竜巻の大半が4~6月に発生し、12月は3番目に発生数が少ないことが分かります。

その理由は、竜巻が暖気と寒気のぶつかり合いで生じるためです。冬の名残の寒気と、夏のはじめの暖気がせめぎあう春はアメリカの竜巻シーズンですが、反対に寒気で覆われる冬は竜巻のオフシーズンです。しかし1日(土)はアメリカ南北で季節外れの大きな気温差が生じ、竜巻の大発生(トルネード・アウトブレイク)が起こりました。

変わる竜巻事情

このように冬竜巻は珍しいものの、近年その数が増えているというデータがあります。さらに竜巻の発生場所にも変化が起きているという報告もあるようです。

北イリノイ大学のジェンシーニ教授と全米悪天候調査研究所のブルックス博士によると、過去40年間で「竜巻街道」と呼ばれている中部や南部の平野部での竜巻が減り、かわって中西部(イリノイ州も含む)と南東部で増えていることが分かりました。教授らはこの背景に、温暖化の影響があると指摘しています。

竜巻は発生場所が異なると性質も変わるもので、例えば温かいメキシコ湾に近い南東部の竜巻は、夜に発生しやすく、さらに生い茂った木々に隠されて見えにくいことから、死者が出やすいことが知られています。