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カリフォルニアの山火事史上4位の規模に 消火の陰に「囚人」の力

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
ロサンゼルス郊外で起きている「トーマスファイアー」の消火にあたる消防士たち(写真:ロイター/アフロ)

1/14追記:トーマスファイアーによる焼失面積は1,140平方キロ(281,893エーカー)に達し、加州最大の山火事となりました。1月12日に完全鎮火。

燃えさかる炎は衰える気配もなく、ロサンゼルス郊外の山火事は日に日に拡大を続けています。4日(月)発生した通称「トーマス」と呼ばれる山火事は、乾いた強風「サンタアナ」の影響で、高級別荘地サンタバーバラ郡にも拡大しています。

14日(木)には焼失面積が1,000平方キロを超え、カリフォルニア史上歴代4位の規模となりました。

Cal Fireの資料より著者加筆
Cal Fireの資料より著者加筆

消防隊員からの手紙

こうした状況の中、24時間体制で山火事と戦い続ける消防隊員の決死の姿に、国内から多くの賞賛の声が寄せられています。

サンディエゴ郊外に住む夫婦の場合は、感謝の気持ちをSNSに投稿しました。なんでも彼らが避難から帰ってくると、家の一部が壊されていることに気が付いたそうです。当初はショックだったでしょう。しかし消防隊員が残した手書きのメモを発見し、胸を打たれたといいます。そのメモには下記のような、気遣いの言葉が書かれていました。

4分の1が囚人の消防員

ロサンゼルスデイリーニュースによると、現在カリフォルニアでは約9,000人の消防員が消火に当たっていますが、そのうち2,000人は囚人の消防員だといいます。これは、囚人の更生プログラムの一環で、軽警備の刑務所の囚人だけが参加を許可されているものです。

過酷な労働であるにもかかわらず、彼らに支払われる賃金はかなり低い設定となっています。当局の資料によると、緊急時に支払われる消防員の給料は、通常最低でも時給10ドル50セントのようなのですが、囚人の場合は、一日2ドルの基本給と時給1ドルしか支払われないようです。例えば12時間働いたとして2+12ドル=14ドルほどなのです。

「奴隷並み」の低賃金に疑問を投げかける政治家もいるようですが、この任務にあたった受刑者は他の受刑者に比べ再犯率が約1割低いという統計も出ているようです。

今後の状況

こうした多数の消防員の努力があって、14日(木)時点の鎮火率は35%と、消火の範囲は徐々に広がってはいます。しかし大変残念なことに、週末にかけサンタアナが吹き荒れること、また一桁台の湿度が続く見込みであることから、再び火の勢いが増す恐れが出ています。

(カリフォルニアだけ真っ白、つまり少なくとも年内は雨が全く降らない予想)

*参考資料*

緊急時の消防員の給料 (PDF)

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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