米ハリケーンで『千年に一度』の洪水 その原因に「ブラウン・オーシャン効果」

29日、ヒューストン。ボートで救助される住民。(写真:ロイター/アフロ)

被害の状況

ハリケーン・ハービーによるテキサス州南東部の洪水の面積は、25,000平方キロと、実に秋田県2つ分以上に相当します。これまでのところ死者は47人、被害家屋は10万軒に上っています。

また民間気象会社の試算によると、被害総額は1,900億ドルに達し、これまでアメリカで起きた災害の中で、史上最高額になる可能性があるとのことです。

「1,000年に一度」意味

さらにウィスコンシン大学の発表によると、今回の出来事は「1,000年に一度」の規模の洪水であったようです。その意味が示すことは、ある年に今回と同規模の洪水が起こる確率が0.1%(千分の一)であるということ。逆に言えば、99.9%の確率で起こらないことが、今回起きてしまったということになります。

(洪水の前後の様子↑)

驚愕の降水量

では実際、どれほどの量の雨が降ったのでしょうか。

ヒューストン近郊では5日間で1,318ミリの雨が降りました。これはアメリカ本土に上陸したハリケーンの雨量としては観測史上最大です。同市の年間降水量は1,380ミリですから、1年間で降る量の雨が数日で降ってしまったことになります。

また水の量は27兆ガロン(1,000億立方メートル)とも言われます。想像もつかない量ですが、これはなんと「琵琶湖4個分」の水量に匹敵するのです。

大雨を降らせた3つの原因

記録的大雨には以下のような理由が挙げられます。

1. まず、ハービーが同じ場所に長く居座ったことです。25日(金)に上陸後、29日(火)までテキサス南東部に停滞を続けました。

3. また、メキシコ湾の海水温が30℃前後と高く、暖湿な気流が流れこみました。

3. 通常ハリケーンは、海からの水蒸気をエネルギー源にするのですが、非常に湿った土壌や、洪水などで地面に水が溜まっていると、それが蒸発した水蒸気で発達することがあります。これは「ブラウン・オーシャン効果(Brown ocean effect)」と呼ばれ、今回の場合も、この効果が働いたのではないかと考えられています。実際テキサスでは、6月と7月に平年の2倍の雨が降っており、土壌水分量が高くなっていました。

「ブラウン・オーシャン効果」が起きた例としては、2001年のハリケーン・アリソンや2007年のトロピカルストーム・エリンなどがあります。後者はテキサス上陸後に再発達をし、内陸で明瞭な「目」が現れたほどだったのです。

上陸後に現れたエリンの「目」(NWS)
上陸後に現れたエリンの「目」(NWS)

ヒューストンでは3年間で3回の大洪水

こうした歴史的大雨に加え、テキサスの地形も被害を拡大させた要因でしょう。というのは、ヒューストン一帯は「バイユー」と呼ばれる小川が数多く流れる沼地上の低地で、元から洪水が起こりやすい地形なのです。

さらに近年の急激な人口増加で、地盤の弱い場所にも住宅が建てられており、災害に対して、より脆弱になっているようです。実際ヒューストンでは、今年に限らず、2015年と2016年にも500年に一度と呼ばれるような大洪水が発生しています。