Yahoo!ニュース

必見!ハワイの伝説サーフィンイベント6年ぶりに開催 

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
(写真:ロイター/アフロ)

追記:残念ながら、大会当日の朝、波の高さの規定を満たさなかったことから、イベントは中止となりました 

いま、世界中のサーファー達は、待ちに待ったその日を前に、波打つ胸の鼓動を抑えられないでいるかもしれない。

ハワイ時間水曜(10日)に伝説のサーフィンイベント「エディ・アイカウ」が行われる。このコンテストは、”ある”波の条件が整った時に、選ばれし者だけが参加を許されるというもので、サーファー達の夢の舞台なのである。

「エディ・アイカウ」とは

オアフ島のノースショアにあるワイメアベイで行われる、世界最大級のサーフィンコンテストのことで、正式名称はスポンサー名がついた「クイックシルバー・イン・メモリー・オブ・エディ・アイカウ」。参加者は世界中から招待された28人で、波の高さが基準を超える時にしか開催されない。その基準とは、6メートル以上の波が、大会開催中の午前8時から午後4時頃まで続くこと。

画像

波が6メートルなんて、よくあることだと思われるかもしれないが、ここでいう波高は、海岸線から測った波ではなく、背後から見ての高さである(左図参照)。ハワイの基準で6メートルというと、日本の基準で言うならば、およそ2倍の12メートルで、マンション4、5階建ての高さに相当する。過去30年間で未だ8回しか開催したことがない、非常にレアなイベントである。

そもそもこのコンテストの由来は何なのか。

それは、伝説のサーファーエディ・アイカウ氏(1946年-1978年)への追悼である。彼は、世界有数のサーファーであり、開催地であるワイメアベイのライフセーバーでもあった。弟とともに数百人もの人々を救出したという、英雄的存在であった。しかし、1978年にパナマへの航海中に船が難破し、救助を求めに一人で荒れ狂う海に漕ぎ出した後、消息を断った。どんな波にも向かっていった彼の姿勢から「Eddy would go(エディなら行くさ)」というフレーズが生まれ、このイベントの代名詞ともなっている。

エルニーニョのおかげで開催?

日本時間10日午前3時の天気図。気象庁
日本時間10日午前3時の天気図。気象庁

天気図を見ると、ハワイの北に台風並みに発達した低気圧がある。実はこの低気圧、先週末に日本の南を通過したものだ。この嵐からのうねりを伴った波が、ハワイの北岸に格好のコンディションをもたらす。

そもそもエルニーニョ時は北東太平洋で擾乱が発生しやすく、そのせいでハワイでは冬場の波が高くなる傾向がある。例えば、大会が行われた2009年、2004年、1986年などはどれもエルニーニョ年であった。

どうやってみるの?

大会時は、ノースショアに向かう道が大混雑することが予想される。1万人以上の観光客が見込まれるため、混雑は計りし得ない。それに、今からでは飛行機に乗っても間に合わないので、インターネットでのオンライン中継をお勧めする。([www.quiksilver.com こちら]かこちらから視聴可能)

開催時間は、日本時間木曜(11日)の午前3時から午前11時半。日本人の脇田貴之選手も招待されている。次回はいつかわからないので、是非スリルと壮大さを感じてみてはいかがだろう。

<2009年のエディ・アイカウの動画>

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

森さやかの最近の記事