史上最強 ゴジラエルニーニョ発生か

(写真:アフロ)

史上最大のエルニーニョの恐れ

大げさに聞こえるかもしれませんが、海外では今年のエルニーニョを「ゴジラエルニーニョ」「スーパーエルニーニョ」「モンスターエルニーニョ」などと呼んで、警戒感をつのらせています。

左:1997年10月海水面の平年偏差。右:2015年10月。NASA
左:1997年10月海水面の平年偏差。右:2015年10月。NASA

エルニーニョ現象は来年の春頃まで続く見通しで、ことによると、過去最大のエルニーニョ年だった1997―1998年を上回る規模となり、世界中で異常気象が多発する可能性があります。

エルニーニョとは

クリスマス頃に、海水温の変化によってイワシが不漁になることを指して、ペルーの漁師たちが、エルニーニョ(意味:神の男子)と名付けたのが始まりです。その後、この海水温異常はペルー沖のみならず、東部太平洋全体に広がることが知られるようになりました。

東部太平洋域の海水温が極めて高い状態にある (NOAA)
東部太平洋域の海水温が極めて高い状態にある (NOAA)

エルニーニョが起こると、世界中の大気の状態にも変化が起こります。ペルー沖の太平洋上の水温が上昇すると、上昇気流が発生し、積乱雲が活発に作られますが、反対側の西部太平洋では対流活動が弱まります。エルニーニョの起こる原因はまだ完全に分かっていませんが、直接的には、貿易風の弱まりや日射の強弱、月の潮汐、または熱帯地方の火山噴火などが影響を及ぼすのではないかと指摘する研究者もいます。

1997年の再来か

史上最大のエルニーニョ年だった1997年と、今年の世界の天候パターンを見てみるといくつもの共通点が見つかります。

緑:1982年。紫:1997年。NOAA
緑:1982年。紫:1997年。NOAA

右のグラフは、最大規模のエルニーニョが起きた1982年及び1997年の東部太平洋海水温の平年偏差と、今年とを比べたものです。同じような推移を示していることがわかりますが、今回のエルニーニョは去年から引き続き発生しており、1月の気温が他に比べても高くなっています。すでに2年に渡って海面の異常高温が起きていることから、「ダブルエルニーニョ」とも呼ばれています。

1997-1998年のエルニーニョ時に起きた天候と今年とを比較
1997-1998年のエルニーニョ時に起きた天候と今年とを比較

これから起こるかもしれないこと

一般的にエルニーニョ年は、日本は暖冬になると言われています。ただ、雪が少なくなるかというとそうではありません。寒気が入りにくくなると、日本の南の海上で寒気と暖気がぶつかって南岸低気圧が発生します。このため、普段雪が少ない東~西日本の太平洋側で雪が降る可能性が高まります。実際、1998年1月のエルニーニョ時には、南岸低気圧により東京の都心で16センチ、甲府で49センチの大雪が観測されました。

エルニーニョ時に見られる冬季の気候。NOAA
エルニーニョ時に見られる冬季の気候。NOAA

また世界では、エルニーニョによる気象の変化に関連して、こんな影響も危惧されています。

・  蛇に噛まれる人が増える

長崎大学熱帯医学研究所がコスタリカで行った調査によると、エルニーニョ年には、蛇に噛まれる人が増えることが判明しました。蛇は暖かい方が活発になり、気温が一度上がるごとに毒蛇に噛まれる人も24%増加するといいます。

・  デング熱が流行する

気温が上昇し、蚊が大量発生するため、デング熱の感染が増加する恐れが高まります。特に、気温の上がるインド・東南アジア・中南米・アフリカなどでは要注意です。デング熱に有効なワクチンは残念ながら今のところないようです。

・  サンゴが死滅する

赤いほど、サンゴ礁が危機状態であることを表している。NOAA
赤いほど、サンゴ礁が危機状態であることを表している。NOAA

海水温の上昇に伴って、観測史上3番目となるサンゴの白色化が進んでいます。特にハワイ・アメリカ西部などで顕著で、今年末までにアメリカの95%のサンゴ礁が白色化の危機に瀕しています。

エルニーニョの翌年には、東部太平洋の海水温が低くなるラニーニャ(意味:女の子)がしばしば起きています。近年は地球温暖化の影響も加わり、急激な気象変化が当たり前のようになってきました。今後も激甚な気象災害と向き合って、対策を取らねばならない時代に入ったようです。