11日にプロ野球のドラフト会議が開催された。その結果については色々な考察が出ているので、ここでは育成指名を除く77人の指名選手の「名字」に注目してみてみたい。

そこで、まずは以下の名字をみていただきたい。

山下 ヤクルト

森木 阪神

翁田 巨人

黒原 広島

ブライト 中日

小園 DeNA

椋木 オリックス

松川 ロッテ

吉野 楽天

風間 ソフトバンク

隅田 西武

  日本ハム

12球団のドラフト1巡目指名選手の名字を並べてみた。

この中で、一番メジャーな名字は「山下」である。全国名字ランキングで26位、東北と沖縄を除いて全国に広く分布しており、鹿児島県では2番目に多い名字となっている。次いで「吉野」が209位でこちらも沖縄以外に広く分布している。

では、外国にルーツのある「ブライト」を除く11人のうち、一番珍しい名字はどれかわかるだろうか。

私は全国名字ランキングで5000位以内は普通の名字、1万位以下を珍しい名字と考えている。この1万位を少しだけ下回るのが、日本ハムが指名した天理高の達孝太選手の「達」という名字だ。

「達」という名字にはいくつかの読み方がある。最も多いのが「たつ」で、達選手も「たつ」と読む。達選手は大阪の出身だが、「達」は石川県七尾市に集中しており、ここがルーツの地だろう。

この他、長崎市では「たち」と読み、東京では「だて」とも読む。通常、「だて」は「伊達」と書く。「伊達」は古くは「いだて」と読んでおり、ここから「達」を「だて」と読むのだと思われる。そして、堺市に集中している「達」は「だる」と読むことが多い。この不思議な読み方は「達磨(だるま)」から来ていると思われる。

極めて珍しい名字の選手

そして、極めて珍しい名字に分類される2万位以下なのが、巨人1巡目の「翁田」選手。アマ野球に興味がないと、「おうた」とは読めない人が多いだろう。兵庫県多可町を中心に関西にごくわずかしかなく、翁田大勢選手も多可町の出身。

実は、「翁田」という名字は、ドラフト本指名で指名された77人の名字の中でも最も珍しい(ブライト選手を除く)。

翁田選手以外では、日本ハム9巡目指名の上川畑大悟選手の「上川畑」(かみかわばた)、阪神3巡目指名の桐敷拓馬選手の「桐敷」(きりしき)、中日4巡目指名の味谷大誠選手の「味谷」(みや)が2万位以下の極めて珍しい名字だ。

上川畑選手は岡山県倉敷市の出身だが、「上川畑」は鹿児島県の名字で薩摩川内市とさつま町に集中している。一方、「桐敷」は埼玉県にある名字で鴻巣市に多く、桐敷選手も鴻巣市の出身。また、「味谷」は岡山県では「あじたに」と読むが、最も集中している大阪府和泉市では「みや」。味谷選手は埼玉県の花咲徳栄高の出身だが、実は和泉市立郷荘中学からの野球留学選手である。

珍しそうで実は珍しくない名字

なお、珍しそうに見えて実はそうではない、という名字もある。DeNA3巡目指名の粟飯原龍之介選手の「粟飯原」(あいばら)や、日本ハム2巡目指名の有薗直輝選手の「有薗」(ありぞの)はいずれも名字ランキング4000位台と普通の名字。

「粟飯原」は千葉県と徳島県の名字で、ルーツは千葉県。千葉県北部では室町時代からみられる名字で、香取市の小見川城には城主の粟飯原氏がいたことが知られている。粟飯原選手も千葉県香取市の出身だ。

一方、有薗選手は千葉県旭市の出身だが、「有薗」という名字は鹿児島県の名字で、南九州市と鹿児島市に集中している。「~薗」という名字は鹿児島に多く、「薗」は草花や果樹、野菜など、主要作物以外を育てた土地を指す。

さらに日本ハム5巡目指名の畔柳亨丞選手の「畔柳」(くろやなぎ)は、珍しそうに見えても実は全国ランキング2500位台で、メジャーな名字である。

「畔柳」は愛知県の三河地方の名字で、「畔」とは田んぼの境界線につくられた「あぜ」のこと。そこに植えられた柳が名字の由来で、戦国時代にはすでにみられる。ここから「畔柳」という名字が生まれた。のちに「黒柳」という書き方が誕生し、今では「黒柳」の方が多い。現在も「畔柳」は全国の大半が愛知県にあり、県内でも三河地方に集中している。そのため、愛知県では普通の名字だが、他県の人には珍しい名字と感じてしまう。

プロ野球には全国各地から選手が集まってくる。珍しい名字の人も多く、その選手の出身地と合わせてみるとおもしろい。