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センバツ選考会36校徹底予想~1~ 東日本の焦点は難航必至の関東・東京!

森本栄浩毎日放送アナウンサー
95回目のセンバツには36校が出場する。焦点となる地区はどこか?(筆者撮影)

 センバツ選考会(27日)が迫ってきた。史上最多タイの36校が出場する。昨秋の地区大会の成績を参考に選考が行われるが、昨年は東海で不可解な選考があり、社会問題にまで発展した。「予選を持たない」センバツとはいえ、皆が納得できるような説明が必要だろう。1回目は東海、北信越までの東日本を予想する。

北海道(1) クラークが2年連続出場確実

 夏の地区割で北北海道に組み込まれるチームとしては初めて、秋の北海道大会を連覇したクラーク記念国際の出場が確実。エース・新岡歩輝(2年=主将)と麻原草太(2年)のバッテリーなど甲子園経験者もいて、甲子園初勝利に期待がかかる。延長で惜敗した準優勝の北海が補欠に回るだろう。

東北(3) 宮城2強に続くのは能代松陽か

 増枠で準決勝進出校にもチャンスがある。仙台育英東北の宮城2強が抜け出した。本番でも優勝候補に挙がる仙台育英は、夏の甲子園優勝に貢献した高橋煌稀(2年)、湯田統真(2年)ら、力のある投手5人を擁する。東北は宮城大会で仙台育英に勝っていて、こちらもハッブス大起(2年)、秋本羚冴(りょうご=2年)ら、投手陣は多彩で、甲子園でも上位進出を狙える。準決勝敗退組では、能代松陽(秋田)が楽しみ。準決勝で仙台育英に1-2で逆転負けしたが、夏の甲子園でも投げたエース・森岡大智(2年)、投手兼任の4番・斎藤舜介(2年)らが経験豊富で頼もしい。センバツ初出場も有望だ。昨夏甲子園4強の聖光学院(福島)は、4番の三好元気(2年)ら好打者は健在だが、投手陣に柱が欲しい。

関東(5.5) 5番手に作新学院、続くのは横浜か?

 準々決勝敗退組による5、6番手争いが焦点。5枠確定で準決勝進出校の選出は安泰になった。山梨学院は、昨年の春夏甲子園で4番を打った高橋海翔(2年)や主将の進藤天(2年)ら、野手陣は経験豊富だが、右腕の林謙吾(2年)が投手陣の柱に成長した。専大松戸(千葉)は、最速151キロ右腕の平野大地(2年)が秋は故障で万全ではなかったが、決勝まで駆け上がった。センバツでは本来の投球を見せてくれるだろう。慶応(神奈川)で注目は1年生三塁手の清原勝児。清原和博氏(55)の次男で、打順は下位だが、関東大会では本塁打も放っている。すでに報知高校野球の表紙を飾るなど、スターとしての素質も十分だ。健大高崎(群馬)は、エース・小玉湧斗(2年)を軸に、競り合いで力を発揮する。苦戦が予想された横浜(神奈川)との準々決勝では、終盤の8回に3点を奪って突き放した。8強組で浮上するのは作新学院(栃木)と横浜か。作新は多彩な投手陣と堅守で、リードを守り切る。横浜は、1年の夏から甲子園で活躍する左腕・杉山遥希(2年)、リードオフマンの緒方漣(2年=主将)ら、中心選手に力がある。地域性でわずかに作新が上回りそうだが、実力評価なら横浜の逆転もある。

東京(1.5) 2番手は二松学舎か、日大三か?

 優勝の東海大菅生は文句なし。監督の暴力事案が報道されているが、選手に落ち度はなく、選出に問題はなさそう。190センチの大型右腕・日當直喜(2年)は角度のある真っすぐだけでなく、変化球も精度が高い。神宮大会での緊急降板が気になるところだ。順当なら準優勝の二松学舎大付が、関東との比較になる2番手に浮上するが、準決勝で菅生に惜敗した日大三にもチャンスがある。二松学舎は、夏の甲子園で本塁打を放ち、スーパー1年生と話題になった片井海斗が秋も打ちまくった。日大三が選ばれれば、退任が噂される小倉全由監督(65)にとって、最後の甲子園采配となるかもしれない。関東、東京とも比較対象校の予想すら困難で、議論が白熱することは間違いない。選考委員には、落選校が納得し、夏に向けて勇気を与えるようなコメントを望みたい。

東海(3) 春に強い東邦が堂々の優勝

 コロナ前の91回大会で5度目の優勝を果たし、春に強い本領を発揮した東邦(愛知)が、力強くセンバツの舞台に戻ってくる。山田祐輔監督(32)にとっては初の大舞台となるが、戦力は投打とも充実している。沖縄出身のエース・宮國凌空(2年)は、最速149キロの直球だけでなく精度の高い変化球も秀逸。4番・石川瑛貴(てるき・2年=主将)は、4年前の優勝時に主将だった中日の石川昂弥(21)の弟で、兄弟でのセンバツ制覇を狙う。準優勝の常葉大菊川(静岡)は、左腕・久保綾哉(1年)が活躍した。投手を含めた守備力の強化がポイントになる。3番手は地域性も含め、大垣日大(岐阜)が有利な状況。東海大会3試合を完投したエース・山田渓太(2年)が高く評価されそうだ。準決勝で菊川との静岡対決に完封負けした加藤学園は、攻守とも粘り強い。

北信越(2) 福井勢が7年ぶりのワンツー

 北陸敦賀気比との福井対決を制して、34年ぶりに北信越王者に返り咲いた。原動力は長身右腕の友廣陸(2年)で、打っても4番を任される。捕手の平田海智(2年)も経験豊富で、巧みなリードを見せる。バッテリーの活躍が勝敗に直結しそうだ。惜しくもタイブレークで北陸に敗れた気比は、エース・辻晶太(2年)を軸に、試合巧者ぶりを発揮した。両校とも接戦に強い。準決勝敗退の2校も差はない。松商学園(長野)は、主力選手を欠きながらも、気比を相手に最後まで食い下がった。復活が期待される福井商は、北陸をあと一歩まで追い詰めた。

選考過程の透明化はどこまで?

 昨年は、2校枠だった東海でワンツーとなった静岡勢の中から、準優勝の聖隷クリストファーが涙をのんだ。不可解な理由説明が火に油を注ぎ、社会問題にまで発展した苦い経験から、主催の毎日新聞社と日本高野連は「選考ガイドライン」を策定した。どこまで選考過程が透明化されるか、注目している。また、発表方法も大きく変わり、主催者から校長への電話連絡がなくなって、会場での校名発表をもって出場決定となる。その模様はネット配信の「センバツLIVE!」でお伝えする。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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