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近江・山田 U-18W杯は抑えで起用決定! その適性は?

森本栄浩毎日放送アナウンサー
甲子園の話題を独占した山田。W杯では抑え起用が決まった。その適性は?(筆者撮影)

 U-18の野球ワールドカップが来月、アメリカで開催される。「二刀流」として甲子園でも話題を独占した近江(滋賀)の最速149キロ右腕・山田陽翔(3年=主将)は、日本代表でも主将に決まり、悲願の世界一をめざす。

投手専念で抑えでの起用

 山田の起用法については、投手としての傑出した能力は当然として、甲子園で2年連続本塁打を放った打棒にも期待がかかる。28日の結団式後の会見で、日本代表を率いる明徳義塾(高知)の馬淵史郎監督(66)は、「山田にはピッチャーだけやってもらう。抑え的な仕事をしてもらいたい」と話し、「打撃練習はやらなくていい」と伝えたようだ。

山田は甲子園15試合、すべてで先発

 甲子園での山田は、近年の高校野球では珍しい「先発完投型」の大エース的存在だった。現に、昨夏から3大会連続出場して戦った15試合すべてで先発した。昨夏はノーゲームもあったので、実際には16試合に先発している。その山田が、あまり経験のない抑えでの起用。果たして抑えとしての適性はあるのだろうか。実は近江での2年半、短期間ではあったが、抑え(正確にはロング救援)で試合の最後を任されていた時期もあった。

2年前には救援登板もあった

 それはちょうど2年前、1年生の秋の新チームスタート直後だった。上級生の投手層が薄かったこともあり、甲子園でも投げた星野世那(3年)ら下級生左腕3人と、ヒジの状態が思わしくなかった先輩の岩佐直哉(龍谷大)の継投で、試合後半の勝負の懸かった場面になると、多賀章仁監督(63)は山田を起用していた。結果的には、県大会、近畿大会で勝ち切れず、センバツを逃すことになるが、多賀監督は「(打撃を生かすため)試合にはライトで最初から出場していたので、負担が大きかった」と振り返る。春以降、岩佐が復調してからは、山田~岩佐の必勝リレーが確立され、昨夏の甲子園4強につながったのは周知の通りである。

「ここ一番で力を発揮」が最大の強み

 抑え投手の適性で言えば、「球威がある」「要所で三振が取れる」「連投できる」などの条件が挙げられる。山田は球威、変化球とも今季高校生のトップであることは間違いない。さらにあれだけの球数を投げても球威が落ちない無尽蔵のスタミナを秘めていることを考え合わせると、抑えとしての適性はかなり高い。しかし多賀監督は、山田の最大の強みとして「ここ一番で力を発揮できるところ」と言い切った。

恩師・多賀監督は「主将指名を意気に感じたはず」

 馬淵監督からは事前に、多賀監督へ、抑えでの起用を示唆されていたようで、「走者を背負った時の投球、ピンチの場面での所作などを馬淵先生に評価されたと思う」と分析した。しかも、馬淵監督は山田を主将に指名した。多賀監督は「これはもう絶対、意気に感じているはず。アメリカや韓国との試合は、必ず僅差になる。主将として試合の最後を締めて欲しい」とエールを送った。

「侍JAPAN」で新境地を開くか?

 夏の激闘疲れは懸念されるところだが、多賀監督には山田本人から「状態はバッチリです」と明るい声で電話があったそうだ。トレーナーのケアが素晴らしく、疲れが残らないような調整ができているとのことで、連投も心配ないと言う。「この経験(抑え)は、将来につながりそうですね」と水を向けると、多賀監督も「そう思います」と即答した。数々の感動的なシーンでファンを魅了し続けた山田。「侍JAPAN」では新境地を開き、甲子園とは違った魅力を、世界中のファンに見せてくれることだろう。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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