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優勝争いを左右する試合は? センバツ1回戦好カードをピックアップ

森本栄浩毎日放送アナウンサー
センバツの開幕目前。注目カードをピックアップして見どころを紹介する(筆者撮影)

 センバツの開幕が明後日に迫った。史上最も早い開幕で、順調に進めば3月中に春の王者が決まる。開幕戦から延長の死闘だった昨春同様、今大会も1回戦から熱戦は必至。各ゾーンから優勝争いを左右しそうな注目の4試合をピックアップして見どころを紹介したい。

大黒柱の活躍に期待したい敦賀気比

広陵(広島)ー敦賀気比(福井)

 地区大会優勝校同士の注目対決。秋の神宮大会では、気比が初戦で、広陵は決勝でそれぞれ大阪桐蔭に敗れた。試合の焦点は、気比のエース・上加世田頼希(3年=主将)の出来に尽きる。上加世田は昨年の春夏も経験しているが、マウンドはタイブレーク負けとなった常総学院(茨城)とのセンバツ初戦で1イニング16球(1失点)を投げただけ。秋はエースとして躍進の原動力となったが、神宮では死球禍(肋骨骨折)で涙をのんだ。北信越大会決勝では、星稜(石川)に11安打されながらも完封したように打たれ強い。制球力が生命線で、キレのいい多彩な変化球で広陵打線の長打攻勢をいかにかわせるか。上加世田と中学時代からバッテリーを組む捕手・渡辺優斗(3年)の配球もポイントになる。広陵は、広角に長打が出る真鍋慧(2年)、巧みな打撃を見せる内海優太(3年)が好機に強く、打線を勢いづけたい。

 このゾーンは、上記勝者と2回戦で当たるクラーク国際(北海道)と九州国際大付(福岡)も地区大会優勝校同士で熱戦が期待できる。選手層が厚い浦和学院(埼玉)や初出場で旋風を狙う和歌山東など、注目校が揃っている。

事実上の関東ナンバーワン決定戦?

山梨学院ー木更津総合(千葉)

 打力のあるチームが優位だった関東大会で、ひときわ注目を浴びた本格派右腕が甲子園の初戦で当たる。山梨学院の榎谷礼央(3年)は179センチの右腕で、しなやかなフォームから最速144キロの直球にキレのいいカットボールをコーナーに投げ分ける。対する木更津総合の越井颯一郎(3年)は、最速146キロを誇る178センチ右腕で、緩急も交える変化球とのコンビネーションは秀逸。関東大会では東海大相模(神奈川)を1点に抑え、完投勝ちした。お互いに防御率も1点前後で、打撃戦は想像しづらい。1番を打つ山梨学院の鈴木斗偉(3年)、木更津総合の山田隼(3年)はともに公式戦5割超えの高打率で、彼らの出塁と、競り合っての終盤での打線の対応力が勝敗を分けそう。「関東実力ナンバーワン決定戦」と言っていい。

 このゾーンは経験値で他を圧倒する昨夏4強の京都国際が中心になる。好左腕・布施東海(3年)の二松学舎大付(東京)や終盤の粘りに定評がある日大三島なども上位進出を狙う。

名門対決1勝1敗の決着戦

星稜(石川)ー天理(奈良)

 のちにプロ野球でスターとなる選手在籍時に激闘を演じた名門同士が、甲子園で3度目の対決。昭和51(1976)年夏の3回戦では、星稜が2年生エース・小松辰雄(元中日)の活躍で、天理の2年生4番・鈴木康友(元巨人ほか)らを抑え、3-2で勝った。平成4(1992)年センバツ準々決勝では、天理がリベンジ。松井秀喜(元ヤンキースほか)の失策などに乗じ、8回に5点を奪って5-1で逆転勝ちした。今大会も名門らしく注目選手が多い。星稜のエースは沖縄出身のマーガード真偉輝(3年)。186センチの大型右腕で、変化球もいい。天理のエース・南澤佑音(3年=タイトル写真)も188センチの右腕で、同校伝統の大型投手だ。四球から崩れる悪癖も、中村良二監督(53)の好指導で腕をサイド気味に下げ、不安がなくなった。天理は中軸の戸井零士(3年=主将)、内藤大翔(3年)に長打がある。マーガードが制球に細心の注意を払い、今大会で退任する林和成監督(46)に「決着戦」勝利を贈りたい。

 この両校に加え、高知東洋大姫路(兵庫)の甲子園優勝経験校同士の対決や、センバツ準優勝経験のある大垣日大(岐阜)など名門が揃うゾーン。イチロー氏(48)から直接指導を受けた国学院久我山(東京)にも注目したい。

149キロ本格派対重量打線

花巻東(岩手)ー市和歌山

 昨秋の神宮大会で鮮烈な全国デビューを果たした花巻東の佐々木麟太郎(2年)。冬に両肩の手術を受けたことがわかり心配されたが、関西入りしてからも本塁打を量産。龍谷大平安東山(ともに京都)など、近畿の強豪校の投手を打っているだけに、状態が悪いはずはない。しかし、甲子園の初戦で当たる市和歌山の米田天翼(3年)は、全国屈指の本格派右腕。最速149キロの直球だけでなく、多彩な変化球を操る。佐々木以外にも田代旭(3年=主将)ら左の強打者が並ぶ重量打線でも攻略は容易ではないだろう。ただ花巻東打線は対応力があるだけに、遊撃手からコンバートされた捕手の松村祥吾(3年=主将)が、的を絞らせないリードをできるか。花巻東は投手陣にやや不安があり、打撃が課題の市和歌山としては、早めに米田を援護したい。

 1回戦最後に登場して鳴門(徳島)と当たる大阪桐蔭にどのチームが待ったをかけるか。上記試合(花巻東ー市和歌山)の勝者には、好左腕・大野稼頭央(3年)の大島(鹿児島)と関東王者の明秀日立(茨城)の勝者が待ち受ける。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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