2年ぶり開催の神宮大会が盛り上がっている。高校球界の将来を担う1年生たちが躍動しているのだ。神宮に集う「1年生四天王」がいずれも評判通りの活躍で、来春のセンバツ、そして再来年のドラフトが、早くも楽しみになってきた。

「四天王」は神宮が全国デビュー

 この時期に、これだけ多くの1年生が評判になることは珍しい。夏の甲子園でいきなり活躍して、スター街道を歩む前例は少なくないが、この4人はいずれもがこの神宮大会で全国デビュー。揃って4強に進出した。上級生を差し置いての活躍もさることながら、投打の直接対決もあって、高校野球ファンもしばらくは彼らの動向から目が離せない。

高校通算49発の花巻東の佐々木

 開幕戦で鮮烈デビューを果たしたのが、花巻東(岩手)の佐々木麟太郎。183センチ、113キロの巨体で、鋭いスイングから強烈な打球を放つ。全国デビューとなった国学院久我山(東京)戦の第1打席で、左腕から弾丸ライナーを右翼席へ突き刺した。準決勝で広陵(広島)に惜敗したが、最終打席で高めの球をとらえて同点3ランを放った。3試合で10打数6安打9打点のすさまじい成績で、神宮での2本塁打を加え、入学8か月で高校通算49号は、偉大な先輩・大谷翔平(エンゼルス=27)の高校通算56本塁打を、早くも射程圏にとらえた。佐々木洋監督(46)との『父子鷹』でも注目されるだろう。

広陵の真鍋は「ボンズ」級

 その佐々木との直接対決でアーチ競演をしたのが広陵真鍋慧(けいた)。10-9の乱打戦を制し、決勝進出の立役者となった。2回の第2打席に飛び出した高校通算10号となる3ランは、序盤で主導権を握る価値ある一発。その並外れた飛距離から、中井哲之監督(59)は、「広陵のボンズ」と呼ぶ。189センチ89キロの堂々たる体で、188センチとされるMLB最多の通算762本塁打を放ったスラッガー、バリー・ボンズに、体格でも引けをとらない。逆方向にも飛距離が出る広角打法が最大の長所で、決勝で大阪桐蔭に勝って、「四天王」の先頭に立つことが目標だ。

前田は九国・佐倉に一発浴びるも2三振奪う

 投手で全国1年生球児の先頭を走るのは大阪桐蔭の左腕・前田悠伍(タイトル写真)。準決勝の九州国際大付(福岡)戦では先発起用された。ロングリリーフとなった敦賀気比(福井)戦とは違って、立ち上がりから苦しい投球となり、「四天王」の一人、佐倉侠史朗に手痛い一発を浴びた。それでもその後の打席では2三振を奪って、きっちりリベンジするあたりは、さすがというほかない。この日は、2本塁打による2失点で、近畿大会から続いていた自責0も途切れたが、179センチの左腕は、大阪桐蔭にとって初めてとなる「神宮制覇」へ、広陵・真鍋との直接対決に燃える。

3大スラッガーの共通点は?

 中盤まで互角の試合も、6回のビッグイニングで一気に暗転した九州国際大付の佐倉も大型スラッガー。前田の高めの球を逃がさず、右翼席へ運んだ。182センチ104キロと申し分ない体格で、九州大会で満塁弾を含む2本塁打した実力を、全国屈指の左腕相手に証明してみせた。新チームになってからの上昇曲線が大きく、通算本塁打8本ながら、佐々木へのライバル心も旺盛。本番の甲子園での対戦を心待ちにしている。スラッガー三人衆の共通点は、「右投げ左打ちの大型一塁手」。いずれも直接取材したわけではないが、配信の動画を見ると、守備や走塁のレベルアップが課題のように感じる。先は長いので、一塁だけでなく、三塁や外野守備を経験するのも、将来につながるのではないだろうか。

決勝で前田と真鍋の対決は?

 決勝は、広陵と大阪桐蔭の顔合わせ。大阪桐蔭は前田以外の投手がほとんど投げておらず、決勝での先発起用があるか。ただ、継投策になっても勝敗を左右する場面は前田に託すことになるはずで、広陵は真鍋を軸に打線が奮起して、準決勝のような打撃戦に持ち込みたい。大阪桐蔭の打線は、近畿大会より上向いている。これだけの1年生が一度に集結することも珍しいが、全員が本番のセンバツにも顔を揃えるはずで、実に贅沢な前哨戦となった。