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ダブル智弁甲子園決勝対決! 直近は計30点の大乱戦だった!

森本栄浩毎日放送アナウンサー
智弁学園と智弁和歌山の決勝がついに実現する。甲子園でこんなシーンも(筆者撮影)

 高校球界のブランド「智弁」の2校、智弁学園(奈良)と智弁和歌山がついに甲子園の優勝旗を懸けて対戦することになった。両校は公式戦で4回対戦し、2勝2敗。19年前には夏の甲子園3回戦で当たって、智弁和歌山が勝った。その7年前にも秋の近畿大会で智弁和歌山が完封勝利。敗れた智弁学園はセンバツを逃している。そして、一昨年の近畿大会では、春秋とも対戦があった。

一昨年の近畿大会は春、秋とも対戦

 一昨年の春の近畿大会では1回戦で当たり、智弁学園が9-7で打ち勝った。現在の3年生の入学直後に当たるが、智弁学園のエース・西村王雅(3年)はこの試合にも登板している。

智弁学園は西村から小畠への継投に。ナイター照明の中、小畠は力投を見せる。(この記事中の写真は全て2019年10月26日、筆者撮影)
智弁学園は西村から小畠への継投に。ナイター照明の中、小畠は力投を見せる。(この記事中の写真は全て2019年10月26日、筆者撮影)

 そして、センバツを懸けた秋の近畿大会の準々決勝では、すさまじい打撃戦を演じた。智弁和歌山は、現在のエース・中西聖輝(3年)が3番手で投げ、智弁学園は西村から、28日の準決勝で完投の小畠一心(3年)へつないだ。

徳丸と山下がアーチ競演

 打撃陣もお互いの主力が本領を発揮している。

本塁打を放った徳丸(背番号9)を迎える智弁和歌山ベンチ。右端の中谷監督も笑顔を見せる(筆者撮影)
本塁打を放った徳丸(背番号9)を迎える智弁和歌山ベンチ。右端の中谷監督も笑顔を見せる(筆者撮影)

 智弁和歌山の主砲・徳丸天晴(3年)が本塁打を放てば、智弁学園も山下陽輔(3年=主将)が本塁打を含む3安打4打点。前川右京(3年)は、本塁打こそなかったものの、4安打2打点の活躍だった。

ラグビー並みのハイスコアに

 試合はスコアを参照していただくとして、初回の智弁学園の6点を皮切りに、得点のほとんどが複数点という豪快さ。

瞬時に計算できないほどのハイスコアとなった奈良県橿原市の佐藤薬品スタジアム(筆者撮影)
瞬時に計算できないほどのハイスコアとなった奈良県橿原市の佐藤薬品スタジアム(筆者撮影)

 6回を終わって14-8。智弁和歌山はあと1点でコールド負けのピンチに立たされたが、7回に3点を返す。8回裏もあと1点でコールドという場面を辛くも切り抜け、最終回に小畠から2点を返して面目を保った。最終スコアは17-13で智弁学園の勝ちというラグビー並みのハイスコアも、兄弟校仲良く、翌春のセンバツには選ばれた。19年の対決はいずれも智弁学園に軍配が上がっていて、この試合に出ていた両校選手も多く、甲子園の戦いは熾烈を極めるだろう。

消耗激しい智弁学園

 さて、準決勝の戦いぶりを見る限り、智弁和歌山のチーム状態がいい。中盤まで近江(滋賀)も互角に渡り合ったが、疲労困憊だった近江は、6回に2点を失ってから、急に攻守とも精彩がなくなった。まだ3試合目だった智弁和歌山と、ノーゲームを含め実質6試合目の近江との消耗度の差が試合を分けた。智弁学園にとって、最も懸念されるのは、この「消耗」で、近江ほど日程は詰まっていないが、タフな試合を5つ重ねた疲労は確実に残っている

智弁学園は経験値で上回る

 智弁学園が智弁和歌山を上回るのは、経験値だ。決勝は、上述の試合でも投げた西村、小畠にとって集大成の試合である。特に、小畠が京都国際との準決勝で決勝3ランと完投の大活躍をしたことは、ライバル心旺盛な西村にとって、大きな刺激になるはずだ。西村の先発は間違いないだろう。あとは、今大会、今ひとつ打棒が振るわない山下の奮起に期待したい。

智弁和歌山は伊藤か?

 智弁和歌山は、準決勝でエースの中西が完投したが、決勝は、まだほとんど投げていない伊藤大稀(3年)を先発に起用するか。市和歌山との県大会決勝でも投げさせていて、中谷仁監督(42)も信頼を寄せる。ほかにも力のある投手が複数いて、相手打線に勢いがつく前に交代させることも可能だ。打線は、1番の宮坂厚希(3年=主将)の出塁がカギを握る。近江戦は4安打2得点で、立ち上がりと中盤の要所で相手にダメージを与えた。

経験値と勝負強さで智弁学園か

 一昨年ほどの大量点にはならないだろうが、智弁学園はある程度の失点を覚悟しなければならない。智弁和歌山の投手陣が抜群の投球を見せると、一方的な展開になる可能性もあるが、西村は精神的にたくましくなっていて、気力を振り絞るだろう。経験値の高さと、苦戦を勝ち抜いてきた勝負強さで、「兄貴」の智弁学園にやや分があるとみた。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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