今年の抽選は「超シンプル」に! 23日にセンバツ抽選会

今年のセンバツ抽選会はリモートになるため、原則フリーの超シンプルだ(筆者撮影)

 センバツの抽選会が23日の天皇誕生日に行われることになった。開幕の3週間以上も前だ。出場校の日程調整をしやすくするためで、開会式も簡素化される。そして、複雑な抽選で「甲子園でしか見られない」「甲子園でこそ見たい」カードを生み出してきたセンバツの抽選も、一変することになった。

従来は最大3回のくじ引き

 まずは、これまでの複雑な抽選方法を簡単に振り返る。具体的な方法は、拙文の14年3月6日の記事を参照していただきたい。出場校が5校以上の地区は、32校のやぐらを8分割した札を引き、そこ(最大で4枚)から1枚の本抽選札を引く。今回なら、近畿、関東・東京、九州が該当する。出場校が3~4校の地区は、4分割の札を引いてから本抽選の札を引く。こうして出場校の多い地区から順に引いていく。この抽選だと、8分割、4分割に入る地区は少なくとも3回の「くじ引き」をすることになり、複雑極まりない。毎年、地区別の出場校数は変動するので、年ごとに手直しが発生する。 

主将たちの負担軽減

 それでも、これによって2回戦までは同地区の対戦を回避でき、全国大会らしいカードがずらりと並ぶ。これこそが近年のセンバツの特長でもあった。ましてやセンバツの選考の最大の拠りどころは、前年秋の地区大会の成績、内容である。1回戦から秋のカードの再現は興ざめというものだ。しかしこのコロナ禍。抽選会がリモートになった以上、主将たちに余計な負担を強いることはできない。

2校出場県以外は完全フリーに

 抽選方法は10日に公表された。リモートは昨夏の交流試合の抽選でも採用されている。今回も、32校の主将が自校でくじを引く。唯一、2校出場の宮城、兵庫、奈良の出場校は決勝まで当たらないように、先に抽選を済ませる。残りの26校は、完全フリー抽選となるが、従来とは一変した「超シンプル」な方法になった。近畿の決勝カードなど、地区大会の再戦がいきなり実現するかもしれない。引く順番は、事前に行う予備抽選で決まる。当日の本抽選は午後3時からで、予備抽選はそれまでに終わっている。「センバツLIVE」で流されるのは本抽選からだ。

選手宣誓は初日の出場校から

 そして、選手宣誓は、初日の試合を引き当てた6校、いずれかの主将になる。開会式の手順はわからないが、これで簡素化される開会式には6校が参加すると想像できる。フリー抽選の弊害は、同地区の対戦が早々に生まれることだけではない。夏にもまれにあるが、同一日に同じ地区の学校が相次いで登場することがある。今回は、アルプス席を学校関係者に限定するため、上限に近い人数が入ると予想される近畿のチームが続けて出た場合などに、混乱が起こらないか危惧している。

東播磨主将はリベンジ狙う

 この抽選方法が公表された10日、筆者は21世紀枠で初出場の東播磨(兵庫)に行っていた。どこと対戦したいかを問われた原正宗主将(3年)は、当初、「僕たちと同じく機動力で知られた健大高崎(群馬)」と答えていたが、近畿同士の対戦もあると聞かされると、「秋に負けた市和歌山とやりたい。小園(健太=3年)君にリベンジしたい」と答えを修正した。小園を打てなかった反省から、「速球に負けないスイングをみっちり練習した成果を発揮したい」と、目を輝かせていた。選手にとって、フリー抽選はあまり関係なさそうだ。

せめて1回戦は甲子園らしいカードを

 ただ、長くセンバツに携わってきた立場からすれば、この抽選は今回限りにしてもらいたい。やはり甲子園にふさわしいカードが多ければ多いほどいい。5年前に智弁学園(奈良)が優勝した時は、準々決勝の第1、第2試合が近畿同士だった。限界まで振り分けても、こうした現象は起こりうる。これが1回戦から発生したら、全国大会の価値は損なわれてしまう。野球の神様に、せめて1回戦だけでも甲子園らしいカードを並べて欲しいと願っている。